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Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

パナソニック・シグマ・ライカの三社によるLマウントアライアンスが、いよいよ形になってきたと言えるでしょう。Lマウントというフィールドを得たシグマ渾身の一撃は、やはり大口径単焦点レンズとなりました。ミラーレス専用設計にすることで如何なるクオリティのレンズを目指せるのか。「最高画質の追求」を掲げて生み出された本レンズは、焦点距離35mm初の開放F1.2を実現した1本です。レンズ構成を見ると、非球面レンズ・SLDガラスを3枚ずつ使った「12群17枚」という贅沢なもの。当然のようにレンズは重くて大きくなるわけですが、シグマのArtレンズともなると一切躊躇がなく、その大きさ・重さがむしろ高画質を担保するように感じてしまうから不思議です。大きな機材を抱えるなりのクオリティは得られるのでしょうか。さあ、早速そのF1.2の世界を見に行きましょう。

( Photography : KIMURAX / Text : Serow & KIMURAX )

Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

稲穂はまだ垂れる程には育っていませんが、青々とした葉は天に向かって勢いよく伸びていました。それなりの距離があるものの、絞り開放での深度の浅さがよくわかるカットです。チクチクしそうな一本一本の葉先まで曖昧になることなく描き込んでいるのがわかりますね。晴天の下での撮影ですが、前後のボケはざわついたり、煩くなるようなこともなく、実に自然に馴染んでいます。

Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

F1.2のボリューミーなボケは、背景との距離や光の条件が変わるとみるみる変化します。重なり合う葉の隙間から漏れる光は様々な姿に。色と化した葉はまるで大きな一枚の朽ちかけた葉のように。その時の距離と光が描き出したちょっと不思議な背景。ファインダーを覗きながら前後するにつれて変貌するボケの表情を見ているだけでも楽しいものです。

Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

絞り開放から大変シャープな像を結ぶレンズですね。フェンスを伝う葉が盛り上がっているかのように見ます。

Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

痛みの激しいアスファルト。溜まった雨水からの強烈な反射光を抑えるためにF10まで絞っての撮影です。水分を含んだ亀裂部分から乾ききった土埃の表情まで、克明に描き込んでくれました。


Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

柔らかになじむ背景から、キリっと浮かび上がるその表情。今にも動き出しそうな、ただならぬ雰囲気が漂う仕上がりです。JPEG撮って出しですが鳥居の艶々した紅色も見たままに再現しています。

Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

大きくボケるが悪目立ちはしない。品のよいボケ方をするものです。

Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

絞り開放から全開の描写力には恐れ入ります。

Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art


Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

ずっしりと手応えのあるレンズですからAFはめちゃめちゃ素早いわけではありませんが、必要にして十分な応答性です。撮影テンポに水を差すようなことはありません。ピントを追い込む必要もなく、精度は高いと言えます。

Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

紡ぎだす線の繊細さ、緻密さ、そして階調に至るまで申し分のない写りに脱帽です。

Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art


Panasonic LUMIX S1, SIGMA 35mm F1.2 DG DN | Art

このレンズを使いたいから、Lマウントを選ぶ。

シグマ 35mm F1.2 の描く世界は御覧の通りです。F1.2ということでついついボケに目が行ってしまうのですが、撮れた画がパワーを持つのはやはりきちんとした描写があってのこと。キレのよい描写、ヌケのよい色、スムースなボケが三位一体となって被写体を際立たせ、シャッターを切るたびに印象的な瞬間が刻まれていきます。これだけの描写性能があるなら、このレンズを選ぶ積極的な意味は明らかですよね。腕前だけではどうにもならないクオリティは、レンズに求めるしかありません。

さて35mmの単焦点レンズとしては破格の大きさである本レンズですが、パナソニック S1に装着してみると実によいバランスになりました。良いレンズを作ろうとすれば、光学的に見てそれなりのサイズにならざるを得ない。そうしたことを見据えて設計されたボディがS1でしょうし、実際にその意志をもって生まれたレンズがこの 35mm F1.2 DG DN というわけです。しっかりとしたコンセプトを持つ「Lマウントアライアンス」のプロダクトが、メーカーを越えて組み合わさってゆく。ひとつのレンズとボディだけでも垣間見えるその可能性に、私たちは期待せずにはいられません。

私たちはどんな写真を撮りたいのでしょうか。画質を求めるなら、道具はここにあります。

( 2019.08.29 )

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自由度が増したミラーレス専用設計で、シグマが本気を出したらこんなレンズができました。まさにフラッグシップといえる35mm 単焦点レンズの描写を、どうぞお楽しみください。

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保護フィルターをつけるなら純正が安心ですね。大きなレンズを守る82mmです。

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