PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SONY α7R V, SEL5518Z Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 1/25, F11, ISO 100, Photo by TAK

SONY α7R V / SHOOTING REPORT

αの高解像モデル、Rシリーズも5世代目の「V」となりました。画素数はα7R IVと同じ6100万画素。フルサイズであらゆる側面から見ての「高画質」を実現する上での最適解なのでしょう。際立つ解像力についてはIVの時点でスリリングでしたが、今回は画像処理エンジンも刷新されています。上の画像をクリックし等倍で隅々までご覧ください。もはや言葉が出てきませんが、あえて言うならばフレーム内の生きとし生けるもの全てが等しく照らし出されている感覚です。もちろん本機のキモは高精細だけにあらず。最新のAFや4軸マルチアングル液晶モニターなどαシリーズ初となる要素も満載され、一層飛び抜けたカメラとなっております。早速ボディの方からご覧いただきましょう。

( Photography & Text : TAK )

LOOK & FEEL

  • PHOTO YODOBASHI正面。サイズはIVよりも全体的にやや大型化され、特にグリップ部がより深くなりホールド感が増しています。モードダイヤル直下の「静止画/動画/S&Q切り換えダイヤル」や「後ダイヤルR」(露出補正ダイヤルの代わりに自由に機能を割り当て可)など、直近モデルの「α7 IV」とほぼ同じ操作系になっています。
  • PHOTO YODOBASHI最大の特徴は背面にあり。新開発の4軸マルチアングル液晶モニターは、チルトもバリアングルも両方可能です。光軸とのズレも端子類との干渉もなく、素早くウエストレベルにできるチルトは便利です。とはいえバリアングルが必要な場面もあります。じゃあ両方面倒見まっせ。SONYの心意気です。
  • PHOTO YODOBASHIスロットはSD (UHS-I/II対応)カード、CFexpress Type Aカード用マルチスロットを2つ搭載した、デュアルスロット仕様となっています。
  • PHOTO YODOBASHIHDMIが汎用性の高いタイプAを採用。給電も可能なUSB Type-CはPowerDelivery対応で、より高速での充電が可能です。

OVERVIEW

以下にIVとの主な違いについてまとめました。画像処理エンジンが刷新され、8K動画の内部記録も可能です。手ぶれにも更に強くなっています。ファインダーの倍率やドット数も向上し、より見やすくなりました。ハード、ソフトの両面で大幅にアップグレードされていますね。

α7R V α7R IV
イメージセンサー 裏面照射6100万画素
画像処理エンジン BIONZ XR BIONZ X
動画性能 8K 24p / 4:2:0 10bit
4K 60p / 4:2:2 10bit
4K / 30p
AF測距点数 693 567
手ブレ補正 8段 5.5段
背面液晶モニター 3.2型 4軸マルチアングル 3型 チルト式
EVF 約943万ドット
0.9倍 / 0.64型
約576万ドット
0.78倍 / 0.5型
カードスロット デュアルマルチ
(SD / CFexpress Type A)
デュアル
(SD)
USB マイクロUSB
USB Type-C(SuperSpeed USB 10 Gbps (USB 3.2)に準拠)/ PowerDelivery対応
マイクロUSB
USB Type-C
HD出力 HDMI(タイプA) HDMIマイクロ端子(タイプD)
サイズ W131.3 x H96.9 x D82.4 mm W128.9xH96.4xD77.5mm
本体重量 638g 580g

PHOTO GALLERY

SONY α7R V, SEL1635GM FE 16-35mm F2.8 GM, 1/8000, F3.2, ISO 800, Photo by TAK

AFは被写体の認識性能が大幅に向上しました。認識できる被写体のジャンルがより幅広くなり、新たに飛行機、車/列車、昆虫に対応しています。まずは飛行機の認識を試してみました。しかも飛行機をあらかじめ遠方から補足して追いかけるのではなくこの構図でずっと待ち構え、フレーム内にいきなり飛行機がドン!と入ってきて即撮影!という負荷を与えます。更に人物も配置してAFを「誘惑」という意地悪を加えてみましたが、カメラは飛行機がフレーム内に入った瞬間から飛行機だけを一途に捉え続けてくれました。AF、めちゃくちゃ賢くなっています。これが撮れた時点で「ロケ終了!」と思えたほど、このカメラのポテンシャルを如実に感じることができました。

SONY α7R V, SEL1635GM FE 16-35mm F2.8 GM, 1/8000, F2.8, ISO 400, Photo by TAK

次は人物です。新開発のAIプロセッシングユニットが被写体の骨格情報を使って動きを認識するとのこと。どういうことかと申しますと、まず人物全体を四角で囲って補足し、そこからすぐにズズッと頭部の方に認識エリアが移ります。そして画面内に目が写る状態では目に「ズバピタ」となり、後ろ向きの時など目が写らない状態では頭部にフォーカスが行く仕組みのようです。つまり、どこを向いていようが、合ってほしいところにピントが来てくれるのです。ラフに撮っても目や頭部にほぼ100%の確率でピントが合っていました。いやもう天晴れです。さらには姿勢の異なる複数の人物を区別したり、個人の顔を登録しておけばその人を優先して認識してくれるそうで、、、ここまでやられると人間やることが無くなりますね(笑)。こういうロボットのような進化ぶり、実にSONYらしいなあと感じる次第です。恐れ入りました。


SONY α7R V, SEL1635GM FE 16-35mm F2.8 GM, 1/4, F11, ISO 100, Photo by TAK

自慢の解像力も、最新の「BIONZ XR」エンジンにより更に磨きがかかっています。虫食いの虫さん、居場所がバレバレかもしれません。オーバー気味に撮っても階調はリッチそのものです。

SONY α7R V, SEL5518Z Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 1/2500, F11, ISO 100, Photo by TAK

ハイライトも極めて緻密に、そして滑らかに描いてくれます。光、もっと言えば「フォトン」の存在さえ感じられるかのように。

SONY α7R V, SEL1635GM FE 16-35mm F2.8 GM, 1/320, F11, ISO 100, Photo by TAK

α7R IV以来の奥義、ピクセルシフトマルチです。クリックで等倍表示します(データサイズが177.9 MBと大きいのでご注意)。例えば金細工のディテールの再現。通常のショットでは捉えきれなかった更に細かな模様が写っています。この機能は新たにブレにも対応したとのことですが、遠景の森林などのような無数の枝葉が複雑に風に揺られているような状況では甘くなることもありました。その一方で神社を捉え揺れているのは鈴緒(参拝者が降って鈴を鳴らすための神具)くらい、といったシンプルな状況では問題なく撮影できました。揺れそうな要素を絞るほど成功率は上がるということかもしれません。もちろん動く要素が皆無という状況が理想です。そこさえクリアすれば、超高精細画像が確実に手に入ります。

SONY α7R V, SEL5518Z Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, 1/3200, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

SONY α7R V, SEL1635GM FE 16-35mm F2.8 GM, 1/125, F2.8, ISO 6400, Photo by TAK

高感度耐性も、超高解像モデルとしてはかなりのものがあります。細かく見ればISO 6400あたりからノイズの存在は感じますが、悪目立ちするなんてことはありません。この暗い状況で中判フィルムカメラが手持ちで撮れるようなもので、すごい時代になったと改めて思います。


SONY α7R V, SEL3528Z Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA, 1/5000, F2.8, ISO 640, Photo by TAK

初代α7Rに伴って発売されたSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAとドッキング。あれから9年が経ちました。ボディは少し大きくはなりましたが依然としてコンパクトな部類であることに変わりはなく、αの血統は着実に受け継がれています。

SONY α7R V, SEL3528Z Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA, 1/640, F11, ISO 6400, Photo by TAK

SONY α7R V, SEL1635GM FE 16-35mm F2.8 GM, 1/80, F8, ISO 100, Photo by TAK

手ぶれ補正は8段分に進化しています。これくらいの距離で6100万画素となるとシャッター速度には相当気を使うところです。1/80秒でもどうかな?と思いながら撮影してみたのですが、一発で決まりました。


α7R Vはビデオカメラとしても優秀で、8K/24pでの内部記録が可能です(7680 x 4320 / 4:2:0, 10bit)。クロップ倍率も1.2倍と低めに抑えられているので、動画に切り替えた瞬間「ずいぶんと狭くなったなあ」と感じることも少ないでしょう。この情報量、ただただ驚異的です。4Kで一部を切り出してもまだまだ高精細なので、編集の自由度も一層上がります。途中、55mmで手持ち撮影したシーンがありますが、かなり肉薄しての結果としては相当にブレが抑えられているのではないでしょうか。終盤近くの岩肌と木々のシーンでは、霧散している飛沫が細かく描かれています。願わくば8K対応モニターで見てみたい。持っていませんが。


PHOTO YODOBASHI

気軽に扱えてしまう、オールマイティーな超高画素モデル

AFや動画性能など、高画素機が故にある程度の水準で満足していた自分でしたが、このカメラは何もかもトップクラスに引き上げられています。つまり、高画素機であるにもかかわらず、気を遣わずサクサク撮れてしまうのです。最新AFの認識がとにかく賢い。認識がしっかりしていれば当然確度も速度も、そして撮影のテンポも上がります。しかも動物と鳥においては設定を切り替えずにどちらかをカメラが認識してくれるとのこと。そのうちカメラが撮影者の好みを勘案して認識対象さえ選んでくれる、そんな時代が確実に来るだろうと思わせてくれます。8段に進化した手ぶれ補正も強力で、スマートなAFと相まって高画素機を使っているという感覚すら忘れてしまい、軽快な撮影を楽しむことができました。8K映像を内部記録できる点も見逃せません。綺麗なシーンほど、実は動画でも残したくなるものです。しかも赤いボタンを押すだけで、高精細に記録してくれます。スチルとムービーはかつてないほどボーダレスになっています。α7R Vなら、その間を自由に行き来できます。ピンボケを無くしたい、ブレも無くしたい、綺麗に撮りたい、写真も動画も簡単に。カメラが発明されて以来の願いを全部叶えたようなカメラと言えるでしょう。ちなみにα1はブラックアウトフリーでコマ速は秒間30コマです。動きモノ中心でなければ、最強AFを搭載したα7R Vをご検討ください。

( 2022.11.25 )

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目下最強と言えるAFを備えた、キングオブ高画素機。このAFだけでも選ぶ価値がありますよ。

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電池は割と喰う印象です。2〜3個はあった方が安心でしょう。

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