OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO

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OM SYSTEMから第3のマクロレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」が登場しました。本レンズは35mm判換算で180mm相当の望遠マクロ。これまでの2本「M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro」、「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」よりも望遠なことで昆虫など、寄ると逃げてしまう被写体に対して離れた位置から程よいサイズ感で画角に収めることができます。撮影倍率はこれまでの2本と比べても格段に上がり35mm判換算で4倍の超高倍率撮影が可能。さらに別売りの2.0倍テレコンバーターを装着すれば最大撮影倍率8倍の超高倍率マクロ撮影も行えます。光学系はスーパーEDレンズ2枚、EDレンズ4枚、スーパーHRレンズ1枚、HRレンズ1枚を組み込んだ13群18枚の贅沢なレンズ構成。AFの駆動にはインナーフォーカスを採用し、2つのレンズ群を独立に駆動させることで高速なAFを実現。レンズ内に手ぶれ補正機構を搭載し、カメラのボディ内手ぶれ補正と協調する「5軸シンクロ手ぶれ補正」により最大7段分の効果が得られ、マクロ撮影時もスナップ撮影時にも安定した撮影が行えます。また、近接撮影時に目立つ色収差を徹底的に抑制し、接写から通常領域まで“PRO”の名に相応しい高い描写性能が期待されます。OM SYSTEMが放つ、これまで見たことがないマクロの世界をご覧ください。

( Photography & Text : Z II )

日常生活の中でもマクロレンズで撮ってみたくなる被写体はあふれていますが、サイズ感のわかりやすいものから。ちょうど冷蔵庫の野菜室にあったカイワレ大根の葉っぱです。まずは小手調べに等倍で撮影した子葉。この程度の倍率なら肉眼で見た感じとさほど変わらず、表面はつるっとした質感が見て取れます。

最短撮影距離の0.224mでは撮影倍率は35mm判換算4倍となります。小さな葉の半分すらはみ出るほど大きく撮れます。ここまでくると完全に肉眼を超えていて、虫眼鏡などで見るよりも歪みもなくはるかに鮮明です。これでもかなりの接写ですが、スクロールして冒頭の画像をもう一度見てみてください。同じ位置から2.0倍のテレコンバーターを装着し、最大撮影倍率は35mm判換算8倍にて撮影したものです。葉脈が何層もの筋になっている様子まで確認できるほど鮮明ではありませんか。まさに細胞レベルまで描写していることに、ただただ驚くばかりです（冒頭の画像はボディの深度合成機能を使用）。

こちらも8倍マクロで撮影した塩の粒。一粒の大きさが0.2〜0.5mmと言われる粒の一つ一つの形状や表面の質感までも描写しています。理科の教科書で見たような画像を実際に撮れるのは素直に楽しいですね。

こちらは上の画像から少しだけ（数ミリ）引いた様子です。上の画像同様に超高倍率の接写画像は、見慣れないためか不思議と見入ってしまいます。撮影時は三脚を使用していますが、少し立ち位置を変えただけで床が軋んで画角が変わるほど繊細なので、静かに息を潜めての撮影でした。

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鏡胴のフォーカスリミッタースイッチをS MACROに切り替えると0.224mまで寄ることができ、撮影倍率は35mm判換算で4倍になります。それ以外の最短撮影距離は0.25mで、撮影倍率は35mm判換算2倍となります。スリムなレンズですからテレコンバーターを装着してもさほど気になりません。

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望遠スナップの際はAFのスイッチを0.25m〜∞に切り替えることで無駄なくフォーカス。さらにコンパクトな上に強力な手ぶれ補正により風景撮影やポートレート撮影を手持ちで行うことが可能です。明るい空を背景にしても色収差はよく抑えられ、くっきりと描けています。

中間距離でもこのとおり素晴らしい質感の描写と背景のボケ。コントラストのある被写体ですが滲みなど一切感じず、色のりもよい印象です。

小さくふさふさした花が特徴のミモザ。これほどアップの画を鮮明に手軽に撮ることができて、しかも防塵防滴ですからアウトドアの撮影で重宝しそうです。動植物の生態の資料的画像にもなり得る情報量ですね。

埃などをはたく際に使用するダチョウの羽根でできたハタキを接写。細かな毛の一本一本を丁寧に描き切っています。描写性能が高いことで気を衒うことなく、気になったものを思うままに接写するだけで「おや？」と思わせる写真が生まれます。

本レンズにとってこれくらいの接写（ハーフマクロ程度）は朝飯前。眼のアップを撮る際には、望遠マクロゆえのワーキングディスタンスを得られるので、例えば小さなお子さんやペットを撮る際にも威圧感を軽減して撮影ができます。これほど寄ってもマイクロフォーサーズであることでボケ過ぎることなく、絞り開放でバシバシ撮れるのはありがたいですね。ピントピークの解像感はもちろん、ボケの傾向はさすがマクロという柔らかに調整されています。

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超高倍率マクロが見せる身近な宇宙。

マクロレンズの目的はズバリ接写です。接写できるレンズは世の中に多くありますが、この「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」はこれまでに見たことがないほどの接写を見せてくれました。豆粒ほどの被写体でも、画面いっぱいどころか2.0倍のテレコンバーターを活用すれば、豆粒の表面の凹凸まで写すことが可能なのです。これまでも、ある程度寄った画像をトリミングすることで大きく寄ったようにみせることは可能でしたが、当然画質の低下は避けられません。本レンズになら高解像度の接写画像を想いのままに得ることが可能です。それにしても8倍マクロは想像を超えた世界でした。もはや顕微鏡の見え方に近い印象でファインダーを覗くと、自分が蟻のように小さくなったらこんな見え方なのかな？と思うほど。レンズを何に向けても、どの部分を撮ったのかわからないほど寄れるため、何を撮れば本レンズの良さが伝わるのか悩むほどです。その結果選んだのが「塩粒」だったのですが、こんなふうに撮れるのか！と驚きでした。これほど寄れることに特化しながらも描写性能は素晴らしく、質感描写や高精細な線の描き方など圧巻の写りは見事というしかありません。個人的に思うのは、肉眼で見えないものをこれほど鮮明に撮れることは、特大の望遠鏡を夜空に向けて肉眼で見えない星を見るのと同じことのように感じました。そう思うと足元の景色の中に、無限の宇宙が広がるようでワクワクしてきます。すでにOM SYSTEMをお使いの方なら新たな驚きと発見を得られることはもちろん、近接撮影のさらなる高みを目指す方にも「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」は間違いなく期待に応えてくれます。他メーカーのカメラをお使いの方も、このレンズのためにシステムを乗り換える、もしくは増やすという選択も有りではないでしょうか。これまでにない、高精度なAFと強力な手ぶれ補正が搭載された次世代の高倍率マクロレンズなのですから。

( 2023.03.15 )