PHOTO YODOBASHI

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FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX

FUJIFILM X-T5 / SHOOTING REPORT

富士フイルムのXシリーズにおいて動画性能に磨きをかけた「X-H2」「X-H2S」の登場に続き、11月に発売となった「FUJIFILM X-T5」のシューティングリポートをお届けします。約9年前に有効画素数1630万画素のX-T1がリリースされ、世代が進むごとに2430万画素(X-T2)、2610万画素(X-T3、X-T4)と画素を積み増してきましたが、ここに来ていきなり4000万画素を突破してきました。フルサイズ機の変遷からして3000万画素台を経由するのかと思いきやです。しかもセンサーサイズはその4割強ほどのAPS-C規格ですからね。果たしてどんな画を紡ぎ出してくれるのか大変気になるところ。また、動画に強いX-H2シリーズと双璧をなすべく、X-T5はスチル撮影に重きを置いたことで先代よりも重さ・ボディサイズ共に、軽量・コンパクト化されました。背面モニターは、横位置でも縦位置でもスチル撮影で使いやすい3方向チルト液晶(3.0型、約184万ドット)が復活。X-Tシリーズのアイコン的存在でもある各種操作ダイヤルやボタン類の構成は、先代からのレイアウトを踏襲しており、シリーズ愛好者の方々にも気兼ねなくスイッチできるモデルに仕上がっています。

( Photography & Text : KIMURAX )

FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX

APS-Cフォーマットの逆襲

世の中の高画素機と呼ばれるものを思い浮かべると、どれもみな階調が豊かです。それは紛れもない事実でありますが、高画素センサーだから階調が豊かになる、ということを端的に表しているわけではありません。センサー自体の性能に加え、画像処理エンジンの性能が追いついていないと、期待したような豊かな階調は得られないのです。もちろんセンサーに光を届ける役目を担うレンズの性能も影響してきますが、カメラ側の事情をざっくり話とそういうことです。そんなことを頭の片隅にこちらのカットをご覧いただくと、階調表現に破綻はまったく見受けられません。画面左から差し込む太陽光、右にはその光源をもろに反射しているガラス面。大まかには強い2方向の光ですが、ハイライトエリアとシャドーエリアが画面内にこれでもかというほどにみっちりと描き込まれています。これだけ高輝度はシーンですからハイエストライトは飛び、ディープシャドーは黒潰れしてもなんら不思議ではないのですが、そんなのどこ吹く風と言わんばかり。余裕すら感じさせる4000万画素オーバーの撮像です。

FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX

解像力を見るにはこういったシーンでしょうか。フォーカスした表情の異なる葉の様子がクッキリ、ハッキリと描き出されています。屋根の辺りに視線を転じても線の細さがよくわかりますね。

FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX

これ一体どういう状況なんだろうと、ふとスナップしただけですが。緻密な描き込みがボディブローのようにジワジワ効いています。この凄みが、有効画素数4020万画素のX-Trans CMOS 5 HRセンサーと、最新の画像処理エンジンX-Processor 5が織りなす画力なのではないでしょうか。

FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX

艶のある硬い被写体でも確認しましょう。ボンネットのプレスラインやメッキパーツの煌めき。色づきはじめた木々の映り込み。フォーカスエリアからデフォーカスエリアまで雰囲気たっぷりに再現されています。贅沢に画素を使い、きめ細やかに紡ぎあげたことが想像できる、緻密にして繊細な階調表現です。


FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX画素数が増えると1画素が光を受ける面積が減るため、ノイズが出やすくなるので高感度時の画質はどうでしょうか。まずはISO 3200での撮影です。子細に見ていけばノイズの存在がわずかに確認できるものの、目立つというレベルではありません。

FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX

さすがにISO 6400になるとシャドーエリアでノイズを感じ始めますが、それでもこのクオリティをキープしています。X-Processor 5の奮闘ぶりが窺えますが、画面下の文様の縁取りをご覧いただくと大きな崩れは見られません。APS-Cセンサーで4020万画素画というスペックから考えると決して悪くない仕上がりだと思います。いえいえ予想をかなり超えてきた感すらあります。ここまで高感度に振っても、記録に止まらずきちんとした写真として残せることが本機のアドバンテージと言えましょう。

FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX先代のバリアングル式液晶モニターを改め、3方向チルト液晶となりました。早速、モニターを縦方向にチルトして、右腕を斜め上に伸ばして幹をなめるようにパチリ。実は、木の手前1.5mほどの所に柵があったので、ファインダー越しではこんなに寄り切ることはできませんでした。ま、ノーファインダーでという手もありますが、きちんと構図を決めて上がりを確認しつつシャッターを切れる3方向チルト液晶、なかなか使い出があります。ところでお気づきでしょうか、シャッタースピードは1/18秒です。右腕のみ、しかも伸ばし切っていることはすでにお伝えした通り。5軸・最大7.0段の強力なボディ内手ブレ補正がいかに効果的かということがおわかりいただけるでしょう。撮影時はシャッタースピードのことは、まったく考えが及んでいなかったものですからお恥ずかしい限り。高画素機だからこそ、手ブレ補正の有難みを実感するのです。つくづく。


FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX

読めそうで読めないのがお子さんの動きでしょう。AF-Cにセットして追い続けるのがベターですね。顔・瞳検出AFのおかげで、後ろ姿になっても頭部を随時トラッキングしてくれます。X-T5の被写体検出AF にはディープラーニング技術が用いられているそうで、人物の顔・瞳検出機能の他に、動物/鳥/クルマ/バイク&自転車/飛行機/電車といった被写体の検出にも対応するようになりました。

FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX

もちろんAF-Sに設定した際にも合焦精度はすこぶる良好で、暗がりでもない限り即座に捉えてくれる。とにかく速くて正確なのです。そのおかげで、いいなと感じた瞬間を撮り逃さない。頼もしいことこの上なしです。肌や髪の再現も実にナチュラルな仕上がり。そのきめ細やかさにも高画素パワーをひしひしと感じます。ところで、AFポイントを操作するフォーカスレバーの操作フィーリングが、X-T4に比べてカチッとした印象です。軽く触っただけで動いてしまうということがなく、レバーを倒す/押し込むという操作をしっかり行うことができるので個人的には好みです。同様に背面のコマンドダイヤルのプッシュ操作のフィーリングも改良されています。

FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX

悠々と歩いてきてちょうどゴロンとしたところ。歩いている間も被写体検出AFはしっかり稼働していました。しかもちゃんと頭部を。おかげで眩しそうな表情を立体感たっぷりに捉えることができました。

FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX

先代の2610万画素に何ら不満はなく不足すら感じませんでしたが、次元が上がったことは確かです。シャドーからハイライトが、色から色が、こんなにも気持ちよく移行するのですから。

FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX

フジフイルムらしい色再現ですね。全カット、フィルムシミュレーションはPROVIA/スタンダード。JPEGデータの明るさ調整のみです。

FUJIFILM X-T5, XF 30mm F2.8 R LM WR Macro, Photo by KIMURAX


  • PHOTO YODOBASHI外観で大きく変わったのがペンタ部のデザインです。また、外形寸法は129.5×91×63.8mm、重量は約476g(バッテリー、メモリーカード含まず)。先代X-T4の外形寸法を見ると134.6×92.8×63.8mm、重量は約526gですから一回り小さくそして軽くなっています。
  • PHOTO YODOBASHIX-Tシリーズおなじみの3ダイヤルを継承し、左からISO感度ダイヤル、シャッタースピードダイヤル、露出補正ダイヤル。先代のX-T4では常用感度がISO 160でしたが、今回はISO 125が常用感度となりました。また、メカニカルシャッターは従来通り1/8000秒ですが、電子シャッター使用時は最高1/180000秒まで対応するようになりました。
  • PHOTO YODOBASHI背面モニターは約184万ドットの3方向チルト式が復活。スチル撮影に重きを置いたモデルとしては順当というべきでしょうか。光軸上にあるので構図を決めやすく歓迎すべきポイントです。EVFは約369万ドットの0.5型有機EL、ファインダー倍率は0.8倍となっています。
  • PHOTO YODOBASHI3軸チルト式の可動方法はX-T3と同様。可動範囲は当然バリアングル式よりは狭くなるものの、縦位置のローアングルでの撮影をするにも十分です。

PHOTO YODOBASHI

写真好きなら、黙ってX-T5。

ホントよく写りますね。4020万画素の新生APS-Cセンサーは伊達ではありません。兎にも角にもご覧いただいた通りです。そろそろ話をまとめなくてはならないのですが、ここまでご説明してきた以外にも、新たな機能や向上した機能があります。例えば、約1.6億画素の画像を生成できる「ピクセルシフトマルチショット」、2倍/1.4倍の「デジタルテレコンバーター機能」、フィルムシミュレーションに「ノスタルジックネガ」を追加、自動で肌のレタッチを行う「スムーススキン・エフェクト」、ディープラーニング技術を活用した「オートホワイトバランス」など。どれもスチル撮影に重きを置いたという本機に嬉しいものばかりです。軽量・コンパクト化し高画素化してくれただけでも十分すぎるくらいなのに、フジフイルムさんサービスしすぎだと正直思います。まとめましょう。画質重視はもちろんだけど軽快に撮影を楽しみたい、という好奇心旺盛な写真好きなあなたに。X-T5がまっすぐに応えてくれます。買いです。

( 2022.12.21 )

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すでにXマウント用レンズをお持ちという方は、ボディのみでよろしいでしょうか。兎にも角にも4000万画素オーバーの写り、ぜひ体験してください。

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シルバーがお好みでしたら、こちらをどうぞ。

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XF18-55mmF2.8-4 R LM OISがセットになったブラックボディ。キット標準ズームレンズとしては明るく、買ったその日から楽しめます。

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こちらはキットモデルのシルバーボディ。レンズはブラックと同じものとなります。

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ボディに装着したままで電池やSDカードの交換が可能です。ヘビーな大口径レンズを使用するという方は、これでガッチリと。

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充電しやすい環境やツールが増えてきたとはいえ、備えあれば憂いなしですね。

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新たなレンズ購入のために。純正からサードパーティまで、もちろんコラムもあり。ガイドブックのように見比べるのにも重宝する一冊です。

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X-T5と同時にリリースされたニューフェイス。今回の撮影でも使用しましたが、改めて近日、マクロの作例も交えて本レンズのレビューをお届けします!

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