PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

FUJIFILM X-S20, XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ, Photo by A.Inden

FUJIFILM X-S20 / SHOOTING REPORT

小さなボディに高機能を詰め込んだ「X-S10」の後継機「X-S20」が登場しました。画素数は2610万画素と同じですが画像エンジンにXシリーズ第5世代「X-Processor 5」を採用することで画像処理能力が2倍になり各種機能がブラッシュアップされました。特にAFは高速化と正確さが向上しただけでなく、ディープラーニング技術により被写体検出AF機能を搭載。人物の顔や瞳、更に動物・鳥・車・バイク・自転車・飛行機・電車・昆虫・ドローンをAIで検出するとのこと。そして一番気になった変化は撮影可能枚数が約2倍に増えたこと。新エンジンによる省電力化とX-H2シリーズGFX50S IIなどと同じバッテリー「NP-W235」を新規採用したことで撮影可能枚数は約800枚(エコノミーモード設定時)となりました。コンパクトさはそのままに撮影枚数が増えたことはありがたいことです。動画撮影では6.2K/30Pの内部記録が可能になり、モードダイヤルを合わせるだけで手軽に動画撮影を楽しめるVlogモードも追加されました。ハイエンドクラスの機能が盛り込まれたX-S20。静止画、動画をじっくりと試してきました。

( Photography & Text : A.Inden )

“FUJIFILM

まずは開放で遠景を撮影しました。手前から奥まで精密に描かれている解像感の高さには目を見張るものがあります。夏の海辺で湿気が多い条件ですがメリハリのあるクリアな描写に驚かされました。

“FUJIFILM

海の煌めきが感じられるように少しアンダーな露出で撮影。逆光で人物が暗く落ち込んでしまうような条件ですが、広い階調でハイライトからシャドーまでバランスよく自然に再現されています。

FUJIFILM X-S20, XF35mmF2 R WR, Photo by A.Inden

太陽を画面に入れて撮影してもクリアな描写は変わらないようです。透明感のある発色で爽やかな緑の再現に好感が持てます。

FUJIFILM X-S20, XF35mmF2 R WR, Photo by A.Inden

ポジフィルムを見ているかのような濃厚な色乗りです。ピントが来ていない濃い色の被写体は色飽和が起きることが多いのですがその心配はないようです。

FUJIFILM X-S20, XF35mmF2 R WR, Photo by A.Inden


新しく搭載されたVlogモードでジンバルや外部マイクを使わずに撮影。氷水や花火のシーンでは三脚を使用しました。AFはサクサクと合って快適、露出もシーンごとにいい塩梅に補正されているようです。AFはカメラを振ると手前の被写体にピントが合うように設定されているように感じました。ピントを合わせたい被写体がある場合は設定を変えるかMFにする方が確実でしょう。音声は蝉の声、氷の涼しげな音など臨場感たっぷりに録音されており、内蔵マイクの性能の高さに感心しきり。ただ、動画撮影時の宿命みたいなものですが、撮影時間に比例してカメラが熱を帯びます。35度越えの猛暑であったことも要因の一つだとは思いますが、高温になると警告が出て使い続けると撮影がストップ。炎天下などではカメラをできるだけ影に入れるなど対策をした方がいいでしょう。じっくり撮りたい方には純正アクセサリーに外付けファンが用意されています。

PHOTO YODOBASHIカメラ上部のモードダイヤルにVlogが追加され動画撮影を素早く選ぶことができます。


“FUJIFILM

フィルムシミュレーションモード「モノクロ」で撮影。階調を大事にしながら丁寧に焼かれたモノクロプリントを感じさせるその完成度の高さに驚かされます。この作例はデフォルトの設定で撮影しましたが、トーン、ダイナミックレンジ、明瞭度などの調整パラメーターで自分好みの画に調整することができます。

“FUJIFILM

「ETERNA/シネマ」で撮影。「ETERNA」は低い彩度と柔らかな階調を持つ映画用フィルムの名称。このモードで撮影するとコントラストが高い条件でもしっとりとしたフィルム映画のような雰囲気に仕上がります。

“FUJIFILM

「ETERNAブリーチバイパス」は映画フィルムの現像手法「銀残し」を忠実に再現。調子は黒が締まりコントラストが高くなり、色調は彩度が低く渋い色合いに。少しシアンに振れた色味もクールに感じます。

“FUJIFILM

こちらはアドバンストフィルター「ダイナミックトーン」で撮影。何気ないシーンでもフィルター効果を加えることで個性的な写真表現が楽しめます。カメラ上部右側にあるモードダイヤルから「FILTER」をセレクトすると切り替えることができます。フィルターの種類は、トイカメラ / ミニチュア / ポップカラー / ハイキー / ローキー / ダイナミックトーン / ソフトフォーカス / パートカラー(6色)。


“FUJIFILM

被写体検出AF機能「鳥」で昆虫も検出可能とのこと。保護色で木に溶け込んでいるセミですが、AFは迷わず目の部分に合焦しました。クローズアップ撮影でもピントピークのキレは素晴らしいです。

“FUJIFILM

ボディ内手ぶれ補正機能が最大6.0段から7.0段に向上しました。手持ちでシャッタースピード1秒で撮影。液晶を見ながらのためカメラのホールディングに不安がありましたが、しっかりと止まっています。

“FUJIFILM

ISO 12800で撮影。シャドーにノイズがほとんどなく実用感度として十分使えるのではないでしょうか。

FUJIFILM X-S20, XF35mmF2 R WR, Photo by A.Inden


PHOTO YODOBASHI

PHOTO YODOBASHI外観寸法は127.7mm × 85.1mm × 65.4mm、質量は約491g(バッテリー、 SDメモリーカード含む)。前機種の「X-S10」と比べ幅が1.7mm、質量が約25g増えています。質量の増加はバッテリー変更によるものでボディ単体の重さは約5g軽量化されています。上部のダイアル類の配置は踏襲され、バリアングル液晶は約104万ドットから約184万ドットに解像度が向上しました。

コンパクトなカメラが更に自由に。

デジタルカメラが進化し軽量・コンパクトでAF、手ぶれ補正など撮影を補助する機能が充実したカメラは増えてきたように感じます。ただコンパクトさを優先することで撮影枚数や録画時間に制限があるように思っていました。今回試写した「X-S20」はハイエンド機と同じ画像エンジン「X-Processor 5」によって省電力化され、さらにバッテリー容量を増やすことで、撮影枚数は約800枚とハイエンド機並みに。撮影スタイルは個々に違うとは思いますが、ここまで撮影枚数があれば気に入ったシーンをじっくり撮ることができるはずです。コンパクトな佇まいのカメラで、いつでもどこでも納得するまでシャッターを切り最高の写真を残したい。そんな方には待ちに待った贈り物ではないでしょうか。

( 2023.09.12 )

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撮影枚数が増えキットレンズセットだけでどこまでも撮影に行けそうです。

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撮影が煮詰まった時はまずカメラを冷やしてみてはいかがでしょうか。

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