PHOTO YODOBASHI

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SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II

SONY SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ソニーEマウント用望遠ズームレンズ、FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIが登場です。GM(Gマスター)とは「進化し続けるカメラの未来を見据えて開発された」(ソニーのホームページより)、SONYブランドの威信をかけて作られたプレミアムレンズ群ですが、中でも本レンズは製品名の末尾に「II」がつく初めてのGマスターレンズとなりました。つまりここからが「Gマスター 第二幕」であるとソニーが定義したわけで、そんなソニーの意気込みを十分に感じ取れるレンズになっています。前モデルからの大きな変更点は「軽量化」と「AFの高速化」。まず軽量化について。前モデルからは約435g軽くなっています。サラッと435gと書きましたが率に直すと29%の減量。つまり体重80kgの人が57kgまでダイエットしたのと同じで、人間だったら同窓会で「あの人誰?」と囁かれるレベルです。これは光学設計を一から見直し、使用するレンズ枚数を減らしたことや、XDリニアモーターを新しく採用したこと、鏡胴内部の部品素材をマグネシウム合金に変更したことなどにより実現したもの。AF速度については、XDリニアモーターにより前モデルより合焦速度は約4倍、また追従速度も約3倍のスピードアップとなり、特に動きものの撮影などで威力を発揮できるようになりました。今回は本レンズの性能を最大限に引き出すため、ボディはフラッグシップのα1と組み合わせました。Gマスターの第二幕、その幕開けをじっくりとご覧ください。

( Photography & Text : Z II )

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まずは新旧の外観比較。左が新、右が旧です。ディメンションはほとんど変わっていませんが、だからこそ、手に持った瞬間の驚きをご想像いただけると思います。機能の面では絞りリングが新たに搭載され、より直感的な絞りの調節が可能になりました。また絞りリングのデクリック(クリックのオン/オフ切り替え)スイッチが搭載されたことで動画の撮影にも対応しています。手ブレ補正機構のモード切り替えに新たに加わった「MODE 3」は、手ブレ補正を使用する際にファインダー内の像がより光学ファインダーに近い、自然な見え方になるモード。

  • SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II
  • SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II
  • 70-200mmというズーム域がどのようなものか、改めて確認。まずはボケの量と大きさ。左がワイド端、右がテレ端です。被写体の見かけ上の大きさがほぼ同じになるようにカメラの位置を変えています。もちろんいずれも絞りは開放F2.8。どちらも背景にある物の形や立体感を残しつつも、柔らかく自然なボケがご覧いただけると思います。

  • SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II
  • SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II
  • ワイド端とテレ端の画角の違い。こうしてみると、とても使いでのある、「被写体を選ばない望遠」としてはいちばん重宝するズーム域だとあらためて感じます。前ボケの感じにもご注目。

およそ4倍速くなったというAF性能を確かめるべく、ラグビーの試合を撮ってみました。連写で撮ったパラパラ漫画です。素早く不規則に動く被写体はAF性能のテストにうってつけ。結論を言うと「速い」なんてものではなく、とにかく枠に入れさえすればピタリと食いつきほとんど外さないので、むしろ「こんなに簡単に撮れてしまうの?」と、あっけ無さすら感じるほど。もちろんAF-Cへの切り替えや、AF範囲を「追尾」にセットするなどの準備は必要ですが、この驚異的な「一度食いついたら離さない」感じ、一度味わってしまうとやみつきになりそう。


SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II

10km離れた東京スカイツリーをテレ端で。夜のとばりが降りつつある中でのスカイツリー自体の写りや空のグラデーションはもちろんですが、手前のビル群の端正な描写に見惚れてしまいます。

SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II

別名ポートレートズームとも呼ばれる70-200mm。その中でも本レンズは、高い解像力を誇りながらも描写が硬くなり過ぎず、肌や髪、服の質感が見事に表現されている点で、その別名に恥じない写りだと思います。

SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II

本レンズとα1の組み合わせで約1.8kg。片手で持っても苦ではなく、フットワークがものを言う街中スナップでも活躍します。やや仰角位置にある被写体ですが、200mmで撮ることでパースや歪みが抑えられ自然な写り。

SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II

焦点距離110mmあたりですが、強力な手ブレ補正のおかげで歩きながらのスナップもまったく問題なし。被写体を見つけた時、瞬時にカメラを構えられるかどうか、言い換えればカメラを構える気になるかどうかは、大きさよりも重さの影響が大きかったのだと再認識。

SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II


SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II

テレ端で100m以上離れたところにいる人にフォーカスしてみましたがしっかりと結像し、こんなに小さいにもかかわらず、見る人に存在感をアピールできています。手前のボケもいい感じですね。どんな使い方をしても期待に応えてくれる、いや超えてくると言ってもいい。そんなレンズです。

SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II

ここで見ていただきたいのは色乗りと立体感。言うまでもなく、色乗りというのは柿の実の艶感や質感のことであり、立体感というのは解像力と自然なボケ味のアンサンブルのことでもあります。見事です。

SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II

本レンズの大きな進化点が実はもうひとつあります。それは最短撮影距離。旧モデルのそれがズーム全域で0.96mだったのに対し、本レンズではテレ端で0.82m、そしてワイド端ではなんと0.4mまで寄れます。この違いは大きいでしょう。早朝、霜がついた葉の様子をワイド端の最短距離で撮影したものですが、解像力、質感描写ともに見事な写りです。

SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II

例えそれが1/5000秒の世界の話だとしても、これも立派な「造形」です。本当に性能の良いレンズとボディだけが写し止めることのできる、刹那の造形を、すみずみまでじっくりとご鑑賞ください。

SONY α1, SEL70200GM2 FE 70-200mm F2.8 GM OSS II, Photo by Z II


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望遠ズームのあらたな幕開け

カメラは首や肩からぶら下げたり、バッグに入れたりして持ち歩く道具。改めて言うまでもなく、性能が同じなら小さくて軽い方がいいわけです。断言はできませんが、おそらく「もっと重くする」「もっと大きくする」ことを目指して開発されたレンズは、カメラの歴史上、未だかつてひとつも無いはず。その意味では、ある製品の後継モデルが旧モデルよりも軽くなるのはぜんぜん珍しいことではありませんし、むしろそれが自然で当たり前のこと。このFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIもその例に漏れないわけですが、その減量が30%って・・・。そこから分かるのは、この刷新が文字通り、一からの考え直しであり、作り直しであることです。そうじゃないものに「II」なんてつけないのですよ、ソニーは。もちろん「軽くする」ことだけを目的にこのレンズを新しくしたのではないことは明白。それは写りを見れば分かります。使ってみれば分かります。製品のすみずみまで「II」に相応しい進化と配慮を感じ取ることができる。そもそも70-200mmというのは使う場面を限定しない、実に使いやすいズームレンズです。それが30%軽くなると、これほどまでに自分の身体の一部となりうるのか・・・実際に使ってみて最大の発見はそこでした。この発見を、早くみなさんとも共有したい。

( 2021.11.29 )

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「Gマスター 第二幕」のトップバッターを飾るレンズです。買い替えの人にも、これから望遠沼にハマる人にも、すべての人におすすめ。

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このレンズと組み合わせるボディとして、現時点での最適解です。

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