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SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

SONY α1 / SHOOTING REPORT

お待たせしました。ソニー「α1」の実写レビューです。巷では「α9シリーズとα7Rシリーズとα7Sシリーズそれぞれの特長を1台に凝縮したような」と言われておりますが、まさにその通りで、高解像度、高感度・低ノイズ性能、広いダイナミックレンジを併せ持った、文字通り「全方位な」ボディに仕上がっております。実はこのα1、ソニーが公式にフラッグシップ機と位置付けた、初のフルサイズミラーレスカメラです。とうとう出てきましたか!「満を持して」という言葉は、まさにこういう時に使うのでしょう。荘厳で雄大な、登場のテーマ曲(よくわかりませんが、たぶんパイプオルガン系)が聞こえてくるようではありませんか。

( Photography : Z II / Videography by Z II & K / Text : NB )


まず外観から見てみます。写真をご覧いただければ分かる通り、外観はαシリーズの血統を引き継ぐもの。仕様表を見ると外径寸法はα7S IIIと完全に同一のようですが(質量はちょっとだけ重い)、ボタンやダイヤルの配置にいくつか違いがあります。まず目につくのは、後ろ側から見た時に左肩の部分に追加された撮影モードとフォーカス系の設定ダイヤル。録画ボタンも、C1ボタンと入れ替わる形でボディ右側上面からファインダー接眼部のすぐ横に変更されています。あと、背面液晶がバリアングル方式からチルト方式に変わったのも大きな変更点と言えるでしょう。これに関しては使い方の違いで好き嫌いがあると思いますが、ウエストレベルで、あるいは頭上に掲げて構えた時に液晶が光軸上に位置するチルトの方が感覚的に被写体を追いやすく(特に動画撮影時)、個人的には大歓迎の変更です。

SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

背面液晶はチルト式。

SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

左側の端子類。ドアが隙間なく並ぶ様はまるでコインロッカー。

SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

右側はCFexpress Type AとSD UHS-II対応のデュアルスロット。

そして肝心の中身。センサーは5010万画素のメモリー内蔵積層型CMOSセンサー「Exmor RS」、画像処理エンジンは「BIONZ XR」となっていますが、従来のαと比べて性能がアップしている部分を列挙すると、

  • 連写はα9シリーズの約20コマ/秒に対して約30コマ/秒のブラックアウトフリー連写が可能(ローリングシャッター歪みを抑えたアンチディストーションシャッターも搭載)。
  • EVFの解像度はクラス最高の944万ドット。またリフレッシュレート240fpsは世界初。
  • AF/AE演算はα9シリーズの2倍となる120回/秒。AF/AE追随の精度もα9 IIと比べて30%向上。
  • リアルタイム瞳AFは、新たに鳥の瞳の自動検出・追尾に対応。
  • 動画撮影時の放熱はα7R IVの約5倍という放熱効果を実現し、これによって8K 30pでも連続約30分の記録が可能に。
  • シンクロターミナルを使ったメカシャッター時のフラッシュ同調は、α9 IIの1/250秒に対し、1/400秒にアップ。加えて電子シャッターでもフラッシュ同調が可能に。

他にもありますが、これだけでもうお腹いっぱいでしょう。お題目はこのぐらいにして、さっそく実写レビューをご覧いただきます。


SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

梅の花びらどころか、雄しべ・雌しべまで解像しています。(画像のクリックで大きな画像を表示します)

SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

ネコヤナギのもふもふに注目。名前の由来がわかりますね。(画像のクリックで大きな画像を表示します)

SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

「祈る」という行為の重みを、あらためて感じる現在です。写りとは関係ありませんが。

SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

5軸5.5段の手ブレ補正は相変わらず効きまくります。手持ち1/25秒でこの通り。普通に構えて撮っただけ。

SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

木の虫食いの程度が、かなり正確にわかります。それにしても、あんなところの千社札、いつ誰がどうやって貼ったんでしょうね。(画像のクリックで大きな画像を表示します)

SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

手ブレ補正ばっちり+秒間30コマ=流し撮りがバシバシ決まります。


動画性能に関しても「次のステージ」に入ったα1。αシリーズ初となる8K 30pの動画記録(4:2:0 10bit)が可能になりました。そのほかにも4:2:2 10bitでの4K 120pハイフレームレート動画記録、全画素フルサイズ4Kの読み出し、約15+ストップのワイドダイナミックレンジ、高効率なMPEG-H HEVC/H.265コーデック対応など、動画性能についてもフラッグシップの名に恥じない内容になっています。

ここではFull HD 240P/4K 120P/8K 30Pで撮った各動画をご覧いただきます。

Full HD 240P

4K 120P

8K 30P


SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

画像が歪んでいるように見えますが、もちろんそうではありません。煉瓦塀の方が、作られた後に歪んだのです。おそらく1923年9月1日に。

SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

2秒の露光。さすがに三脚を使用しています。

SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II


SONY α1, SEL2470GM FE 24-70mm F2.8 GM, Photo by Z II

フラッグシップの定義

冒頭にも書きましたがこのα1、公式にフラッグシップと位置付けられた初めてのαとのこと。今まで気にしていませんでしたが、言われてみれば確かにそうだなあと。ここでフラッグシップというものについて考えるのです。フラッグシップとはどういうものか。逆に言えば、どういうものならフラッグシップと呼べるのか。α7を世に出した2013年以来、そのことをソニーはずっと考え続けてきたに違いありません。歴代のαは、そりゃもう、すべてが最高の性能でわれわれを驚かせてきたものばかりで、「これはちょっとなあ」みたいなモデルは一つもありません。それでもなお「いつかフラッグシップと呼ぶに相応しいものを自分たちが作れたら、それには『1』という名前をつけよう」と、ソニーが考えていたことは明白。もちろん、これは歴代のαが不満を残したまま世に出たという意味ではありません。ソニーが目指しているのは、われわれの想像もつかない遥かな高みだということです。映画でも、演劇でも、主人公はここぞという場面で登場します。ソニーもまた、機が熟して「その時」がやってくるのを待っていたんじゃないかなあという気がします。話は戻って、「どういうものならフラッグシップ機と呼べるのか」。ソニーがその問いに対する答えを得たからこそ、α1という製品がここにあります。正直、いいお値段します。でもそれは、ソニーが到達した答えの対価です。同時に、買った人だけが知り得る秘密です。"THE ONE"という特別な、チョーかっこいい称号を与えられたこのカメラの秘密を知ることができる人は、幸せです。

( 2021.03.21 )

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α9シリーズとα7Rシリーズとα7Sシリーズそれぞれの特長を1台に凝縮したフラッグシップα。この3シリーズの最新機種の価格を足すと1,477,790円になりますから(この記事の掲載時点・税込)、そう考えるとこれ、めちゃめちゃ安い!ということになりませんかね。

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今回の作例撮影に使用したレンズ・その1です。

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今回の作例撮影に使用したレンズ・その2です。

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