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SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

SONY α7C / SHOOTING REPORT

SONYのフルサイズセンサー搭載ミラーレス一眼カメラ「α7シリーズ」に、新たなメンバーが加わりました。その名も「α7C」。「C」はコンパクトを意味していますが、なんとAPS-Cセンサー搭載のα6600と実質同じサイズ/重量なのです。それでいて、2420万画素のセンサー、画像処理エンジン、秒間コマ数といった基本的性能は傑作スタンダードモデルの「α7 III」とほとんど同じで、AFにいたっては追従性や低輝度での検出力が更に進化しているではありませんか。つまり、小型化の実質的な代償が無いという、まったく新しいスタンダード機なのです。奇しくもα7 IIIのレビューで撮影を担当したわたくし、思わず「ずるい!」という失言が漏れてしまいました。細かいスペックがどうのと言うよりも、このサイズでフルサイズ。これは全く新しいカテゴリーであり、比較の対象がありません。まさに「世界最小、最軽量のフルサイズミラーレス一眼カメラ」であり、得られるものは容易に想像がつきますよね。早速、ご紹介いたしましょう。

( Photography, Videography, and Text by TAK )

α6000系で経験しているサイズとはいえ、フルサイズセンサー搭載のレンズ交換式と思うと一層小さく感じます。どんなアクティビティでも邪魔することなく、信頼できる記録係として常に寄り添ってくれるような存在で、持ち出す機会が増えそうです。しかも、中身は「α7 III」ゆずりの2420万画素の裏面照射型「Exmor R CMOSセンサー」と「BIONZ X エンジン」のテッパンコンビ。AIを活用したリアルタイムトラッキングも人間並みに賢くなっていますし、バッテリーライフにいたってはライブビュー時に最大740枚も撮れるというスタミナも自慢です。

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トップカバーの一等地に構えた録画ボタンに、自撮りにも対応したバリアングル液晶。スチルもムービーもシームレスにこなすことが、これからのスタンダードになっていくのでしょう。ファインダー部のサイズからもお察しの通り、倍率は0.59倍と数値の上では確かに小さいです。でも覗いてしまえばすぐに慣れます。乗り込むのが難しそうなスポーツカーでも、乗ってしまえば快適なのと同じです。フレームレートも120fpsまで上げることができますし、レンズを通した世界が綺麗に見えますよ。また、背面にジョイスティックがないので測距点の選択はα7 IIIの方がスムーズかもしれませんが、それとてα6600と同様コントロールホイールでちゃんと選べます。つまり実用上、全く問題なし。むしろ「フルサイズセンサーを詰め込んで、よくここまでやった。感動した!」でございます。これより作例写真をご覧ください。


SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

フルサイズセンサーならではの、余裕のある表現力

輪郭、陰影、質感をあるがままに捉える描写力。当たり前のように聞こえますが、これが全方位でしっかりとできるのがフルサイズセンサーの証です。

SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

ハイライトの描き方にも気品があります。オーバー目に撮影してますが、ベタッと飛んで終了なんてこともありません。滲むこともなく窓枠もくっきり写しつつ、現場のソフトな雰囲気もリアルに伝えてくれます。どんな光にも安心して向かっていける心強さを感じますね。

SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

陰影や形と戯れるのは、カメラを持つ者に許された嗜み。α7Cの描写力なら、その遊びの質が上がります。

SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

手振れ補正は5段分。思いの外暗い状況でも、手持ち撮影を強力にアシストしてくれます。軽快なカメラは、軽快に使いたいですものね。

SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

艶というものは実は厄介な被写体。輝度差の激しい反射という現象だけでなく、その現象が起こっている物自体の階調や質感や形状を克明に描ききるという、ハイレベルな能力を要求してきます。結果はご覧の通り、端正でつるんとしております。

SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

ビデオではISO 3200のカットをお見せしていますが、こちらはISO 6400まで上げたものです。ここまで写ってくれれば、何も申し上げることはございません。α7 IIIと同じ画作りですから当然ですけどね。


SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

ズームレンズキット同梱の「FE 28-60mm F4-5.6」のテレ端にて。決して明るいレンズではありませんが、それでもボケの量はたっぷり。これも大型センサーの恩恵ですね。一瞬光が差したところを狙ったのですが、綺麗だな!と感じたそのままの光景です。AFはビデオでもご紹介した通り、ロックオンした被写体を執拗なほどに追いかけてくれます。ちなみにこのシーンでは、測距点は中央のままでそこでAF-ONボタンで合焦させ、この構図に持っていきました。その際、グリーンの合焦表示がアメーバのようにもぞもぞと動くのですが、「ちゃんと合わせ続けてるからね!」と教えてくれているようで、頼もしかったですね。ちなみにリアルタイム瞳AFは、スチルでは人物と動物の瞳に、動画では人物の瞳に対応します。

SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

遠景高周波もカメラの底力が表れる被写体ですが、拍子抜けするほど何の問題もありません。絞り込んで全域にピントが来るようにしていますが、並のカメラではこういう画は成立しないでしょう。もちろん更に高画素のカメラもありますが、これで必要十分。データハンドリングもし易い上に手ブレ耐性も高いのが2400万画素クラスのメリットであり、「スタンダード」である所以です。キャンプに出かける時アレもコレもと詰め込んで、結局使ったのは一部のギアだけだったなんてことはよくある話。そういうことなんです。

SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

しっとりとした空間もこの通り。雨音さえ聞こえてきそうです。


SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK


高密度の4K映像。充実の動画機能。

このカメラの4Kはただの4Kとは違います。2400万画素は映像で言えば6K相当。その全画素を読み出し凝縮して生成される4Kなのです。いわゆるオーバーサンプリングという技術ですが、モアレやジャギーを抑制する他にも、質感、解像感、階調性の向上など、多くのメリットがあります。キレイに見えるのは、理の当然ですね。

120fpsのスローモーション。解像度は2K/FHD相当になり、音声も無音になります。スローモーションといってもただカメラを固定してゆっくり見せるだけでなく、あえて動かすことでブレ感を抑えた映像を得る手段にもなります。

SONY α7C, SEL2860 FE 28-60mm F4-5.6, Photo by TAK

S-Log撮影についてもご紹介します。こちらは写真を見せた方が早いので並べてみました。スチルでのRAWデータのようなもので、後処理の自由度を上げることができます。今回は「S-Log3」で撮影。左が元データの一コマです。15段ものダイナミックレンジが得られるとあって、見た目は眠たいですが素材性は相当高そうですね。動画編集ソフトで2種類のLUT(Lookup Table: 色調を調整するツール)を当ててみました。真ん中が「SLog3Gamut3.CineToCine+709」で、右が「Slog3SGamut3.CineToLC-709」です。トーンに幅があるので編集も自由自在。ハイライトの飛びが懸念される現場での保険としても活躍してくれそうです。


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ミニマルサイズのフルサイズ。SONYの新たな金字塔。

フルサイズならではの高い表現力で作品づくりにも没頭できる。動画も簡単に好きなように撮れる。何でも出来るバランスの良さが「スタンダード」の資質です。実際、そういうカメラは今までもありました。しかし、どこへでも持っていけるカジュアルさまで兼ね備えたカメラはあったでしょうか。α7Cは上級者のサブカメラとしてはもちろん、一通り遊んできた玄人の方が行き着くような存在でもあります。また、スマホとは次元の違う表現に挑戦してみたい方にも一押しのカメラですし、Vlogなども視野に入れたミラーレス機をお探しの方もこれ一択でしょう。

言うまでもなく「フルサイズ」とは35mmフィルムの一コマ分、36×24mmの面積のことですが、フィルム時代はカメラが小型化しても感材は36×24mmのままで、基本的にどのカメラも「フルサイズ」でした。いま、デジタルカメラでもついに同じことが起こったのです。もうセンサーのサイズ、いや、パフォーマンスさえ妥協することなく、可搬性だけを理由に選べるカメラが現れてくれたのです。そしてそれを成し遂げたのは、デジタル時代にレンズ交換式一眼レフカメラ市場に新たに参入した会社です。SONYの新製品には必ずサプライズがあります。今まで何度も度肝を抜かれたり唖然としたり色々と驚かされてきましたが、今回は小型化のSONY節全開。実に心地よいサプライズでした。我々がなすべきは、このサプライズの滝に打たれ、写真と映像の世界にどっぷりと浸かること。α7C、いいカメラですよ。

( 2020.10.26 )

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今回ご紹介したシルバーのレンズキット。これがまたカメラのキャラクターにピッタリ。あえてこちらをオススメしたいくらいです。

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こちらは王道ブラックのレンズキット。この沈胴式レンズがまたコンパクトで、良い仕事をしてくれるのです。

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すでにレンズは持ってるよという方は、こちらをどうぞ。

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こうして見ると、ボディ前面に対するセンサー面積の比率がすごいですね。

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お待たせしました。バッテリーのコーナーです。何個でもどうぞ。

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このカメラはUSBケーブル経由でボディで充電できますが、電池を抜いてこちらで充電するとより速く充電できます。

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NP-FZ100を既に複数お持ちの方。充電器のラスボスを召喚してみてはいかがでしょうか。4個の充電はもちろん、それを使って対応カメラへの電源供給を行うこともできます。

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本機はこちらのワイヤレスシューティンググリップにも対応。Vlogには欠かせませんよね。

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手持ちで自撮りならコンパクトな超広角が必要です。F1.8と明るいのもポイント。

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35mmや50mmの単焦点のチョイスはお任せします。でもせっかくソニーで動画撮るなら、世界初フルサイズ対応の電動ズームをオススメしたい。シビレます。憧れます。

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