PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

FUJIFILM X100F, 1/8, F16, ISO 200, Photo by Rica

FUJIFILM X100F / SHOOTING REPORT

2014年発売のX100Tから2年と3ヶ月。2017年2月に発売となったX100シリーズの最新モデルX100Fのレビューをお届けします。ずいぶんとお待たせしてしまいましたこと、ご容赦下さい。クラシカルで操作性の高い機能的なデザインはそのままに、よりスマートで精悍な印象を受けるボディデザインとなりました。。前モデルから画質のみならず、さまざまな進化を遂げています。シリーズ初代のX100は光学ファインダーとEVFを切り替えられる独自のファインダーシステムとX-Trans CMOSセンサーを搭載したレンズフィックスカメラとして華々しくデビューしました。以降、23mm F2のレンズはそのままに、3代目のX100Tでアドバンスド・ハイブリッドビューファインダーが採用されています。4代目となるX100F、その進化の主なポイントは、X-Pro2やX-T2と同様にX-Trans CMOS III搭載により2430万画素となり、前モデルX100Tの1620万画素から飛躍的にアップした点。そして起動時間約0.5秒、シャッターのタイムラグは0.01秒、最短撮影間隔は0.2秒、最短0.08秒の高速AFなど、レスポンスおよびAFの性能が大きくアップした点。さらに、アドバンスト・ハイブリッドビューファインダーはより高い精度でのピント合わせができるよう、エレクトロニックレンジファインダー(ERF)やリアルタイム・パララックス補正などさまざまな部分がブラッシュアップされています。もちろん富士フイルムが80年以上にわたりその技術を蓄積してきた色再現は、さらなる高みへと昇華され、日常のスナップでさえ作品となるような表現力を纏っています。手にしたときに感じるワクワク感、撮影した画を見たときの感動は、X100シリーズだからこそ。最新モデルの底力を作例とともにぜひ感じて頂きたいと思います。

( Photography & Text : Rica )

FUJIFILM X100F, 1/1500, F2, ISO 400, Photo by Rica

朝のカフェにて。まずは開放でのカットを。窓ガラスのシェード越しに柔らかな光が入る店内。ブラウンで統一されたインテリアで大人も子どももほっと落ち着ける空間です。コーヒーを飲みながら、そんな店内の何気ない光景を収めました。ハイライトも白とびせず、なおかつシャドー部の情報もたっぷり。こんな輝度差のある場面でも、ただ思うままにシャッターを切るだけで普段見慣れた日常的なシーンをドラマチックな画にしてくれるのがX100Fの底力です。開放では、芯を残しつつも全体にふんわりと柔らかな描写になり、一段絞ったF2.8とは大きく描写が異なりますから、それを生かした画作りを楽しみたいですね。

FUJIFILM X100F, 1/420, F5.6, ISO 200, Photo by Rica

F5.6での撮影です。緑の美しい葉、そして建物の細い線、人物の髪の毛など、それぞれの質感の描き分けが素晴らしいのはもちろん、このキレ味鋭い解像力は特筆すべきものではないでしょうか。F5.6ですでにピークの様相です。APS-Cサイズ、2430万画素ですから、レンズ固定式のコンパクトカメラとはいえ、非常に余裕を感じる写りです。

FUJIFILM X100F, 1/1800, F2.8, ISO 200, Photo by Rica

街を歩いていると、ちょっと入り組んだ路地を見つけました。自分の目にとまった赤いカラーコーンと立ち入り禁止の黄色いテープにピントを置き、撮影しました。35mm版換算35mm相当のレンズとはいえ、手前の植物は自然にぼけており、奥行きがしっかりと感じられます。

FUJIFILM X100F, 1/150, F5, ISO 200, Photo by Rica

海外からの観光客で賑わう原宿。クレープを購入した女性に心惹かれ、シャッターを切りました。撮っているということを意識させない素早いピント合わせがX100Fの魅力のひとつ。とてもおいしかったようで、彼女は私を見て持っているクレープを乾杯するときの動作のように掲げ、笑顔で去っていきました。


FUJIFILM X100F, 1/60, F2.8, ISO 500, Photo by Rica

最短撮影距離10cmとなれば、撮りたくなる食べ物。画家の友人が美味しいものを食べたとき「絵に描きたいほど美味しい!」と叫んでいましたが、カメラを手にするレビュワーの私たちは、「写真に撮りたくなるほど美味しい!」と思うものです。美味しいものを、美味しそうに写してくれるX100F。旅先で出会った美味しいものを撮り集めるにはぴったりのカメラです。

FUJIFILM X100F, 1/50, F2.8, ISO 200, Photo by Rica

甘味処で頂いた冷たいほうじ茶。日差しの強い日でしたから、日陰に入って涼む時間は心和むひとときです。柔らかな湯のみ茶碗は口当たりがよく、より一層お茶が美味しく感じられました。ほうじ茶に反射するお店のライトが柔らかで自然なぼけに溶け込む様子は、APS-Cサイズの大きいセンサーと明るいレンズだからこそ。

FUJIFILM X100F, 1/450, F2.8, ISO 400, Photo by Rica

駅の花壇に並んでいたチューリップ。その可憐な姿を収めようと、グっと近づいて撮影しました。レンズが花に触れてしまいそうなほど近づいています。F2.8と一段絞ると、ピントピークはキリっと引き締まりつつも、背景に向かって柔らかにぼけて、よりメインの被写体が際立ちます。

FUJIFILM X100F, 1/750, F2.8, ISO 200, Photo by Rica

ショーウィンドウを飾るさまざまな色柄のポーチ。タイルのように並ぶ姿が愛らしく、思わず立ち止まって撮影してしまいました。こちらもショーウィンドウのガラスにくっつきそうなほど近づいて撮影しています。こちらもF2.8と一段絞ったのみですが、四隅まできっちり解像し、甘さはありません。実は、レンズには変更がなく、23mm F2の6群8枚構成。35mm版換算で35mm相当。センサーが刷新されてもレンズは据え置きということからも、富士フイルムがいかに真面目にもの作りをしているかが垣間見えます。35mmという画角は、さまざまなシーンを捉えることのできるオールラウンダーと言えるでしょう。特に街でのスナップにはもってこいですね。

FUJIFILM X100F, 1/60, F2.8, ISO 400, Photo by Rica

真っ赤な唐辛子を模した装飾品。中国では唐辛子に魔除けや厄除けの効果があるという民間信仰あるそうで、手ごろなお値段から、お土産としてとても人気のある商品。ガラス製の唐辛子たちをつなげる紐を通す穴はとても小さく繊細にできており、その質感を収めるため、お店のおじさんにお願いして目一杯近づいて撮りました。ツヤツヤしたガラスの質感、紐のマットな赤も美しく再現されています。使っているうちにこの唐辛子は取れてしまったり壊れてしまったりするのですが、取れてしまったら、厄が落ちたということになり縁起が良いのだそうです。デジタルカメラは赤の再現を苦手とするというのは、いまは昔。見たままの赤が写せるというのは、とても気分の良いものです。さらに「記憶色」にこだわるならば、ここからRAW現像で好きな色味を再現できるわけですから、いい時代になったものですね。


FUJIFILM X100F, 1/60, F2.8, ISO 2500, Photo by Rica

日中とはいえ、間接照明のみでやや暗い室内。ISO 2500とやや高めに感度を設定し撮影しました。コンパクトなボディですが、ホールド感が高く、しっかりと脇をしめて安定して立っていれば1/60秒程度ならブレずに撮影できます。長い時を経た建造物の重厚感あるインテリアは、誰もが撮りたくなるシーンではないでしょうか。ISO 2500という高感度にも関わらず、絨毯、ソファーの細かな模様、金属のランプ台の質感再現も素晴らしく、その場の雰囲気をそのまま収めることができました。

FUJIFILM X100F, 1/850, F11, ISO 400, Photo by Rica

とてもよく晴れた日、観光地にはたくさんの人が訪れていました。高校生の男の子たちが、青い空と船をバックに記念撮影しているところをパチリ。F11まで絞って撮影しているので、背景にある船も大きな存在感があります。パンフォーカスですから、超高性能写ルンです的にきになるシーンをパチパチ写していけるのも楽しいですよね。それにしても、ここまで絞ると本当にキレっキレの写り。船体のディテールがすみずみまで見られます。

FUJIFILM X100F, 1/210, F4, ISO 200, Photo by Rica

軽やかな足取りの人、疲れた足と荷物を引きずる人、笑顔の人、しかめっ面の人。空港にはさまざまな人が行き交います。空港の大きなガラス窓から射し込む光が人々の影をつくり、空港ならではの空気感を写しとってくれました。AFも速く、シャッター音も静かで、コンパクトなボディですから、撮りたいと思った瞬間にすぐに撮れるのがいいですね。常に携行してさまざまな街の表情を切り取っていくことができます。

FUJIFILM X100F, 1/850, F8, ISO 200, Photo by Rica


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ただ、思うままにシャッターを切ればいい。

画素数が2430万画素にアップし、高速画像処理エンジン「X-Processor Pro」を搭載したX100F。もちろん、しっかりとスペック的な部分を予習したうえで撮影に出かけるのですが、そんなスペック云々は抜きに、コントローラブルでありながら軽快に撮影ができることがひたすらに楽しい。そんなカメラだと感じました。さまざまな街を歩きながら、目に止まったもの、気になった被写体を次々に撮影していく。X100Fがあれば、街を歩くことがとても楽しくなります。もちろん、優秀な描写力、そして速く、正確なAF、天面を見れば一目瞭然の直感的でアナログな操作感など、前モデルから、さらにブラッシュアップされた各機能に支えられてこその楽しさではあるのですが、各機能が優秀であればあるほど、その機能に撮り手が煩わされることがなく、どのように撮りたいのかという意思にカメラがしっかりと応えてくれるのです。本モデルから搭載されたフォーカスレバーもとても使いやすく、上下左右のみでなく、斜め方向にも動くレバーにより、フレーミングを崩さずに素速くAFポイントを動かすことができ、重宝しました。また、「アドバンスト・ハイブリッドビューファインダー」は光学ファインダーと電子ビューファインダーの特長を組み合わせた富士フイルムのお家芸とも言うべきファインダー。瞬時にOVFとEVFを切り替えることができ、OVF上にフォーカスエリアを映すことができるため、コンパクトカメラでありながら、ピント合わせが非常にしやすいのも大きなメリットだと感じました。35mm版換算で約35mm相当の画角、そしてF2という明るいレンズも、撮影する気持ちを高めてくれる大切な要素でした。パララックス自動調整で、近接撮影でも美しいぼけを堪能でき、きれいだなと感じた花、おいしかった食べ物、そんな身近な被写体たちも、いつもの写真から何ランクもアップした画になります。また、X100Fで特筆すべきはそのデザインではないでしょうか。4代目となり、よりスタイリッシュになった印象を受けます。ポケットに入れるのではなく、首や方から提げることでファッションや街にも馴染み、ひとつのアイコンとして大きな存在感も放ちます。機能的でありながら高画質、所有感も満たされるX100Fを手にして、いつもの道をじっくりと歩いてみてください。そして、思うままに撮影してみてください。きっとこれまで発見できなかった新しい景色に、X100Fが出会わせてくれるはずです。

( 2017.09.15 )

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前モデルX100TのAPS-Cサイズ1620万画素 X-Trans CMOS II センサーから、2430万画素の「X-Trans CMOS III」センサーに刷新。高速画像処理エンジン「X-Processor Pro」を搭載したX100シリーズの最新モデルです。

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光学ファインダー(OVF) と電子ビューファインダー(EVF) の切り替えが可能な「アドバンスト・ハイブリッドビューファインダー」の機能はさらに進化し、最新のイメージセンサーと高速画像処理エンジンを搭載。快適な操作性を徹底的に追求した1台です。

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X100シリーズ用のアクセサリーには、もちろんブラックもラインナップされています。ボディカラーに合わせてお好みのものを選ぶことができます。フードにはスリットが施されており、ファインダーを覗いた際に視野を妨げません。

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X100シリーズ用のレンズフードです。取り付け用のアダプターリング(AR-X100)が付属します。レンズフードは、レンズ先端のフロントリングを専用のアダプターリングと交換し、バヨネット式で装着できます。

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焦点距離が約1.4倍、50mm(35mm判換算)の画角となるテレコンバージョンレンズです。自然な遠近感でポートレートから、クローズアップ撮影(近接14cmの)まで、幅広く活躍します。X100Fでは、テレコンの装着を自動認識します。シルバーもラインナップあり。

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FUJIFILM X100F用のコンバージョンレンズです。焦点距離を約0.8倍、28mm(35mm判換算)の画角に広げ、よりスケール感のあるワイドな風景を捉えることができます。X100Fのレンズ性能を最大限に引き出す光学設計で、F値を変えることなく撮影が可能です。シルバーもあります。

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