PHOTO YODOBASHI

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PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

smc PENTAX-FA50mmF1.4

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

smc PENTAX-FA50mmF1.4は、発売開始以来32年もの長きにわたりラインアップされている標準レンズです。FAシリーズは「フルサイズ」という表現すらなかった銀塩期の1991年にデビューしました。その後デジタル対応のシリーズが次々と登場する中次第に数を減らし、現在このFA50mmF1.4が唯一の生き残りとなっております。レンズ構成は変形ダブルガウスタイプ。6枚からなる対称型の後部に1枚を加えた、6群7枚構成です。非球面などは使用していませんが、これを聞いてどこかホッとされる方も多いかと思います。方々で言い尽くされている通り、平坦性に優れ、開放では柔らかく絞るとキリッとする特性を持っています。これがまた、いいんですよね。しこたまグルメなものを食べた後のしじみの味噌汁のような安心感、旅行に行った後の「やっぱり我が家が一番」という気持ちに似ているでしょうか。

( Photography & Text : TAK )

PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

当時の50mm F1.4はほとんどのメーカーが同じような構成を採用していました。銀塩一眼レフ用50mm F1.4の最適解であり集大成であったのかもしれません。当時の一眼レフのカタログでは、ほとんどのモデルに50mm F1.4が装着されていました。レンズ全体における前玉面積の占有率の高さ。凛々しくもありミニマムな美しさが漂っていました。今回K-1 Mark IIに装着してみると、あの時の興奮が蘇ります。小さくてもお目目ぱっちり。それでいて、いかにも写りそうな威厳も兼ね備えたルックスがたまりません。そしてK-1の偉大さにも改めて気付かされます。マニュアルフォーカスにして、ピントの移り行く様を光学ファインダーで見届ける喜び。カメラだなあとしみじみ思うのです。ちなみにフォーカスリングのトルクは十分に感じられるので、狙ったところにしっかりとフォーカスを定めることができます。


PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

個人的な話で申し訳ございませんが、あの頃はZ-1pやMZ-3などを愛用しておりました。ESPIO Miniも名機でした。LXはついに買えずじまい。とにかく高かった。LX2000なんてヒマラヤ級の高嶺の花でした。あの頃の2000という数字の未来感。ただいま2023年です。そんなことはともかく、当時なんとか資金を捻出し「smc PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited」を手に入れたのですが、それもあって本レンズはついに使わずじまいでした。ただずっと気になっていたことは確かで、今こういう形で顔を合わせると何だか照れくさいような。チープなセリフで恐縮ですが、「もっと早く出会っていれば」。まあ別に今出会っているから良いのですが。ちなみにレンズを見て照れるという感覚は重症です。


PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK


PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

写りの話をしておりませんでした。というより、現代の基準でこのレンズの描写を細かく分析することに、大きな意味は感じません。とにかくグッとくる描写ですね。「love」ではなく「adore」を使いたい。クッキリスッキリ路線の高性能レンズを所有していても、もう一本の絵筆として欲しくなるレンズです。もちろん全カット開放で撮影しています。絞れば現代のレンズと大差はありませんが、開けた時の雰囲気は現代のレンズには真似ができません。絞りを開けて写りすぎない表現を選択できるのは特権です。もちろん万事グダグダというわけでは決してありません。今でも実用できる性能は担保されています。ただこの時代においては、写実性というより芸術性を求める時に手に取りたくなるレンズと言えるでしょうか。趣味の撮影であれば、「もうこれ一本でいいのでは?」と思うかもしれません。そしてこのお値段、今時の入門レンズだって買えませんよね。


PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK

PENTAX K-1 Mark II, smc PENTAX-FA 50mmF1.4, Photo by TAK


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今だから味わって欲しい、滋味溢れる描写

FAシリーズには更に高性能化されたFA★や、味や造り込みを追求したFA Limitedシリーズも存在し、24mm、43mm、85mmといった名玉がずらりと揃っていましたが、50mmは★もリミテッドも存在しませんでした。今は超高性能の「HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW」が君臨していますが、そのことで本レンズの存在価値が一層高まったと言えます。少し前にsmc PENTAX-FA 35mmF2ALが「HD化」されたことは記憶に新しいところですが、Limitedシリーズがそうであったように、このレンズもいずれはHD化されヌケや逆光耐性などが改良されるかもしれません。となると本レンズが持つ最大の価値は、「新品で手に入る最もクラシカルなレンズ」ということになります。今作ったレトロ「風」ではなく、本物のレトロが新品で手に入るようなものです。設計当時は味を最優先したわけではなかったでしょう。銀塩一眼レフ用としての最適解であり、要求は時代によって変わります。異なる時代の描写を、レンズの歴史を、今思う存分楽しむことができるのです。お一人でも多く、この喜びを味わっていただきたいと思います。

( 2023.03.16 )

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いつまでもあると思うな親とsmcレンズ

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フィルター径は49mm。コンパクトですよね。

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フードは別売りとなっております。こちらは角形です。

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こちらはラバータイプの丸型フードです。

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本レンズの真価を味わうには、ぜひフルサイズのK-1 Mark IIを。

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元smcの35mm。コンビでスナップはいかがですか。

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