PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
- 本稿は、写真用レンズについてより深い理解が得られるよう、その原理や構造を出来る限り易しい言葉で解説することを目的としています。
- 本稿の内容は、株式会社ニコン、および株式会社ニコンイメージングジャパンによる取材協力・監修のもと、すべてフォトヨドバシ編集部が考案したフィクションです。実在の人物が実名で登場しますが、ここでの言動は創作であり、実際の本人と酷似する点があったとしても、偶然の一致に過ぎません。
- 「新宿光学綜合研究所」は、実在しない架空の団体です。
※ 記事内で使用している写真はニコンミュージアム企画展「光学ガラスの軌跡」の画像になります。現在「光学ガラスの軌跡」は終了しています。
2群5枚目 レンズの要を忘れるべからず
ガラス作りとコーティング
シュッ |
3号さん? 何をそんなに必死にこすっているのですか?? |
ガラスでござる。 |
この人、朝からずーっとこればっかりやってて・・・ |
レンズは凸に始まるのでござるから、まずは凸レンズ作りに挑戦してみようかと。近所のガラス屋さんにお分けいただいた、この厚めのガラスをヤスリで・・・ |
シュッ |
ほ~、確かにレンズはガラスで出来ていますが、ガラスはガラスでも窓ガラスでは無理ですね。 |
えっ? 窓ガラスではレンズは作れないのでござるか。 |
一般的なガラスと光学ガラスはぜんぜん違うものなんです。 |
そうだったでござるか・・・ |
窓ガラスには鉄などの成分が含まれていますが、光学ガラスではそういうものが不純物として働いてしまうので使えません。その代わり、光学ガラスには混ぜて作るとより性能を発揮する成分があります。古くはシリカ(二酸化ケイ素)とか、鉛とか。最近では酸化ランタンや酸化チタンなどが使われています。凸や凹など、レンズの形も大事ですが、どんな種類のガラスを使うのかも重要になるんです。 |
ガラスの種類って、EDガラスとか、高屈折率ガラスと呼ばれているもののことですか? |
それです。 |
カタログの断面図で色がついているやつですね。 |
そうだ、品川にニコンさんの「ニコンミュージアム」があるのでこれから皆で行ってみませんか? 「光学ガラスの軌跡」という企画展をやっているみたいなんですよ。面白そうじゃないですか。(注:現在は終了しています) |
ニコン「さん」??? |
一応、あの、その、これ設定もありまして・・・ |
課外授業ですね! |
じゃあ、さっそく出かけましょう。 |
- 1群1枚目 設立趣意書
- 2群1枚目 凸に始まり、凸に終わるのであります。- レンズとは、なんじゃらほい
- 2群2枚目 だから「収差」というのです。- とっても収まらない話
- コラム:原田研究員からのメール - 「例のレンズタイプの件」
- 2群3枚目 焦点距離のナゾ- それはいったいどこからどこまでじゃ
- 2群4枚目 エフチの「チ」 - あの数字の並びはいったいどこから来たのか
- 2群5枚目 ガラス作りとコーティング - レンズの要を忘れるべからず
- 2群6枚目 謎の写真用語・説をめぐるアレコレ - あなたは「でっこまひっこま」を知っているか
- 2群7枚目 続・エフチの「チ」 - レンズの開放F値ってどうやって決まるの?
- 3群1枚目 レンズ設計ことはじめ - 設計者の描く理想とは
- 3群2枚目 シミュレータと設計者 - 完成レンズを見通す、見極める
- 3群3枚目 ズーム再考(最高) - そもそもは航空用語だったらしいです
- 3群4枚目 やっぱり単焦点が好き - 「単」とは言え複雑で奥深い
- 3群5枚目 続・やっぱり単焦点が好き - レンズに込められた設計者の想い
- 3群6枚目 「商品企画」というお仕事 - 商品が生まれいづるところ
- 3群7枚目 試作のプロフェッショナルたち (前編) - 設計図と完成品のはざまで
- コラム:原田研究員からのメール - 「交換レンズは3本まで」という法律について
- 3群8枚目 試作のプロフェッショナルたち (後編) - ものづくりの最終工程で行われる試作とは
- 4群1枚目 Zマウントはこうして生まれた - 100年間変えられないことを、考えて、決める
- 4群2枚目 フード首脳会談 - レンズ設計のその果てに
- コラム:原田研究員からのメール - レンズの楽しみ方案内