PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

FUJIFILM X100T, 1/45, F2, ISO 800, Photo by Naz

FUJIFILM X100T / SHOOTING REPORT

X100シリーズに3世代目となる「X100T」が登場しました。APS-Cサイズの1620万画素 X-Trans CMOS II センサーに広角単焦点・23mm F2レンズを搭載し、背面の液晶モニターに加えて光学式ビューファインダー (OVF) と電子式ビューファインダー (EVF) をもパッケージング。最新モデルとなるX100Tの最大のトピックは、従来のEVFとOVFを組み合わせた表示が行える「アドバンスト・ハイブリッドビューファインダー」の搭載。光学ファインダー使用時でもファインダーの右下に小さな画面を表示し、MF時などにピント面を拡大して表示できるなど、EVFとOVFのいいとこ取りをした「最も進化した光学ファインダー」と言ってもいいでしょう。ヌケのよい素通しのファインダーは撮影者の目と一体化し、視野に貼り付くように浮かぶブライトフレームから眼前の光景を切り取る感覚は、他のファインダーでは味わえないものですよね。X100Tでは従来からの「撮る道具」に徹したデザインや程よいサイズに加え、自慢のファインダーでこれまで以上に注目の1台に仕上がっているようです。では早速作例を見ていきましょう。

( Photography & Text : Naz )

FUJIFILM X100T, 1/2500, F3.6, ISO 200, Photo by Naz

単焦点レンズを存分に楽しめる、高い性能のフジノンレンズ

X100シリーズのような単焦点レンズを備えたレンズ固定式カメラに採用されている焦点距離といえば28mmや35mmが多いですよね。それぞれ好みはあるでしょうが、X100Tではフルサイズ換算35mm相当となる23mm F2の大口径レンズを初代X100から採用しています。35mmレンズの画角は、被写体となる空間に自ら踏み込んでいくような距離感でも歪みが少なく、浅い被写界深度によるボケや立体感を活かして写真を撮るには丁度いい、画面の整理がしやすい焦点距離ではないでしょうか。

FUJIFILM X100T, 1/450, F5.6, ISO 200, Photo by Naz

近接は10cmからと、APS-Cセンサーを採用するカメラとしてはかなり優秀。さすがに最短付近の開放では描写は甘くなりますが、1段・2段と絞るごとに先鋭度を増していきます。レンズは前ボケにわずかながら癖を感じるものの、後ボケは滑らかかつ美しいもの。このカメラの使い方を考えれば、よいセッティングではないかと思います。ピントピークのガラスの描写だけでなく、アウトフォーカスとなった瓶それぞれのガラスの厚みをもしっかりと感じ取れる描写はなかなかですよね。

FUJIFILM X100T, 1/220, F5.6, ISO 200, Photo by Naz

ちょっと意地悪な撮り方ですが、フードを外して斜めから射し込む強い光を写し込んでみました。前玉への斜め方向から入射する光に対してはこのようにもなりますが、むしろこんな光は積極的に作画に活用したいところ。右手人差し指に掛かるレバーでEVFへ素速く切り替えれば、カメラの角度を変えながらリアルタイムに写りを確認できます。ちょうどいいところでシャッターを。フジノンレンズに施されたコーティングはたいへん素晴らしく、ご覧の通り光は差し込んでも葉や枝の描写に一切の破綻はありません。

FUJIFILM X100T, 1/1000, F10, ISO 200, Photo by Naz

歪曲収差はほとんど気にならないレベルまで良好に補正されています。画面全体での安定した描写はスナップ撮影でも画面の隅まで積極的に活用したくなりますよね。曖昧さのないシャープな像を生み出すローパスフィルターレスのセンサーに点像復元処理の行われる映像エンジンを組み合わせていますので、回折の影響を気にすることなくしっかりと絞り込んだ撮影も可能です。

FUJIFILM X100T, 1/500, F4, ISO 200, Photo by Naz

FUJIFILM X100T, 1/200, F8, ISO 200, Photo by Naz


FUJIFILM X100T, 1/200, F8, ISO 400, Photo by Naz

様々な場面で活躍してくれる、アドバンスト・ハイブリッドビューファインダー

フレーミングの正確さでは視野率100%のEVFに軍配が上がりますが、速写性の求められるスナップでテンポよく撮影するには見えのいい光学ファインダー(OVF)を使いたいですよね。元々X100シリーズでは、OVFでも様々な情報をファインダー内に表示できましたが、X100Tではさらにグレードアップ。MFとAF-C時にはリアルタイムにパララックス補正が行われるようになり、加えて視野率も92%へと向上。より正確で素速いフレーミングが行いやすくなりました。また、画面内にピント位置の拡大表示が行えたり、デジタルスプリットイメージやピーキングと組み合わせることで、素早いフォーカシングやピントチェックも行いやすくなっています。

FUJIFILM X100T, 1/900, F5.6, ISO 200, Photo by Naz

FUJIFILM X100T, 1/1000, F5.6, ISO 200, Photo by Naz

アナログな操作感を大切にしたことで手に入れた高い速写性

フジフイルムのXシリーズでは、アナログの操作感を大切にしたデザインが共通して採用されています。中でも上級機は軍艦部に大きなシャッターダイヤルを備え、レンズにも絞りリングが用意されていますので、液晶画面に頼らず撮影に集中できます。その場の光を読んでシャッター速度や絞り値を合わせておけば、あとはカメラを構えシャッターを押すだけ。X100Tは最新のデジタルカメラでありながら、往年のフルマニュアルのカメラと同じような撮影スタイルにも対応しています。ファンクションボタンとコマンドダイヤルで様々なパラメータを設定するカメラが多い中、コストはかかってもアナログの操作感を残してくれているのは嬉しいですよね。

FUJIFILM X100T, 1/4000, F5.6, ISO 200, Photo by Naz

シャッターダイヤルや絞りリングを「A」に合わせればAEにも素早く切り替えでき、両方をAに合わせればプログラムAEに。例えば、絞り優先AEでISOオートに設定すれば、被写界深度を自在にコントロールしながらも、画質を保ちながら手ブレしにくいシャッター速度とISO感度をカメラがバランスよく調整してくれます。また、軍艦部の露出補正ダイヤルは+/-2EVから+/-3EVへと拡大され、こういった極端な露出でも意図した露出へ補正しやすくなっています。操作性の改善はそれにとどまらず、使用頻度の低かった背面のコマンドダイヤルはシンプルなボタン式に改められ、基本的な操作はX-T1やX-E2の操作系と統一されました。

FUJIFILM X100T, 1/1000, F5.6, ISO 200, Photo by Naz

FUJIFILM X100T, 1/4000, F8, ISO 200, Photo by Naz

強い光源が入ると、弓のようなゴーストが現れることがあります。レンズシャッターによるものなのでしょうか。こういった高速に動くものがない場合は、1/32000秒まで対応した電子シャッターの方がいいようです。


FUJIFILM X100T, 1/32, F2, ISO 1600, Photo by Naz

フジフイルムのカメラではお馴染みとなっている高感度性能はこのカメラでも健在です。ISO3200でも常用感度のように感じられるほど。もちろんノイズがまったくないということはありません。高感度になればノイズも乗ってきますが、そのノイズの見せ方がうまいですよね。単に潰してしまうのではなく、フィルムの粒子のように味方につけているようにも感じます。このあたりはフィルム時代から培ってきたものが生きてるのでしょう。また、程よいサイズと重量のX100Tでは、カメラをしっかりホールドできるだけでなく、ファインダーも合わせた三点支持でカメラをしっかりと構えられます。加えてF2の大口径レンズとの組み合わせで、夜間でも三脚を使うようなシーンでなければ手ブレを気にせず積極的に撮影へと挑んでいけます。

FUJIFILM X100T, 1/320, F2, ISO 200, Photo by Naz

X100Tから受け継いできたレンズの描写は、昨今のレンズのようにどこまでもクリアーでひたすらにシャープというようなものではなく、開放ではシャープな中にも柔らかさを上手に残し、繊細さを感じる上品なもの。もちろん絞るに従い、描写はキリッと引き締まってきます。往年のレンズのように絞りによる描写の変化も楽しめますが、オールドレンズのような気難しさはなく、描写の変化を存分に味わうことができるでしょう。


Photo by PHOTO YODOBASHI

道具としての純度を更に高めた孤高の1台

X100・X100S・X100Tと、三代目となった本機では先代X100Sの「完成された写り」はそのままに、より扱いやすく洗練されたものへとアップデートされました。外観は従来のテイストを強く受け継ぎながらも、比べてみると細かな変更が多数加えられています。全体的にすっきりと現代的な顔つきになり、高級感が高まった印象です。またボディは1.5mm薄くなりました。機能的には、液晶画面やEVFでのライブビュー表示のタイムラグは従来の1/5まで短縮化され、背面液晶はアスペクト比は3:4から2:3へ、2.8型46万画素から3.0型104万画素へと大型かつ高精細なものへ改められました。もちろんトレンドであるWi-Fi機能も備え、スマートフォンへの転送だけでなくアプリからのリモート撮影にも対応します。またフィルムシミュレーションモードではXシリーズの最新モデルに実装された「クラシッククローム」もお使いいただけます。そして、これまで限定モデルとなっていた精悍なブラックボディも通常ラインナップとなりボディーカラーを選ぶという嬉しい悩みも増えました。

光学ファインダーを備えたレンズ固定式デジタルカメラという、他にはない特徴を持ったX100Tは、「撮影の道具」として純度が高められた印象です。わかりやすい変更点だけではなく、むしろ目立たないところも手を抜かずよりよいものへと歩みを進めていく姿勢はフジの真面目さの現れと言えるでしょう。初めて手にする方におすすめなのはもちろん、X100やX100Sを使い込んできた方にも手に触れてその違いを感じ取っていただきたいと思う仕上がりのX100T。新しい相棒として、どうぞ存分にお楽しみください。

( 2015.03.03 )

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従来から評判のよい光学系とセンサーはそのままに、光学ファインダーを更に進化させました。カメラらしいデザインと高い操作性で手放せない1台になるでしょう。

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これまで限定だったブラックボディがレギュラーになりました。クラシカルなシルバーと精悍なブラック、どちらがお好みですか?

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フィルムカメラの巻き上げレバーに指をかけていた方におすすめのアイテム。カメラのホールド感が高まり、親指がすっきりと落ち着きます。

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質感の高いアルミ削り出しのサムグリップ。専用品ですから、グラつきもありません。

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専用のフードはフィルターの他、テレコン・ワイコン使用時に必要となります。

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造りのいいスリットフードはレンズ保護にもなる必須のアイテムです。

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フルサイズ換算28mm相当になるワイドコンバージョンレンズ。センサー面を露出しませんから、屋外でのレンズ着脱も安心です。

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こちらはブラックボディ用のワイドコンバージョンレンズです。

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