PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

光に振り回されていませんか?

カメラを手にして、いつもどんなものを撮影していますか。家族の日常、旅先の景色、お散歩スナップ。山登りをして出会えた高原植物を写真に残しておくとか、鳥を水辺で待ち続けるとか、時刻表片手に鉄道を狙うとか、人の数だけ楽しみ方も様々です。

ちょっと思い起こしてみてください。たぶんほとんどの場面では、その場の光に合わせて写真を撮っていると思います。「アベイラブルライト」なんていう言い方をするのですが、"available" すなわち、そこで手に入る・利用可能な光で撮影しているということです。日中なら主に太陽の光ですから、プロローグに示したように私たちはそこにある光を読むしかありません。

至極あたり前のように思えるかもしれませんが、本当にそうでしょうか。照明があれば光の強さは変えられますし、窓から差し込む光だってカーテンひとつで調整できますよね。光に合わせて写真を撮るのではなく、撮りたい写真に合わせて光をコントロールする。被写体や構図に頭をひねらすのと同じように、光の具合をも考えに加えれば、写真表現はぐっと幅が広がるはずです。

Vol.2では、光をコントロールするために露出計を活用してみます。光に振り回されるのではなく、光を振り回す側になってみる。そんなきっかけになれればいいのですが。

( Photography & Text by Z II, Serow )


白背景での撮影にチャレンジ

最初のカットでネタバレしてしまっていますが、今回のモデルは編集部に転がっていた量産型ザク君にお願いしました。すてきな女性にお願いするほどの予算と時間がないとか大きなセットを組むスペースがないとかそういう事情はさておき、ちょっとした商品撮影やブツ撮りのプロセスを知ってもらえれば参考になることもあると思います。あらかじめ言い訳しておきますが、難しいことはやりません。照明・ライティングの話に突入したら1冊の本が書けてしまう世界ですからね。

さてこちらの写真、左側からモノブロックストロボで光を当てて撮影したものです。なかなか凛々しい立ち姿で、このままでも良いのですが、陰影がハッキリしてしまって少々シリアスですね。もう少し商品全体に光を回したいし、足元の影もやわらげたい。要するに白い背景に商品ひとつが写っているような、そういう1カットを狙ってみたいと思います。

実際の撮影状況はこんな感じです。お見苦しくて申し訳ない。シワだらけの紙が背景だったり、トレーシングペーパーがヨレヨレだったりするのもお分かりになるでしょうが、まあこんなものでいいのです。

露出を測ってみましょう。モノブロックストロボからカメラにつないでいたシンクロケーブルをはずして露出計につけ、露出計をフラッシュ用のモードにして測光ボタンを押すとストロボがパシャッと発光します。ストロボが光る瞬間の露出を測ってくれるんですね。

もちろん露出計は、撮影するカメラ側のセッティングに合わせておきます。今回はISO100、シャッタースピード 1/125s。ストロボ側も光量を設定できますが、最初は「だいたいこんなもんかな」という値にしておきます。露出計はF8という絞りを示したので、そのまま撮ったのが先程のカットというわけです。


足りない光は足せばいい

左からの一発のストロボでは影ができるのを、どうしたらいいでしょう。単純に足せばいいのです。ということで②の位置にもモノブロックストロボを追加して、上からも照明を当ててみることにします。

ハイ、これで撮影してみました。上から光が足されたので、ザクのシャドー部分も明るくなって背景も白くスッキリ・・・とはいえさすがに少々明るすぎますね。

アベイラブルライトでの撮影だと、こういうことはよくあると思います。背景やシャドーはF8で撮りたいのに、ハイライト側はF11でないと明るくなりすぎる、というようなシーンです。そんな時は結局、間をとった露出で撮影することになるのですが、今回は違う方法で解決しましょう。そう、光をコントロールするという方法です。

モノブロックストロボの後ろ側はこんなふうになっていて、発光する光の強さを調節できます。ダイヤルがあって、FULLから1/32まで印があるのがわかりますか? 先程は露出計で露出を決めましたが、今度は逆。決めた露出に合うように光を調節しようというわけです。

というわけで色々な場所で露出を測りながら、光量を調節していきます。まあこれだけシンプルなライティングでここまですることもないのですが、露出計という道具にこういった使い方もあると思っていただければ。(勘のいい方なら「この絞りで撮りたいから、こういう明るさにする」なんていうことができるとお気づきでしょう。やっぱり照明機材も必要ですよ。)

光をつくれば写真も変わる

というわけでこんな塩梅になりました。「ザクは黒背景のほうが格好良く撮れたよね」などと編集部でも言われてしまいましたが、今回の特集、別に「ブツ撮り講座」をやろうとしたわけではないのです。お伝えしたかったのは、光を読むことで、光をつくる手がかりが得られるということ。光はつくれるものだということです。

モノブロックストロボでなくても、クリップオンストロボならお持ちの方は多いでしょう。アベイラブルライトの環境でも工夫次第で光を調節することができます。調光機能のある照明、手元の電気スタンド。光をコントロールしようという発想を持てば、スマートフォンでの撮影だってクオリティはずいぶん変わります。

次に写真を撮る時には、どんな光が被写体に届いているのか確かめてみてください。その光、コントロールする方法はありませんか?


もくじ


光の量はどのぐらい?

カメラが写しているのは光。被写体にあたる光の量こそが適正露出を導く鍵なのです。


露出感覚を磨く

単体露出計の使いかたと測光の基本を紹介いたします。目指すは勘で露出を決めること。


露出に意図を!

眼の前に広がる光景を、どんな風に写したいのか。ゾーンシステムを手がかりにチャレンジしてみます。


露出計愛がとまらない

カメラという道具がそれだけで魅力的であるように、露出計にも道具としての魅力があります。

( 2018.07.19 )

Loading..
Loading..

今回使ったのはゴッセンのデジスカイ。TFTカラースクリーン搭載で、必要情報がスマートに表示されます。無線を使って複数の照明機材を同時操作、なんていう芸当もできるので、スタジオ撮影では活躍するでしょう。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

記事内では紹介していませんが、一般的な使い方ならこちらのほうがシンプルで使いやすいかもしれません。定常光とフラッシュ光の広い光域を測定でき、光球の角度も変更できます。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

撮影に使用したモノブロックストロボは10年近く前に買ったものですので、現行モデルからご紹介。最大出力200Wsと控えめですが、一般的な使い方では十分だと思います。まずはこのあたりから。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

アンブレラとスタンドがセットになったセットもあります。難しいことを考えずここからスタートするのも良いと思います。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

スタンドならやはりマンフロットが定番。いくつかのサイズがありますので、撮影場所に合わせてお選びください。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

こういうスタンドならストロボで上から照らせます。バランスを取る重りも必要なんですね。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

光を面に変えるためにはトレーシングペーパーでOK。サイズはやはり環境に合わせて。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

トレーシングペーパーを下げるにはこういったアームをスタンドにつけて使うと便利です。棒にこのお値段? いえいえ、一生モノですから。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

背景にはこんなスタンドを使います。もちろんこちらも長く使えますよ。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

背景紙は被写体サイズに合わせてお選びください。こちらは比較的コンパクトな135cmサイズ。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

組立不要、届いた日から遊べるフィギュア。可動域や装備品、手のバリエーションなども豊富で、あのシーンやこのシーンを再現できます。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

白いヤツや赤いヤツではなく、名もなき一兵士の人生に思いを馳せるあなたへ。次回「Vol.3 露出に意図を!」。君は生き延びることができるか?

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..