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Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX

SAMYANG MF 14mm F2.8 Z vol.1 vol.2

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コストパフォーマンスに優れたレンズを取り揃えるSAMYANG(サムヤン)の超広角マニュアルレンズのレビューをお届けします。「MF 14mm F2.8 Z」は同社のラインアップとして初めてニコンZマウントに対応し、115.7度のワイドな画角で目の前の光景を丸呑みしてしまう一本。非球面レンズや複合非球面レンズをはじめ、低分散レンズや高屈折レンズを組み込んだ光学系は10群14枚構成。金属製の鏡胴はすっきりとしたデザインで重量は810g。全長は124.1mmで花型フードが固定されています。最短撮影距離は280mmなので存在感のあるフードの影が被写体にかからない程度まで近づけそうです。ドンと張り出した前玉にはウルトラマルチコーティングを施し、フレアやゴーストの軽減が図られているとのこと。14mmの伸びやかな画角でどんな描写性能を見せてくれるのか。早速、作例カットをご覧いただきましょう。

( Photography & Text : KIMURAX )

Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX

開花時期から察するにヒメジョオンでしょうか。ハルジオンというとてもよく似た花があるのですが。きっと誰もが一度は目にしたことがあると思われる、道端で目にする可憐な存在。ちょっと邪魔になりそうなフェンス越しでしたが、本レンズのパースペクティブ表現でなかなかいいアクセントになっています。F2.8による深度の浅さも手伝って、フォーカスした花弁をさらに引き立てるように周辺は程よくぼけていますね。小さな主役ながら、絞り開放から解像感たっぷりの描写であることが窺えます。

Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX

いわゆる、とろけるようなボケ味ではありませんが、しっかりとかき消してしまうことなく輪郭をそれとなく残しています。14mmの超広角レンズながら背景をぼかすことができるとは、ファインダーを覗いているそばから楽しいものです。

Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX

超広角らしい伸びやかな描写です。表情豊かな雲が広がる濃厚な青空。ドラマチックな雰囲気を添える周辺減光。カラフルな傘や着物の発色もいいですね。全体的に鮮やかな印象です。

Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX


Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX

絞った画も見ておきましょう。曖昧さなく四隅までしっかり解像させたければF8まで絞るとよいでしょう。周辺減光もほぼ解消します。非球面レンズを使用しているとあって少々癖のある歪曲が出ますが、対角線上に直線を入れるとご覧の様にビシッと通ります。

Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX

F4でもそれなりに広範囲に解像感が行き渡ることがわかります。四隅に写り込むものによって印象も変わってくるでしょうが、青空では周辺減光の存在は残ります。しかし広い画角だからこそこの周辺減光が、持て余してしまいそうな余白をいい塩梅に埋めてくれているようにも感じるのです。

Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX

被写体との距離にもよりますが、個人的に描写性能など諸々のバランスがよいと感じたのはF5.6あたりでした。いかがでしょうこの撮像。ハイライトからシャドーまでバランスよく表現しつつ、立体感も上々です。

Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX


Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX

ガラスの天板に敷かれたレースの繊維を、絞り開放から余すことなく綿密に描き込んでいます。テーブルの直径は7~80cmほどありましたが、超広角レンズでフレームすると意外とこじんまりと感じるものですから面白いですね。

Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX

絞り開放で露出をアンダー気味にして周辺減光によるスポットライト効果をさらに。何かといろいろなシチュエーションで使える演出だと思います。

Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX

Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX

Nikon Z 7, SAMYANG MF 14mm F2.8 Z, Photo by KIMURAX


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スパイシーな14mm F2.8

絞り開放からきっちりと解像する上に、超広角レンズながらボケまで楽しめてしまうとても使いでのある一本でした。開放付近での周辺減光はありますが、それをどう画作りに活かすのかその場その場で考えるのも一興。マニュアルフォーカスですから、贅沢に時間を使えるレンズとして心行くまでお楽しみください。F2.8でのフォーカス操作はさすがにシビアになりますが、フルサイズのZボディなら拡大画像で詳細なピントを確認できるので安心です。ただ、電子接点はないので絞り値などのEXIF データは共有されず、歪曲収差の補正もできません。非球面レンズによる少々複雑な歪みを見せますが、レンズプロファイルに対応したソフトなら難なく修正できるでしょう。超広角レンズであれば大なり小なり何かしらの歪曲収差を孕むものです。それと折り合いをつけながら、大口径超広角レンズをこのサイズと重量にまとめ上げ、リーズナブルな価格でZマウント用としてリリースしてくれたことは有難いこと。しかも純正レンズでは、超広角ズームしかカバーしていない焦点距離(執筆時点)ですので貴重な存在です。大口径超広角の世界を気軽に楽しめる「MF 14mm F2.8 Z」。本レンズならではのスパイスを、日頃の作品作りにぜひ活かしてみてください。

( 2022.09.07 )

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ニコンZマウント純正レンズにはまだない14mmの世界。好奇心豊かな貴方はきっと我慢できないはずです。

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