PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Nikon NIKKOR Z 40mm f/2
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
ニコン Z マウント向けのコンパクトな標準単焦点レンズ「NIKKOR Z 40mm/f2」の登場です。全長45.5mm、重さ170gというサイズにまとめられ、非沈胴式なので電源ONから速やかにシャッターチャンスに対応することができます。AFには新開発のステッピングモーターを搭載し、静かに素早く、確実に合焦。焦点距離は35mmのようには広すぎず、50mmよりはゆったりとフレームできる40mmなので、街撮りスナップからポートレートやテーブルフォトにと、何かと重宝する一本となるでしょう。何よりこのコンパクトさがこのレンズの売りとなっており、4群6枚のレンズ構成としつつ非球面レンズ2枚を組み込み、絞り羽根は9枚。最短撮影距離約は0.29m、最大撮影倍率0.17倍。防塵防滴に配慮した設計という凝り様です。
( Photography : Z II / Text : KIMURAX )
絞り開放F2がもたらすボケでどんな風景に仕立て上げられるのかと、遠くではなく1m先の辺りにあえてフォーカス。背景はボケすぎることなく立体感を残しており、画に十分な奥行きが感じられます。F2というスペックでもなかなかの浮遊感が得られるので、これは遊べそうです。
最短撮影距離29cm付近まで接近。絞り開放ですから、背景のボケ量も大きくなり程よく整理されます。ピント面が薄いので、自然に朽ちてきた網ホオズキの中にフォーカスすることで、ボケかけた葉脈によって透け感を醸成することができました。
絞った画も見てみましょう。画面全域に渡ってカリッとした気持ちのよい描写ですね。ハイライトからシャドーまでバランスよく自然に描き分けています。艶めく蓮の葉の質感描写も見事です。
窓ガラス越しですが大変クリアな写りです。柔らかい木漏れ日の表情も、見た時のままに再現しています。AFはキビキビ、スイスイ。スナップのテンポを妨げません。
いつも気に留めることもなく通っている道でも、思いがけない太陽のスポットライトで素敵なシーンが生まれます。青々と照らし出された主役もいいですが、影の表情がこれまたいいのです。軽量コンパクトなレンズを着けっぱなしにしておけば、そんな出会いにも即座に対応できます。それにしてもシャドーのトーンがいいですね。
金属の質感描写はどうでしょう。メッキの部分の艶感はもちろん、錆びたナットのざらついた感じまでも見事に描き切っており、ボケも素直。レトロな被写体とも相まって、ゆったりとした時の流れみたいなものを感じさせます。
コンパクトでリーズナブルな広角寄りの標準レンズですが、歪曲収差は見られません。こういったクオリティの高さは、純正レンズの折り紙つきです。
無機質な階段ですが、陰影がよい表情を与えていました。本レンズのキレのよさとコントラストの高さがよく表れているカットだなと感じ入ります。
解像感たっぷり、ボケMAX。箱から取り出したままで皿にも盛っていませんが、なんだかそれなりに雰囲気があるから不思議です。距離によってボケの傾向にも変化が見られますが悪目立ちするようなことはなく、全体の雰囲気としてはこれはこれでよいと思います。
硬いもの、柔らかいものをしっかり描き分けています。メリハリの効いた写りは、なるほどZレンズだなと感じさせる描写ではないでしょうか。
鏡胴が短いこともあり、口径食はわずかで整った玉ボケです。絞り開放値F2という明るさですから、朝から晩までスナップを存分に楽しみたくなります。
価格を優に超える写り。Zレンズにハズレなし。
コンパクトサイズながら明るめのF値を備えたことで、被写体をスッと浮き上がらせる。FXフォーマット（35mm判フルサイズ）の大型センサーに対応していることもあり、ある意味、気軽に何を撮っても絵になってしまうという印象です。Zレンズらしいなと感じさせるメリハリの効いたコントラスト。加えてトーンの連なりも良好ですから、立体感、リアリティのある描写を求める方にも満足いただける描写力ではないでしょうか。それでありながらZレンズシリーズ内において、最もリーズナブルなプライスタグを付けての登場ですから正直驚かされました。気軽に買えて、身軽にいつでも撮影に持ち出せる標準域の単焦点レンズを待ち望んでいたZマウントユーザーはきっと多いと思います。標準域をカバーするコンパクトでよく写る純正ズームレンズはあるものの、そこはやはり単焦点レンズのヌケのよい画が欲しくなるものですよね。沈胴式ではないので煩わしさがないところもマル。いくつかズームレンズを揃えた次に、最初の単焦点レンズとしては手頃ですし、ガッツリ大口径を使ってきたという人にはカジュアルに楽しめる存在としておススメです。一日中着けっぱなしで軽快にスナップしてもいいですし、そっとカバンに忍ばせておいてもいいでしょう。この価格でこんなにも写る。やはりZレンズにハズレなし、と思い知らされたZユーザー必携となること必至の一本です。
( 2021.10.13 )
なるほど純正、納得の写り。おいおい、価格を見て思わずビックリ！ この気軽さはZレンズ史上初！？
フィルターもコストパフォーマンス重視で。しっかり守って大事にガンガン使い倒しましょう。
着けっぱなしで活躍する40mmレンズですが、バッグに忍ばせておく際にはこちらをご利用ください。
えっ、まだZボディお持ちでない？ Zマウント用レンズが充実してきた今が絶好のチャンスです。