PHOTO YODOBASHI

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SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ミラーレス一眼カメラの人気に呼応するように、ミラーレス専用レンズのリリースが勢いづいています。そんな中、シグマのArtラインから待望のマクロレンズが投入されました。等倍マクロ撮影ができるF2.8の本レンズ。最短撮影距離(29.5cm)あたりまで寄り切った画には魅惑の世界が広がります。実際、ファインダーを覗いているだけでホクホクもの。自然なボケの柔らかさをたたえながらもピント面の切れ味は鋭く、色気のある一枚へと仕立ててしまうのですからたまりません。焦点距離は105mmですから標準レンズ程の万能さは無くとも、画角的には広すぎずそして狭すぎず。比較的にワーキングディスタンスも取りやすく、描写にクセが出にくい焦点距離でもあります。開放から切れ味全開の描写性能はマクロ撮影のみならず、中望遠レンズとしてあらゆる被写体をものにできることでしょう。被写体にガブリ寄りでじっくりとピントを追い込むのもよし、スリムかつ軽量な躯体を活かして振り回すもよし。楽しさ2倍、いやそれ以上の撮れ高が期待できる「105mm F2.8 DG DN MACRO | Art」の写り、とくとご覧くださいませ。

( Photography : TA / Text : KIMURAX )

SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

最短撮影距離付近でファインダーを覗いた際、ピントがしっかりと立ちアウトフォーカスに向かって柔らかに輪郭を失っていくダリアの様子にまず好感を持ちました。ちょっと再現が難しいかと感じたダリアでしたが、色の滲みもなくご覧の通りの描写です。色のりに派手さはないものの被写体に忠実な色再現性で、ピント面が浮かび上がってくるような描写です。

SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

花びらのように見える部分は総苞で中心に小花が集まっているアストランティアという花です。花径は2〜3cmほど。ちょうどセンサーサイズと同じくらいの大きさです。最短撮影距離で撮影すると、このように画面いっぱいに写すことができます。中心の小花はゴマ粒くらいの大きさ。等倍のマクロレンズであれば、この小花の表情をも捉えることができます。マクロ撮影のピント面は極薄になりますが、本レンズはキレ、抜け、コントラスト、いずれもが優れており、絞り開放を積極的に使っていけるレンズと思います。

SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

小豆くらいの大きさの芽のような部分にピントを置き、手前の葉は大きくボケて色と化しています。ボケの質にかなり気を遣って設計されたのではないでしょうか。最短撮影距離は約30cm(ワーキングディスタンスは約14cm/フードなし)と被写体から適度に距離を保つことができるので、マクロ撮影時においても大胆な前ボケを利用した表現が可能です。ワーキングディスタンスが長めというのは都合が良いことも多いです。三脚撮影時しかり、フィールドで昆虫などを捉える撮影時しかりです。またブレに非常にシビアなマクロ撮影ですが、本レンズは三脚を携行しなくても手持ちでの撮影が可能でした。躊躇することなく絞り開放を使うことができるので、その分シャッタースピードを稼げる。ボディ内の手ぶれ補正も、それを後押ししてくれます。


SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

マクロレンズですから「よく写る」はある程度想定していたのですが、それにしてもそれを軽く超えてくる写りで色再現性や質感描写はご覧の通り。厚みを感じる描写がまた良いですね。

SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

質感の描き分けも素晴らしいの一言。少し絞り込むと精鋭度はさらに増します。最近のレンズは本当にどのレンズもよく写るのですが、それを鑑みてもこと解像という点においては向かうところ敵なしなのでは。

SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

色収差は徹底的(ほぼ完全)に抑制されており、結果として無類の解像力と抜けの良さにつながっているのでしょう。

SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

写りの細部をどうぞご確認ください。(画像クリックで原寸を表示します)


SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

ボディ側の補正の類は全てONの状態で撮影しています。歪曲に関しては気にならない程度ですが、僅かに糸巻きが感じられます。ソフトで簡単に補正できる単純なもので、気になる場合はソフト補正を利用しましょう。


SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

都内にある渓谷です。渓谷内を散策していると時折木々の間から光がさしこみ、とても気持ち良いと思いながら撮影していました。が、その撮影データをみて愕然。目には見えていないチリやホコリなどが(光で照らされた部分は特に)しっかり写っていました。中判カメラを持って、都心から離れた標高の高いところで撮影したときに空気の純度が写るように。確かに、かなり霞みの強い日であり、渓谷のすぐ上を大きな幹線が通ってもいることからも頷けます。本レンズの解像力は時に無慈悲なほどです。

SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA


SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

都内の大きな公園から川を挟んだ向かいにある公園の木々を絞り開放で。本レンズは無限遠での解像力も見事。葉っぱの輪郭がわかるだけでなく、一枚一枚のその表情までをもトレースしています。周辺減光もほとんど気にならない程度です。(画像クリックで原寸を表示します)

SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA


SONY a7R III, SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art, Photo by TA

最短から無限遠までの画質と表現の幅で選ぶなら、このマクロが刺さる。

概してマクロレンズといえば柔らかでボリューミーなボケを重視するためか、絞り開放時の解像力は二の次で、少々絞ってから使うものというちょっとしたお約束的な部分もありましたが。シグマはそんな言い訳は致しません(笑)。ご覧いただいたように開放からトップギヤの解像力で被写体を炙り出し、たっぷりとしたボケは実に自然で柔らか。精力的に数々のマクロレンズを世に送り出し、その名を馳せてきたメーカーだからこそ成し遂げられた一本の登場と言えるでしょう。撮影時には気にも留めなかった細部までの容赦なき描き込みは、まさにスパッと切り込むマクロレンズならでは。その写りを見てしまったら、もうなんだか気持ち的にどこかを刺されちゃったような感じがするわけで。それぞれのカットの残像が脳裏に焼き付くかのように、突き刺さるのです。はい、もうイチコロでした。操作性もよく練られており、スリムな鏡胴左側にあるAF/MF切り替えスイッチの下には、カメラ側から各種の機能を割り当てることができるAFLボタンを配置しています。また、フォーカスリミッタースイッチはフル、0.5m~無限遠、0.295~0.5mの3種類から選べるので使い勝手も上々。撥水・防汚コートはもちろん防塵防滴構造なので常日頃から気軽に使えるのは何よりです。今どき高性能で便利なズームレンズが幅を利かせている感は否めませんが、単焦点レンズを買い揃える必然性は、本レンズのような存在があるからだと確信しました。

( 2020.11.26 )

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ボケが大変綺麗なマクロレンズであり、光学性能最優先の設計が施された圧倒的な解像力を発揮する中望遠レンズでもあります。一本で二度おいしいArtライン105mmマクロ。しみじみとお楽しみください。

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