PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY VLOGCAM ZV-E10 / SHOOTING REPORT
VLOG撮影特化カメラというコンセプトが好評を博した VLOGCAM ZV-1 より1年が経過し、第二弾となる本機 VLOGCAM ZV-E10 が登場しました。名称にEが入っている通り今回はソニーEマウント、レンズ交換式となります。センサーサイズがAPS-Cとなり、これだけで表現力がグーンとアップ。Eマウントレンズの豊富な選択肢と組み合わせてお好みの描写・画角が得られることはもちろん、Exmor CMOSセンサー由来の高感度・低ノイズ性能、リアルタイム瞳AFやリアルタイムトラッキングに対応する高性能AFなど、ミラーレス一眼の基本性能をベースとしたVLOGカメラというわけです。いつもの風景を気軽に撮影してみて、ちょっとリッチで雰囲気のある画が撮れたら楽しいですね。さあ、チカラを抜いて日常に向き合ってみるとしましょう。
( Photography : A.Inden / Text : Serow )
LOOK & FEEL
APS-CサイズのExmor CMOSセンサーは有効画素数約2420万画素。α6000系のボディがベースとなっている模様で、片手でも扱えるサイズ感です。天面に大きなマイクが配置されたのはZV-1と同様。ウインドスクリーンも付属し、本機1台でしっかり録音できるのが嬉しいですね。今回はキットレンズである E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS との組み合わせ。ボディ単体との価格差を考えると、とりあえずレンズキットを選んでしまうのは必然だと思います。
背面液晶は3.0型、92万ドットのTFT。ほぼ180度開くうえに270度チルトするので、自撮りを含め自在に構えることができます。ZV-1に比べるとグリップがしっかりしていることもあり、録画ボタンの位置が深めに。オンオフのスイッチ下にモード切換ボタンがあり、これを押すことで静止画／動画／スロー＆クイックモーションの切り替えができます。録画ボタン右側には「背景ぼけ切り替え」ボタン、背面右下には「商品レビュー用設定」ボタンもあり、よく使う機能にはワンタッチでアクセスできるようになっています。
基本的なインターフェイスは変わりませんが、USBはタイプCになりました。HDMIマイクロ端子で4K出力ができ、3.5 mmステレオミニジャックのマイク端子とヘッドホン端子、BluetoothやWi-Fiにもきちんと対応しています。
MOVIE
あまり難しいことを考えずに撮りはじめても、なんとなく期待通りに写っているということが頼もしい。シャワーを浴びる（浴びさせられている？）猫にきちんとピントが合ってくれています。リアルタイムにAFが動いていることがわかりますが、猫の瞳も認識してくれていますね。
ボディに光学手ブレ補正はありませんので、手持ち撮影は少々慎重に。動物を追いかけるのは簡単ではないものの、電子手ブレ補正や動画編集時の補正で結構カバーできます。電子手ブレ補正は結構クロップされるので、広めのレンズで撮影すると良いでしょう。
センサーサイズの大きさに由来するリッチな写りは期待通り。ピンとした毛並みも凛々しく、豊かなボケで雰囲気ある画になりました。ワンタッチでスロー撮影ができるのも便利ですね。
背景ぼけ切り替えボタンを使って、背景をぼかしています。ちょっと効果がわかりにくいシーンになってしまいましたが、ちゃんとメインの被写体を認識して処理されていることがわかります。
4Kでの録画にももちろん対応。緻密な描写が肉眼を超えているのか、4Kの動画というのは見ていてなぜかドキッとしますね。ピクチャーエフェクトの雰囲気もお分かりになると思います。
風の吹き付ける海辺、手持ちの動画撮影だけに安定しない点はご容赦を。それでもこれだけしっかり写ります。
そうこうしているうちに日も暮れてしまいました。夜の光のなかでも動画撮影できるのだから嬉しいですよね。望遠レンズをつければ、もっとクッキリ月を捉えることもできるでしょう。
夜景でもスロー撮影をトライしてみました。120fpsへの切り替えもワンタッチ。いや、全然いけますよ。
ISO感度は上げて撮ることになりますが、このあたりにもAPS-CサイズのExmor CMOSセンサーのポテンシャルが活きてきます。暗いシーンだからと諦める必要はありませんね。
VLOG撮影を意識して、日記のように緩く日常を捉えてみましょう。冒頭少しわかりにくいと思いますが、カツ丼の美味しい定食屋の軒先でお野菜をゲットしてきました。今日はひとつ、このお野菜をいただきます。
コンコンコンと包丁の音も気持ちよく録れています。こういった場面、動画だから写せる世界ですね。カメラをセットしたら録画ボタンを押して、あとは気にせず動いてしまえばよいのです。全部見せても間延びするので、あとから編集でテンポを良くしてしまえばOK。
商品レビュー用設定をオンにしてみました。しっかりピントが合いますね。
完成。美味しそうに撮れました。
ご存知ですか？ メダカはこのように道端で売られていたりします。結構いいお値段がするのですが、清水の舞台から飛び降りる気持ちで、家の睡蓮鉢にお迎えしてみます。
水面付近を泳ぐメダカたち。フォーカスを合わせるポイントが分かりづらく、AFには辛いシチュエーションですが、なかなかうまく捉えてくれていますね。
無事お迎えすることができました。元気に泳ぎ回って、子どもたちが生まれてくることを祈りましょう。
STILL
動画撮影に寄せた本機ですが、元々素性のしっかりしたデジタルカメラ。静止画の撮影にも充分活躍します。EVFがついていないので撮影スタイルは背面液晶を使ったものとなるのですが、慣れればこれも快適なもの。得にバリアングル液晶を使った自由なフレーミングとタッチパネルを使ったAFが便利ですね。像面位相差AFセンサーは425点、画面全域にわたってフォーカスが可能なので、思うままに被写体を配置してピントを合わせることができます。描写に関しては言わずもがなのα6000シリーズのクオリティ。安心してシャッターを切ってください。
動画を撮る気になる。誰かに見せたくなる。
昨今のデジタルカメラならどれも動画撮影ができるのですが、手に触れる部分、ユーザーインターフェースをきちんと動画撮影に合わせると、これほどまでに違う道具になるのですね。本機を手にすると「静止画撮影の合間に動画を撮っておく」から「動画撮影の合間に静止画を撮っておく」という感覚に切り替わり、日常の記録がまさにVLOGになってしまいました。APS-Cサイズのセンサーが生み出す画ですから、スマートフォンでの撮影とはクオリティが違います。いい画が撮れるからまた撮りたくなる。きっと家族や友人に見せるのも、これからは動画になっていくのでしょう。スマートフォンの普及や通信環境の進化がもたらしたライフスタイルの変化に対応する、新しくて楽しい製品だと思います。
注目すべきポイントがもうひとつ、そのプライスです。レンズ交換式、APS-Cセンサー搭載、定評あるα6000系のカメラがレンズキットで9万円を切ってしまう（2021年9月現在）というのだから驚きですよね。これならはじめてのミラーレス一眼としておすすめできる価格帯ですし、動画撮影用のサブ機としても負担が少ない。メインシステムが違うからと躊躇する必要はないでしょう。写りをアップデートしたければレンズを変えればよいのですから、拡張性も抜群です。写真撮影を楽しんできた方ならおそらく、レンズキットに明るい単焦点レンズを1本組み合わせて、気の利いた動画をささっと撮影できてしまうはず。やはり専用の道具、ひとつ持っていてもいいような気がいたします。
( 2021.09.30 )
レンズとのセットで、これひとつでVLOG撮影をスタートできます。Eマウントレンズを買い足せば表現力は無限大。塗装はブラックです。
こちらはホワイトのレンズキット。ZV-1にはなかった色合いで、こちらもいいですね。軽い雰囲気もVLOG撮影に向いていると思います。
Eマウントレンズを既にお持ちならボディだけという手もあります。
ホワイトのボディ単体はこちら。え？ 両方ですって？！
ミニ三脚としても使えるシューティンググリップです。手持ちでの撮影や自撮りにも便利で、本格的にVLOG撮影するなら必携アイテムでしょう。
フィールドの音をうまく撮るなら、一歩進んでガンマイクを。人気すぎてデリバリーに時間のかかる商品です。どうぞご注文はお早めに。
動画撮影ということもあってバッテリーは不足しがち。予備を用意しておいたほうがいいですよ。
予備バッテリーとチャージャーのセットもあります。チャージャーをお持ちでなければこちらもおすすめ。
ハイスピードのSDカードで不安なく撮影を。ソニー純正だから安心です。
さらなるパフォーマンスを求めるならこちら。一緒にカートに入れると、本体のお買い得感が際立つ効果もあります。