PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon D800E, TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD Model A034, Photo by A.Inden

TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD Model A034

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

タムロンからニコンFマウント向けのフルサイズ・望遠ズームレンズ「70-210mm F/4 Di VC USD A034」が登場しました。ズーム倍率はぴったり3倍、70-200mmが一般的になった今となっては「210mm」という数字が少々懐かしく感じます。タムロンのレンズラインナップでは、これまで70-200mm F2.8の大口径なモデルや「SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD Model A030」もしくは「100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD Model A035」のようなより高倍率なモデルとなっており、今回の70-210mmという抑えたズーム倍率と、F4通しにより実現したスリムな鏡胴で、ハンドリングがよく様々なシーンでの使い勝手に優れた1本となっているようです。

LD(異常低分散)レンズ3枚を含む14群20枚構成のうち、4〜7群目でズームを行うインナーズームを採用。これによりズームリングを回しても全長の変化がなく、動作の安定性が高いレンズに仕上がっています。ズームリングのトルクも軽快でスムーズ。タムロン自慢の手ブレ補正と高速なAFを両立させるため、それぞれの処理を分ける「デュアルMPU」も採用し、最短撮影距離0.95m・最大撮影倍率1:3.1のマクロ機能も搭載。標準ズームから繋いで使うに相応しい、頼りがいのあるレンズとして仕上がっているようです。では早速、期待の写りをご覧ください。


Nikon D800E, TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD Model A034, Photo by A.Inden

春の訪れ

Nikon D800E, TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD Model A034, Photo by A.Inden

Nikon D800E, TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD Model A034, Photo by A.Inden

Nikon D800E, TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD Model A034, Photo by A.Inden

Nikon D800E, TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD Model A034, Photo by A.Inden

ほっこりする写り

タムロン70-210mm F/4 Di VC USDのスペックは、全長174mm・重量850g。レンズ鏡胴の簡易防滴機能と最前面のレンズへの撥水性・撥油性にすぐれた防汚コート。そして、スリムでフラットなデザイン。要するに、外に持ち出してガンガン写真を撮りましょうという仕様です。少し前までは、ボケ味・性能・価格を考慮しながらF2.8(大三元)にするかF4.0(小三元)にするか悩んでいたものですが、デジタルカメラが高感度に強くなったこと、ボケ味を考慮したレンズ設計が主流になってきたことで、ひと絞りの違いでなく、携帯性、使いやすさがレンズ選択の基準になってきたように思います。使ってみて感じた一番のポイントは「インナーズーム機構」の素晴らしさ。このズーム時にも全長が変わらないことは予想していた以上に便利でした。レンズの重心が大きく移動しないため、単焦点レンズを使っているような感覚で、どの焦点距離でもホールディングの位置を変えずに撮影できました。窓越しの撮影時にズームしてガラスにレンズをぶつけ、ドキッとすることもありませんね。

さて描写は。作例を通して感じられるのは、ハイライト・シャドーの表現、解像感の見せ方、色再現が、誇張されずに素直に見たままに描写されていることです。この素直な写りこそがタムロンの特徴です。そして、一番感心したことは、絞りを変えることによる描写の違いがほとんどなかったことです。ほとんどのレンズは開放で癖のようなものが出ることがあります。このレンズは、開放から画面周辺まで均一でクリアな解像感、異常低分散ガラスを3枚を使うことで色収差を巧みに補正しているため、周辺での色の滲みもなく、癖の様なものが全くと言っていいほど感じられませんでした。絞りの違いによる描写を気にしないことは、撮影に対する自由度をかなり広げてくれました。

満開の桜、逆光に輝く海、ふわふわと飛んでいくシャボン玉、リスの愛らしい目。被写体が変わっても、色が目覚めてくる春らしい雰囲気を、素直な写りでうまく感じさせてくれました。個々のものが存在を主張し過ぎない写りに、久々、ほっこりしてしまいました。(A.Inden)


Nikon D800E, TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD Model A034, Photo by Naz

爛漫

Nikon D800E, TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD Model A034, Photo by Naz

Nikon D800E, TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD Model A034, Photo by Naz

Nikon D800E, TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD Model A034, Photo by Naz

Nikon D800E, TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD Model A034, Photo by Naz

SPレンズに遜色ない写り、自信作なのは間違いない。

今年の東京は駆け足で桜前線が通りすぎていきました。つい数日前までの冷え込みも遠い過去のようで、 気がつけば街中に花が溢れ、目にする光景も多彩な色を感じさせてくれます。そんな中でのロケ、タムロンのレンズは期待以上の活躍をしてくれました。

まず写りについて感心した点を挙げていきましょう。素直で癖のない端正な描写、濁りのないすっきりとした色再現、美しく溶けるボケ。ピントのキレも程々でちょうどいい塩梅だと感じました。これらのどれが欠けてもこうは写らなくなってしまいます。今回、望遠レンズらしい大きなボケや季節を意識したオーバー目の露出で撮影を行ってみましたが、滑らかなトーンの再現がフレーム全体をふんわりと仕立ててくれ、春の光を撮るのが実に楽しいレンズだと感じました。キヤノンマウント版となりますが、以前「SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2 Model A032」をレビュー撮影をしたときのことを思い出しました。写りの傾向はよく似ていますから、併用するのに違和感がありません。光学性能はタムロンのSPレンズと比べても遜色ないレベルと言えるでしょう。

使っていて不満はほとんど感じませんでしたが、敢えて挙げるとすれば、テレ端での糸巻き型の歪曲と、強い光源へ向けると時々顔を出すゴースト。歪曲は後処理で解決できますし、ゴーストは出ても逆光での画質低下はほとんど感じませんから、ファインダーでしっかり確認してフレーミングを工夫すればどうにでもなるでしょう。これらはこのレンズのよいところに比べれば実に小さなものです。(Naz)


  • PHOTO YODOBASHI手ブレ補正モードのついたレンズで流し撮りをする場合は、流し撮り用のモードに切り替えるか、モードをOFFにする必要があります。本レンズのVCモードは、流し撮りを自動検出するのでVCをOFFにすることなくそのまま流し撮りをすることができます。1/20秒というかなりスローなシャッタースピードで撮影してみましたが、うまく縦方向のブレだけがが抑えられています。(A.Inden)
  • PHOTO YODOBASHIトンビの羽が太陽の光でキラッと光る様が美しく、その瞬間を狙ってみました。最初ファインダーでは合焦しているのに、液晶で見るとピントが甘く苦労しましたが、シャタースピードを上げることで解消されました。羽ばたいている瞬間を止めるには高速シャッターが必要と、普通に考えればわかりそうなものですよね。ツヤっとした羽の煌めきに強い生命感を感じます。(A.Inden)
  • PHOTO YODOBASHI使うほどに感心するタムロンの手ブレ補正。強力であるだけではなく、動作が自然でそもそも手ブレをしていないのだと思えてしまう程です(そんなことはありません)。ファインダーを覗いた時にピタッと静止したフレームは、動く被写体を追いやすいですし、安心してスローシャッターへ挑めます…といっても4段分の補正能力がありますから、テレ端で1/90秒ならば、このレンズにとってはスローですらないのでしょう。(Naz)
  • PHOTO YODOBASHI最短撮影距離は0.95m。手を伸ばした30cm先にはピントを置くことができます。F4といってもテレ端ではこれだけ盛大に前後をボカすことができます。柔らかな写りだけにAFが少々苦手なシチュエーションとなりますが、ファインダー越しにMFでもしっかりと追い込めるピントのキレは十分にあると思います。(Naz)

(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)


PHOTO YODOBASHI

軽やかに、そしてちょうどいい。

いかがでしたでしょうか。タムロンレンズの優しさを感じる描写、使うほどに「しみじみいいな」と惚れ直してしまう魅力を感じます。突き抜けた性能や個性ある写りを魅力的と感じる一方で、どんなシーンにも対応できるバランスのよいレンズが「気づけば一番使っていた」なんてことになる。本レンズもそんな1本ではないかと思います。デジタルカメラの高感度性能の飛躍な進化により、明るさを求めて大口径レンズを欲する必要はなくなりました。とはいえ、F2.8が必要な条件ももちろんあるでしょう。自らの撮影スタイルに、価格や重量などを犠牲にしてでも必要とする何かがあるならば、それは選択すべきだと思います。一方で「F4で十分だ」と割り切ることができるならば、このレンズが持つ価値の高さに改めて気づかされるのではないでしょうか。

スリムさ故に妙に細長く、やや大きなレンズに見えてしまいますが、その太さは円筒形のお茶が入った500〜600mlのペットボトルほど。長さはペットボトル以下ですから、カメラバッグの隙間に押し込めてしまいそうな望遠ズームです。重量も850gとF2.8クラスより大幅に抑えられていますから、持ち出すことに気合いはいりません。その軽快さは撮る写真にも大きく影響しそうな気さえしてきますし、使っている時よりもカメラバッグにしまった時に軽さを実感していただけると思います。F2.8クラスはハイエンドな仕様のレンズとなりますから、頑丈な金属鏡胴も期待できるでしょう。でも、そこまでいらないのなら、もう迷う必要はありません。

( 2018.04.06 )

Loading..
Loading..

いやあ、タムロンすごい。レビューする度に欲しくさせるレンズを出してきます。これはキケン。さてどうするか、、私の薄いお財布と、我が家の財務大臣に相談です。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

アルカスイス互換の雲台にフィットする、専用の三脚座は別売となります。マグネシウム合金を採用し、高い強度と軽量化を両立させたこだわりの一品です。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

従来の7倍の強度を誇る保護ガラスを作用したプロテクトフィルター。防汚コートも施され、大切なレンズをしっかり守ってくれます。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..