PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

PENTAX K-1 Mark II, HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW, Photo by A.Inden

HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
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ペンタックスから登場しましたフルサイズKマウントの高性能標準レンズ「HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW」の実写レビューをお届けします。振り返れば昨年のCP+2017でモックアップが展示され、今年のCP+2018で参考出品されていた「あの」レンズです。今年の夏いよいよ発売となったわけですが、フルサイズ一眼レフであるK-1/K-1 Mark IIユーザーの方は特に首を長くして発売をお待ちになっていたのではないかと思います。そのK-1/K-1 Mark IIは36MPを誇る高画素機であり、加えて「リアル・レゾリューション・システム」(イメージセンサーを微少駆動しながら4枚連続撮影し1画素ごとに得たRGBの色情報と輝度情報を合成して1枚の画像を生成する仕組み)により従来のデジタルカメラ以上に解像感高い画像が得られるだけに、レンズに求められる性能もおのずと高いものになります。今回ご紹介する本レンズは、その高い要求に応えるようデジタル時代の新しい技術をふんだんに注ぎ込み、高い光学性能を実現するために生まれてきたもの。その技術も少し紹介しましょう。9群15枚のうち非球面レンズを1枚、異常低分散ガラスを3枚採用した贅沢な構成に、HDコーティング、エアロ・ブライト・コーティングII等を巧みに使い分け、最高画質を追求した「★(スター)」レンズとして相応しい贅沢な設計となっています。機械的には高トルクのリング式超音波モーター(SDM)によるAF駆動や電磁駆動式の絞りが採用され、どちらも高速で安定した動作が期待できます。もちろんお馴染み「AW」仕様ですから防塵・防滴も本格的。K-1/K-1 IIとの組み合わせでその能力を最大限引き出せるよう生まれてきています。それではお待たせしました。じっくりと作例をご覧ください。


PENTAX K-1 Mark II, HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW, Photo by A.Inden

ほのぼの

PENTAX K-1 Mark II, HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW, Photo by A.Inden

PENTAX K-1 Mark II, HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW, Photo by A.Inden

PENTAX K-1 Mark II, HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW, Photo by A.Inden

PENTAX K-1 Mark II, HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW, Photo by A.Inden

何気ないものを何気なく表現すること

実はペンタックスのデジタル一眼レフを使ったのは初めてです。フィルム時代はPENTAX 6x7を使っていましたが、デジタルになってからは、ナノブロックが付くOptio、カラーバリエーションが豊富なQ10など、家族の1シーンを気楽に撮れるコンパクトデジタルカメラを使ってきました。PENTAX K-1 Mark IIを使った印象は、光学式のアイレベルファインダーのみやすさ、トップに配置されたダイヤルで多様なことがこなせる操作性の良さ、カメラを構えた時のバランスの良さ、さすがPENTAX SPを生み出した老舗メーカーだと感心させられました。

「HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW」は、ペンタックスがカメラ性能が良くなっていくだろう未来を考え開発した、レンズ性能を極限まで追求した★レンズシリーズの最初の1本。ただ使った印象からは、未来をというよりはリアル・レゾリューション・システムを最大限に引き出す必要から生まれてきたと考えた方が妥当ではないでしょうか。センサーがレンズ性能を上げていく、素晴らしいレンズシリーズの誕生ですね。作例の最後はリアル・レゾリューション・システムで撮影した御神木のような柿の木。作例画像のクリックで原寸画像を表示しますので、拡大して柿の一個一個が周辺までしっかりと数えられる超高精細画像を確認してみてください。

色々なカメラで撮影していると、手にしたカメラによって被写体を選ぶ気持ちに変化があるように思えます。例えばちょっと攻撃的でイケイケのカメラ、穏やかな気持ちになり日常のなんでもない風景を丁寧に拾っていきたくなるカメラ。ペンタックスから受け取ったイメージは後者。写真を撮っていると「何気ないものを何気なく表現すること」が一番難しいと感じませんか。カメラに興味があるのかちょっと首をかしげるワンコ、前の夜降った雨が残した水滴、秘密基地のような佇まいの納屋。そんな日常のシーンをさらっと記録してしまう。自然なボケ味、豊かな階調、周辺まで均一な性能が作り出す描写の妙ですね。この描写から、丁寧にシーンを記録していくペンタックスの哲学のようなものを感じました。家族の撮影にペンタックスのコンパクトをなぜ好んで使っていたのか、答えはこんなところにあったのですね。(A.Inden)


PENTAX K-1 Mark II, HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW, Photo by KIMURAX

小雨がちな日に

PENTAX K-1 Mark II, HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW, Photo by KIMURAX

PENTAX K-1 Mark II, HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW, Photo by KIMURAX

PENTAX K-1 Mark II, HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW, Photo by KIMURAX

PENTAX K-1 Mark II, HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW, Photo by KIMURAX

PENTAX K-1 Mark II, HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW, Photo by KIMURAX

メーカーの本気がずっしり、じんわりと伝わってくる。

今年のCP+で手にさせてもらっていたこともあり、ずっしり手応えのある910gの鏡胴に驚くことはありませんでした(笑)。剛性感たっぷり、中身がぎゅっと詰まっているぞと感じさせる「HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW」。今回使用したボディのK-1 Mark IIも925gなので重量バランスはバッチリ。合わせると1.8kgちょいになりますからね、もうこれだけでかなりいい画が撮れそうな予感ムンムンなわけです。結果はご覧のとおり。絞り開放からきりっと整ったシャープな像を結びます。画面の隅々まで淀むこと無く描ききってしまうのですから驚きです。とはいえカリカリにはならないのでポートレートにもいい描写を見せてくれるはずです。ボケ味もなかなかの柔らかタッチですからね。さりげなく主役を引き立ててくれる。キレ味とボケ味の絶妙なバランスのよさを感じます。AFも素早く静かに、しかも正確に合焦してくれるので言うこと無しです。K-1 Mark IIボディから、「リアル・レゾリューション・システム」が手持ち撮影でも可能になったのでもちろん試してきました(下あるサムネイル画像をクリックしてみてください)。こういった技術をさらに活かすべく、妥協の無い骨太なレンズをメーカーは送り込んできたのでしょう。ペンタックスの本気がずっしり、じんわりと伝わってくる1本。ぜひ実際に感じてみてください。(KIMURAX)


  • PHOTO YODOBASHI夜に降った雨がまだ乾き切らずに小さな水滴として残った草むらをリアル・レゾリューション・システムで撮影(原寸画像)。柔らかな草の様子、小さな水滴一つ一つの煌めきを感じてみてください。
  • PHOTO YODOBASHI淡いトーン表現と柔らかいボケで花が置かれている空気感がうまく表現されました。手触りを感じさせるピントピークの質感表現も素晴らしいです。
  • PHOTO YODOBASHIリアル・レゾリューション・システムでの撮影です(原寸画像)。少々絞り込みたいシチュエーションですが、あえて絞り開放で。分厚いガラス越しでかなり距離もありますが、ほんとよく写りますね。
  • PHOTO YODOBASHI小雨がぱらついたり、太陽がひょっこり顔を出したり。不安定な空でしたがそんな日は撮影日和。防塵・防滴ですからノープロブレム!

(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)


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満を持してPENTAXが放つ、標準レンズの新機軸

いかがでしたでしょうか。他社製とはなりますがZEISS OtusシリーズやSIGMA Artラインのレンズ同様に光学性能重視の本レンズも50mm F1.4というスペックからすれば存在感のある大きく・重いレンズです。ずんぐりとしているK-1/K-1 Mark IIのボディと組み合わせてもレンズヘビーな感じで、使うには少々の気合いが求められる1本ではありますが、それだけに得られる画像には目を見張るものがありました。1段絞るだけで隅々まで広がるシャープな描写。1画素単位で克明に描き出すK-1/K-1 Mark IIとの組み合わせにより、滑らかなトーン再現や質感描写のリアリティは等倍にして見ていると「ここまで写るのか」と驚きを隠さずにはいられません。特にキレのあるピントと滑らかなボケによる立体感ある描写は、見ている写真の中へと引き込ませる“力”を与えているように感じます。画角は50mmの標準レンズですから、日常を写し撮るスナップ撮影から、高い解像感が求められる風景写真、9枚羽根の円形絞りによる美しいボケを活かしたポートレート撮影など、持ち出すことさえ厭わなければ様々なシーンで期待以上の上質な1枚が得られます。

106mmの全長、910gの重量、72mmのフィルター枠というサイズ感もあり、少々無骨にも見える外観ですが、幅広のピントリングはフォーカスを丁寧にコントロールでき、大きめの凹凸により手袋をした状態での操作性にも配慮されているなど、アウトドアフィールドでも信頼できる仕上がりになっています。また高い効果が期待できそうな花形のフードには、PLフィルターの操作が行えるよう窓が設けられているなど(通常時は蓋がされています)ペンタックスらしい気配りも忘れていません。巷ではフルサイズミラーレスカメラに注目が集まっていたりもしますが、一眼レフならではの光学ファインダーの美しさは今回使用したK-1 Mark IIでも不変です。またその光学ファインダーだからこそ、本レンズが持つ高い光学性能を直接目にしながら撮影に挑める喜びも忘れてはいけません。発売直後は高い注目もあり本レンズの供給不足がアナウンスされていましたが、現在では落ち着いてきているようです。まだ手にしていない方はどうぞその実力をご自身のカメラにマウントしてお確かめください。この新しい絵筆は、あなたの写真の世界をひとつ上のステージへ引き上げてくれる1本になるでしょう。

( 2018.12.21 )

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ペンタックスKマウントのフルサイズデジタルカメラK-1 Mark IIを始め、進化し続けるデジタルカメラの新たな標準レンズとして、解像力の大幅な向上を実現した“新世代のスターレンズ”HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWが誕生しました。親しみやすい50mmという画角をスペシャルな存在にしてくれる一本です。

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強化ガラスを採用し大切なレンズの前玉をしっかりと保護してくれます。低反射率、帯電防止・撥水対応、防汚コーティングなど、プロテクトフィルターに求められる機能をすべて備えたハイエンドフィルターです。

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「HD PENTAX-D FA☆ 50mm F1.4 SDM AW」はK-1 Mark IIのために生まれてきたといってもいいでしょう。高い光学性能をフルに引き出せるボディのご用意もお忘れなく。

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