PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

電源を入れてシャッターを切れば、写真が撮れてしまう時代になりました。道具の進歩はカメラばかりではなく、洗濯機なら脱水から乾燥まで勝手にやってくれますし、材料を入れてボタンを押せば料理ができあがる便利な調理器具もあります。もちろん人の負担が減るのは大歓迎ですが、その行為を趣味として楽しんだり、技術を磨こうという意志があるなら、便利すぎる道具も考えものでしょう。フードプロセッサーを使っている限り、みじん切りが上手くなるわけはないですよね。

さて写真の腕前を上げたいと思うとき、もっと写真というものを理解したいと思うとき、取り組むべきことは何でしょう。それはやはり、絞りとシャッタースピードを決めること、すなわち「露出」ではないでしょうか。キホンのキホンでありながら、突き詰めていくと厄介なテーマです。強力なガイドである「露出計」を片手に、なるべく難しくならない範囲で、チャレンジしてみたいと思います。

( Photography & Text by Serow )


露出ガイドというもの

今のようにカメラがオートマチックでなかった時代、撮り手はどうやって露出を決めていたのでしょう。たとえば昭和40〜50年代あたり、家族旅行を前に同僚にカメラを借りたお父さんだったら。(かつてカメラは大変高価なもので、誰もが持っているような道具ではありませんでした)

ISO感度はフイルムを買う時点で決まります。今でもISO100のフイルムだとか、ISO400のフイルムが売っていますね。昔はフイルムの箱に露出ガイドが書いてあったものでした。例えばフジフイルム・ネオパン100(ISO100)のパッケージには「シャッタースピード1/250秒の時の絞り値」として「晴 = f/8」「曇・日陰 = f/4」なんて書いてあります。結構シンプルな目安ですよね。これで本当に写るのでしょうか。

実際に露出ガイドの「晴」の値(F8)で撮影してみると、こんな具合になりました。6月下旬・晴れ・東京・AM11:30。確かに写ります。
日のあたっているところは良い具合ですが、日陰の部分は少し暗いですね。露出ガイドによれば「晴」から「曇・日陰」で2段分開けば(F8→F4)良い、ということになっています。日陰の露出目安でも写してみましょう。

F4で写すとこのような具合。日陰になっている街路樹の表面が、しっかり描写されました。しかし日向は少々明るすぎますね。

日向と日陰のミックスする被写体なら、間を取ってF5.6。目で見た印象はまさにこの具合でした。割と単純だと思いませんか。


昼間の光はほぼ同じ?

しかし「晴れ」の一言で済ませてしまえるほど、光の量は一定なのでしょうか。これを確認するために単体露出計を使ってみます。露出計の詳しいハナシは特集本編で解説するとして、ともかく色々なコンディションで光を計測してみましょう。今回使うのは、操作も結果もシンプルな「セコニック フラッシュメイト L-308X」。白い球の部分で光を測っていますが、フイルムの箱と同じ設定基準「ISO100・シャッタースピード1/250秒」で、どんな絞り値を示すかを見てみます。先程のシーン、日向で測るとF8が出ました。ホントに晴れ=F8です。

木陰で測るとF4。ズバリですね。

場所を変えても、日向はだいたいF8。

ハイ、日陰F4。

木が覆いかぶさるこんな場所なら・・・おっとF2.8になりました。

見るからに暗そうな場所ではどうでしょう。画面真ん中のスツールのあたり。

F1。さすがに1/250では撮れません。(F2.8で撮るとしたら1/30です)

昼間の時間帯、屋外では、確かにフイルムの箱に書いてあった通りの露出値を示してくれました。結局これが何を測っているかといえば、太陽から地球に降り注ぐ光の量です。1億4960万kmの距離を隔てて届く膨大な光は、地球のどこであれ大差ないということかもしれません。そしてその光の量がわかれば、ちゃんと写真を写すことができる。適正露出を決めるために大事なのは被写体に当たる「光の量」なのです。


これで写真が撮れていたのだから

フイルムの箱より、もう少し高度なガイドをご紹介しましょう。これはローライコードという二眼レフの背面に描かれているもの。ASA100(すなわちISO100)の行を見ていくと15から11まで5段階の値が書いてありますが、カメラ前面のレバーでこの数値に合わせると、絞りとシャッタースピードが決まる仕組みになっています。たとえば14ならF8で1/250という具合・・・見慣れた値が出てきましたね。このパネルでは左から二番目が「晴れ」ということでしょう。上に描かれた画がシチュエーションを示しているはずですが・・・若干判断が難しくはあります。

注目してほしいのは実はその下。人の影の長さに応じて、値をマイナスする補正値が書いてあるのがわかりますか? 朝晩の傾いた日差しであれば、光の強さは落ちるというわけです。

朝7時頃の測光。「快晴」と言っていいぐらいの光の強さを感じましたが、実際測ってみると昼間よりは光が弱いことがわかります。影は身長よりすこし長いぐらいでした。影の長さによる補正も身につければ、日中・屋外での露出は概ね判断できてしまいます。

究極の露出ガイドをご紹介してプロローグを終えることとしましょう。関研究所の「セノガイド」は、カードサイズに収まるコンパクトなアルミの露出ガイドです。付属していたマニュアルによればこの「モデルC」は昭和55年発売の製品。天気や季節、時刻など、円盤を回してセットしていくことで適正露出が得られます。昼間の屋外撮影についての見方を、簡単にご紹介しましょう。

まず①の部分で「季節」を合わせておきます。この例では、L.Su = 明るい夏(6・7月)に合わせています。
次に②の部分で、使用している「フイルム感度」と「天気の状態」を一致させます。この例では ISO100と晴天を合わせました。
そして③の部分で「時間」または「影の長さ」を「被写体種別」に合わせます。8・4というのは、AM8時とPM4時なのですが、このとき右側にある1.5が影の長さになります。(この時間指標は選んだ季節によって変わっていて、たとえば冬であればAM8時の影の長さは6を示しています。) この例では、AM8時に屋外の人物(全身)を撮影するものとしました。

さてこの結果として、④の組み合わせが決まります。F8ならば1/250s、F4ならば1/1000sというわけです。よくできていますよね。

さて、本特集のテーマは「光」です。そしてそれを測るために生まれた「露出計」。
カメラが出す目にプラス・マイナスするというリアクション的な撮影から一歩踏み込んで、光と露出について考えてみませんか?


もくじ


露出感覚を磨く

単体露出計の使いかたと測光の基本を紹介いたします。目指すは勘で露出を決めること。


光をコントロールする

ストロボがあれば「光」をコントロールできます。どうセッティングすればいいのでしょう。


露出に意図を!

眼の前に広がる光景を、どんな風に写したいのか。ゾーンシステムを手がかりにチャレンジしてみます。


露出計愛がとまらない

カメラという道具がそれだけで魅力的であるように、露出計にも道具としての魅力があります。

( 2018.07.12 )

Loading..
Loading..

ボタンひとつで測光し、デジタルで値を表示。シンプルな操作が魅力の単体露出計です。基本的な機能は漏れなく備えていて、露出計をはじめるにはピッタリだと思います。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

マニュアル撮影にトライするならフジフイルムのXシリーズなんていかがでしょうか。絞りもシャッタースピードもダイヤル回して選択できるのがいいのです。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

趣味と家事は別の話。ボタンひとつで一品できあがるなら、料理の組み立てはぐっと楽になるわけです。しかも素材のうま味がギュッと際立つ無水調理ができる。発売以来大人気の商品、お見逃しなく。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

みじん切りが上手くなくたって、いいではないですか。包丁に固執せず鮮やかに料理を仕上げていくあなたへ。料理の幅がぐっと広がります。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

美味しいお料理を食べていたら、次に測るべきは身体。最新体組成計がスゴいことになっているの、ご存知ですか? 26項目ものデータを収集し、あなたの身体を丸裸にしてくれます。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

洗濯機の進化もすごい。温水泡洗浄で汚れをしっかり落とします。外観もスタイリッシュになりましたね。AWA DANCEしながら仕上がりを待ちましょう。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..