OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

F1.8、フルサイズ換算で34mm相当の画角となる大口径単焦点レンズながら、軽量コンパクトで機動性に優れた1本。周辺光量落ちはあるものの、開放値からすれば少ないほうで、2段ほど絞れば解消します。ボケが得にくいとされるマイクロフォーサーズですが、距離さえあれば開放するとそれなりに背景をぼかすこともできるので、味のある周辺落ちとの組み合わせでムーディなシーンを切り取るのもいいでしょう。上の写真をご覧になっても分かるように、絞り開放から実にシャープな像を結び、大変気持ちのいい描写を見せてくれます。本レンズにはスナップショットフォーカス機能を搭載しています。フォーカスリングをカメラ側にスライドさせるとMFに切り替わると同時に、設定していた距離へと瞬時にピントが移動。スナップ撮影などですぐさま撮影したい時に重宝します。その一方で、AFにおいてはMSC（Movie&Still Compatible）機構を搭載しているとあって、静かで素早いフォーカシングでびしっと決まるので、テンポよくシャッターボタンを押していくことができます。AF、MFともに使い勝手がよい上に、とにかくよく写るという印象のレンズですが、金属製の鏡胴は見た目に美しく、触れた時のひんやり感すらも心地よく、確かに所有欲をくすぐる要素が凝縮したレンズ。気の向くまま、思いの向くまま、朝から晩までさまざまなシーンで活躍してくれること請け合いです。

( Photography : Z II & M.Ito / Text : KIMURAX )

室内撮影でも絞り込む余裕があるF値の明るいレンズは頼もしいものです。スポットライトが作り出す陰影をしっかりと描き出し、均一ではない壁面のニュアンスがあらわになりました。フィルムならまだしも、デジタルでの撮影は少々はばかられるようなシチュエーションですが、明から暗へ、暗から明へと豊かな階調で丁寧に表現されているのには大変感心させられます。

ショーウインドゥの中に積み上げあげられた毛糸を撮影。開放から半段絞っただけですが、光を反射しやすいアクリルの素材感がよく伝わってくる描写です。

役目を終え、今は展示用として金属や油に見立てた塗装が施されています。鈍く光るマットな質感からオイリーな艶感まで緻密に再現されており、臨場感たっぷりです。さすがは単焦点レンズらしい、立体感のあるクリアな描写です。