PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SONY RX0 II / SHOOTING REPORT
35mmフィルムの紙箱とほぼ同じサイズのボディに、「RXシリーズ」ならではの高画質を実現する大型センサーとZEISSレンズを凝縮した「RX0」。今回、第二世代となる「Cyber-shot RX0 II」が登場しました（DSC-RX0M2、以下RX0M2）。超小型のデジタルカメラながらも防水性を備えた金属製の堅牢なボディに、単焦点広角レンズを備え、1型センサーによって1530万画素を実現するというスペックは初代RX0と同じ。RX0M2への進化のポイントとしては、背面ディスプレイをチルト化し、これまで外部レコーダーとの併用が必要だった4K30Pの動画記録対応、最短撮影距離の短縮、そしてこれまで以上にキビキビした動作と、さらに隙のない性能へと進化を遂げています。初代RX0が登場したときには、これまでの写真機と異なる形状やアクションカメラでも動画専用機でもないということから、やや掴み所がない印象もありましたが、RX0M2では製品発表に合わせて著名なYouTuberによるレビュー動画がソニーの製品紹介のウェブサイトに掲載され、ソニー自身からもRX0M2の活用シーンを明確にアピールしてきました。
もう少し初代RX0との違いを掘り下げていきましょう。RX0M2で筐体サイズは奥行きのみ約5mm延長されました。これはほぼ背面ディスプレイのチルト化に費やされたようで、チルト機構が加わっても剛性感のあるガッチリとした仕上がりはさすがといったところ。水深10mの防水性や2mの落下耐性、200kgfの耐荷重など頑丈なボディは初代から変わりません。また縦と横のサイズは初代RX0と同じですから、レンズ前面の保護ガラスを外して、純正オプションのフィルターアダプターはそのままお使いいただけます（奥行きが増加したことでRX0M2では純正のケージは使えなくなりました）。ただ、その増量分はわずか5mmとはいっても、元々小さなサイズでしたから、手に取ると初代よりも大きくなったことが感じ取れます。とはいえ、わずかなサイズアップによりRX0M2が手に入れたものは大きく、撮影スタイルを縛らないスクエアなボディをハイアングル・ローアングルなど多彩なポジションからでも撮影しやすくなりました。またそのチルト液晶が180度回転するため、小さい液晶モニターながらもセルフィでの写真撮影や動画撮影が行え、初代RX0を購入し、写真機として積極的に活用していた筆者としては、最短撮影距離が0.5mから0.2mへと一気に短縮されたことが非常に嬉しいポイントでした。テーブルショットなど、これまでは他のカメラやスマートフォンに頼らざるを得ないところがありましたが、RX0M2ではカップ＆ソーサーのひとまわり大きいくらいの広さ（A5より少し広いサイズ）を撮れますから、寄れないことに物足りなさを感じることはもうないでしょう。
搭載するレンズは初代RX0と同じ6群6枚構成のZEISS Tessar T* 7.9mm F4。超小型ながらも優秀な描写能力をご覧いただければ、このサイズでもしっかりと作品撮りに使えるレンズであるということをご理解いただけるのではないかと思います。長い前置きとなりました、どうぞ実写レビューにてその実力をご確認ください。
( Photography & Text : Naz )
フルサイズ換算24mm相当の画角となる単焦点レンズは、歪みのない広角レンズらしいスッキリとした描写。ボディサイズからは想像できないほど緻密に写し取ります。ハイライトのトーン再現も優秀ですね。
超小型ゆえ、機械的な絞りやシャッターも持ちませんので、絞りは開放F4固定、1/4〜1/32000秒までの電子シャッターを備えています。こうした高輝度下での撮影でも高速シャッターが足りなくなることはないでしょう。
メモリー一体1.0型積層型「Exmor RS」CMOSセンサーを採用。センサーからの高速な読み出しにより、動きの速い被写体でも歪みのない写りと最高16コマ/秒の連写により、狙った被写体を確実に写し撮ってくれます。
起動時間が約1.9秒と高速なのも嬉しいところ。突然のシャッターチャンスを逃しません。
線香の煙にまみれながら撮影しました（笑）。例え匂いや汚れがついてしまっても「洗えばいい」というのはカメラの扱い方が変わってくる気がします。
前面の保護ガラスもあり、光線状況によっては大きなゴーストが出ることもありました。防水性能はなくなりますが、純正オプション品のフィルターアダプターに同梱されたフードを使うことにより、逆光時でも不要な光を効果的にカットできます。
0.2mまで短縮された最短撮影距離によって、クローズアップだけでなく、ボケを活かした撮影も行えるようになりました。
いかがでしょうか。大型センサーにキレのある単焦点レンズの組み合わせにより、画にしっかりとした厚みを感じます。
絞り固定となるためAモード（絞り優先AE）はなく、Pモード（プログラムAE）か絞り値固定のM（マニュアル露出）モードとなりますが、背面液晶下部の左ボタンに露出補正を割り当てることにより、Pモードでも意図した撮影が簡単に行えます。
絞りがF4固定ですから、夜間や室内ではISO AUTO設定時のISO感度は予想よりも早く上昇する傾向がありますが、ご覧の通り高感度性能も良好ですから積極的に挑むことができます。
撮って出しの映像です。手持ち撮影のため小さなブレはありますが、4Kの高解像な映像が美しいですね。今回は試すことが出来ませんでしたが、専用アプリ「Movie Edit add-on」電子式の手ブレ補正が効いた滑らかな映像も撮影できるとのこと。
こちらはオプションのシューティンググリップを三脚にして、岩場において撮影しました。グリップからの操作はできなくなりますが、RX0M2は防水構造のため、こうした水際での撮影も躊躇なく行えます。内蔵マイクの音質のよさもさすがソニーと言ったところ。
10mの防水にチルト液晶の組み合わせは、このような使い方にも威力を発揮します。初代RX0ではノーファインダーで撮らなくてはならなかったシーンでも、ご覧の通り、カメラを水中に入れてフレーミングを追い込むことも可能です。
純正アクセサリーのフィルターアダプターと角形フード（フィルターアダプターに付属）、シューティンググリップを装備した状態です。グリップは広げると写真のようにミニ三脚としても使え、カメラとグリップをMicro USBケーブルで接続すれば、左ボタンで写真を右ボタンで動画撮影をコントロールできます。
RXの名に偽りはなし
いかがでしょうか。今回はRX0M2の主に写真機としての実力を確認するレポートとなりました。RXシリーズといえば、SONYのレンズ固定式コンパクトカメラ「Cyber-shot」の中でも最上位にランクされるプレミアムなシリーズ。ZEISSのレンズに大型センサーとどれも写りに徹底的に拘ったカメラたちがラインナップされています。フルサイズセンサーを搭載したRX1R IIを筆頭にRX0と同じ1型センサーを搭載したRX100 VIなど、ハイエンドコンパクトカメラのブランドとして多くの方に支持をされてきました。そして今回ご紹介しました「RX0 II」もRXシリーズのメンバーとして、ご覧の通りその名に偽りのない素晴らしい写りを見せてくれました。スチルカメラとしてもムービーカメラとしても上質な写りが得られ、防水性を備えた堅牢で超小型のボディは、これまで撮影が困難だったシーンでも新たな映像世界を切り拓いてくれるでしょう。使い方はあなた次第、どうぞこのカメラを手にしてその未来を感じ取ってください。
( 2019.04.14 )
使い勝手が大幅に向上したRX0 II。35mmフィルムの紙箱とほぼ同じサイズに凝縮された高画質をどうぞご堪能ください。
こちらは30.5mmのフィルターが使えるアダプター。かっこいい角形フードも付属します。
機能的なシューティンググリップ。動画撮影だけでなく、写真撮影でも結構重宝しました。
常時動画撮影をする方にはケーブルプロテクターもお忘れなく。USBケーブルやHDMIケーブル、音声入力ケーブルなどをしっかりと固定し、コネクタを保護します。
カメラが小型なため、バッテリーも超小型。たくさん撮りたい方にはスペアバッテリーは必須です。動画撮影の方は複数個用意しましょう。
こちらはMicro USB端子を備えた専用のバッテリーチャーチャー。本体もMicro USBケーブルで直接充電できますが、チャージャーがあるとスペアバッテリーを充電する際に重宝します。
頑丈なボディですが、液晶はしっかりとフィルムで保護しましょう。
RX0M2にもぴったりのネックストラップ。着脱が容易で、カメラをいつでも首から提げておけます。