SIGMA 17mm F4 DG DN | Contemporary

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

シグマのIシリーズに超広角レンズ「17mm F4 DG DN | Contemporary」が加わりました。このシリーズは削り出しアルミニウムの金属製ボディを持つ小型軽量、フルサイズ対応レンズ。描写性能はもちろん、素材、加工精度にまでこだわった「所有する喜び」を追求したシリーズです。同時に発売される「50mm F2 DG DN | Contemporary」と合わせ17mmから90mmまでの9本がラインアップされました。本レンズは質量220g、全長50.8mm、フィルターサイズ55mmとコンパクト。8群9枚のレンズ構成にSLDガラス2枚、非球面レンズ3枚を採用。イメージセンサーに近い後玉に非球面レンズを配置することで、前玉が大きくなりがちな超広角レンズのスリム化を実現したとのこと。コンパクトなレンズですが、最短撮影距離が0.12mと短いのも本レンズの特徴です。17mmは強いパースペクティブが持ち味なのはもちろんですが、使い方によってはパースを抑えたり、ボケ味を活用する等様々な表現も可能です。本レンズの可能性を探りながら街の情景を切り取ってみました。

( Photography & Text : A.Inden )

視界を遥かに超える画角17mm。築地場外の狭い路地でも周りの様子全てを写し取ります。明暗さのある条件で中央に明るい場所を配置することでパースペクティブがさらに強調されます。

短い最短撮影距離を活かして筍にぐっと寄って撮影。高速なステッピングモーター採用のAFも近距離からスッと合ってくれます。

満開の桜の中にカメラを入れて開放で撮影。コンパクトで軽量だからなせる技です。ピント位置はほぼ最短撮影距離0.12m。ピントピークは緻密にして繊細な描写。花びらの繊維の凹凸まで見事に再現しています。十分なボケ量はありますが、シャープなレンズ故に背景のボケ方は少しざわつくように感じます。

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ほとんど引きのない場所でも広い画角を活かし、周囲を取り込んだ構図で撮影することができます。

カメラの水平垂直を出しパースペクティブを抑えて撮影しました。自然な描写が気持ちよく、日常スナップにも使いやすいのではないでしょうか。

ピントピークは開放からシグマらしい繊細な描写を見せてくれます。いい塩梅にボケが効いて花が浮き出してくるようです。

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強いパースペクティブを活かして奥に小さく人を配置する構図で撮影。日が当たっているビルに露出を合わせて撮影しましたが、暗部も潰れることなく階調が残っています。

画面全体に様々な直線が配置されたシーンですが、歪曲収差がほぼ抑えられており気持ちのいい直線が描かれています。

こちらも開放。ピントピークはキリッとシャープに、周辺は流れる事なく柔らかにボケています。

派手な色調ではありませんが、忠実な色再現に好感が持てます。柔らかい光の中での撮影ですが、見事な立体感で花の様子を丁寧に描いています。

最短撮影距離0.12mでAF撮影。強風の中で常に花が揺れる条件でしたが、AFは高速で風がやむ一瞬のタイミングを逃す事なく合焦しました。被写体と背景の距離を十分取ることで（桜のカットと異なり）綺麗なボケ方になります。

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日常使いの超広角

焦点距離が20mm未満の画角になると見える世界がガラリと変わるように感じます。特に顕著なのが強いパース感と深い被写界深度。実際に見た世界とファインダーで覗いた世界が違い、戸惑いを覚えることが多くなるのもこの焦点距離あたりでしょうか。そのため超広角は扱いづらいと言う印象を持たれる方が多いのではないでしょうか。17mm F4 DG DN | Contemporaryはそんなイメージを根本から覆す、拍子抜けするほど扱いやすいレンズでした。コンパクト、最短撮影距離が0.12mと短い、超広角特有の収差を抑えている、ボケ味が柔らかい等技術的な進歩があるとは思います。ただそれだけではない何かを感じずにはいられませんでした。描写の味付けなのか、素直で気持ちよく感じる柔らかいテイストの写真が上がってくるのです。扱いやすいのはもちろん、使い方によって表現の幅が広がっていく本レンズ。日常撮影に新しい焦点距離を加えたいと考えているのであれば、選択肢の一番上に上がってくるのではないでしょうか。

( 2023.04.19 )