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Nikon Z 8, NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S TC-2.0x, Photo by K

Nikon Z 8 / SHOOTING REPORT

Nikon Z 9を、サイズだけそのままスケールダウンしたかのような、「Nikon Z 8」が登場。センサーや映像エンジンはZ 9相当であり、有効約4,571万画素(総画素数5,237万画素)の積層型ニコンFXフォーマットCMOSセンサーを搭載。なお映像エンジンもZ 9同様、EXPEED 7を搭載しています。まるで、かつてのフィルムのフラッグシップモデルNikon F5と、そのジュニアモデルNikon F100の間柄のようです。ボディサイズがコンパクトなのは何物にも代えがたいメリットがありますから、Nikon Z 9を所有する筆者にとって、もしスペア機を持つ余裕があるならば、このNikon Z 8をチョイスしたくなります。さて、Nikon Z 9ユーザーとしては、このNikon Z 8がどのような印象をもたらすのか楽しみにしていました。Nikon Z 9ライクに使ってみてどうなのか、または、このカメラならではの個性を感じられるのか、そのあたりの印象を作例とともにお届けしたいと思います。

( Photography & Text : K )

Nikon Z 8, NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S TC-2.0x, Photo by K

韋駄天ぶりと捕捉能力の高さは、まさにNikon Z 9譲り

デジタルのミラーレスカメラにいわゆる「モードラ」はありませんが、Nikon Z 9の出で立ちでいうソレらしきものが無くなったのが、Nikon Z 8。脅威のスキャンレートでローリングを感じさせないメカシャッターレスのセンサーと映像エンジンのタッグで、動画と変わらないようなコマ速を誇り、AFはターゲットを捕捉したらまさにロックオン。動体を捕まえるのに本当に惚れ惚れするかのようなパフォーマンスを発揮してくれます。レースの撮影であれば、長らく大口径超望遠レンズでMF置きピン、シャッターボタンをジャスト一閃で押す、そんな撮り方を長らくやってきたのですが、そう明るくもない(暗過ぎでもないですが)ズームレンズに2倍のテレコンバーター、ドライブモードはコンティニュアスで、フォーカスはオート、ダダダっと連写で撮影。つまり機材におんぶに抱っこです。これが一番良いとは言いませんが、歩留まりが素晴らしいのです。本当にカメラとしての進化を感じます。EVFですから、レンズの開放F値が暗くともファインダー内の明るさは保たれて、テレコンバーターを使用してさらに暗くなるようなこともありません。EVFに致命的なタイムラグを感じることもないわけで、いやはや、撮り手を本当にサポートしてくれます。オートバイの撮影は、車に比べて三次元的な動きが大きいために、それを追うのはなかなか難しいと思いますが、フォーカス送りだの、手ブレ抑制だの、そんなものはすべてカメラ任せ。ライダーがスロットルを開けてクリップから脱出ラインに載せていくその様をファインダーで追っていく、ただそのことに集中できます。これは本当に凄いことです。任せられるから連写で撮るのですが、1つだけ問題が。そんな撮り方をするのならば、別売りのバッテリーグリップもお買い求めを。やはり、Nikon Z 9ほどのバッテリー容量は標準状態で望むべくもないわけで、ガンガン回してるとバッテリーは底をつきます。しかし、これは選択の自由があるというメリットのある話で、ご用途に応じてお選びください。

Nikon Z 8, NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S TC-2.0x, Photo by K

AFの被写体検出に飛行機が追加されました。作例のような側面から、それも離陸シーンを撮るのにはその新機能も必要ありません。もちろん、近づき、離れていくようなシーンではありがたい機能だと思います。そんなシーンでいろいろ試してみましたが、素晴らしいの一言。羽田の第一ターミナル展望からであれば、そんなシーンを画的に美味しいアングルで撮るのが難しいため作例はありませんが。側面から離陸シーンを撮るなんて時には、昔は怪しい動きをされても困るので手ぶれ補正機構があってもそれをOFF、一脚で流し撮りをやっていたものです。点で止めるようなシャッター速度であれば、わざと1/4〜1/8秒ぐらいまで速度を落として撮っていました。しかし、スポーツモードの手ぶれ補正が素晴らしい出来で、800mm相当を1/8秒でしつこく撮っていれば流せてしまう。これは本当に凄いことだと思います。

Nikon Z 8, NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S TC-2.0x, Photo by K

さて、流すより面倒なのがこんなシーン。なにが面倒かといえば、まず動きが予測しづらい被写体にフォーカスを送り続けることです。もう、カメラに完全にお任せ。海面と被写体が分離しないし、被写体は画面内で本当に小さいわけです。トラッキングでよく追えるもんだと感心します。黄砂襲来の日、夜半に雨が降ってびっくりするほど視程の取れた日でした。

Nikon Z 8, NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S TC-2.0x, Photo by K


Nikon Z 8, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, Photo by K

周辺カットまで撮る気にさせてくれる

ボディにスピードのあるカメラを手にすると動体の撮影に出かけるわけですが、必然的に望遠レンズとの組み合わせになることがほとんどで、なかなかなサイズになります。それ故にメインとなる被写体を追う以外で「あ、いいな」と思ったシーンになかなかレンズを向けられないものです。超望遠ズームとしては比較的コンパクトな100-400mmを今回用いたこともありますが、それでも「ボディの下」が無いのは気分的にやはり全然違って、メイン以外も楽しめました。私のような横着者は超望遠ズームそのままで撮ってしまうことがほとんどですが、たとえば、Nikon Z 8をNikon Z 9のスペアとして標準ズームをマウントし、2台同時運用なんて使い方も考えられると思います。特に望遠で動体を狙いたい場合、APS-Cクロップで撮りたいことも多いために、2台体制を考えたくもなります。言うまでもなく最初からNikon Z 8を2台で構成するのも、運用構成としてはさらにコンパクトになって良いですね。バッテリーグリップを別途1つはお買い求めになると便利だと思います。

Nikon Z 8, NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S TC-2.0x, Photo by K

特にテレコンバーターは必要のない距離だったのですが、横着なのでそのまま撮影。マスターレンズの出来が素晴らしいのですが、2倍のテレコンバーターを取り付けても悲しい画質になったりはしません。良い時代になったものです。余談ですが、サーキットの駐車場はバイクで一杯! ちょっと日頃見ることのないおびただしい数の車両が並んでいました。バイク乗りがバイクのレースを見るのだから、どんなに遠くてもバイクで来る。バイク乗りとはそんな人たちです。確かに自分も昔そうしてたと思いますし、なんなら機材を積んで走れるようなバイクも持ち合わせていますが、そこはもう車一択。移動は極力楽に、カメラは小さく軽いに限ります。これが年を取るということです(笑)

Nikon Z 8, NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S TC-2.0x, Photo by K

飛行機を狙うときにはトップライトの時間帯に出かけることは殆ど無く、立体的に見えやすい夕暮れ時の斜光を選ぶことが大半です。飛行機以外にもレンズを向けたくなるシーンは多いのです。

Nikon Z 8, NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S TC-2.0x, Photo by K

Nikon Z 8, NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S TC-2.0x, Photo by K


Nikon Z 8, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, Photo by K

日常シーンにスピード&捕捉力を持ち込むと・・。

ページ下のボディのカットをご覧いただければ、ニコンらしく如何にも堅牢な道具感が漂いますが、サイズ感を含めて一般的なミラーレスカメラと同じ出で立ちです。カメラの特性上、動体の撮影に出向きましたが、普段使いを含め用途を問わないカメラだと思います。私の場合はスナップ撮影が殆どで、それも小さなアナログ機械式カメラでこなしてきた関係もあり、最新のカメラを手にしても殆どその機能の高さの恩恵を受けることがありません。機能が「使えない(役に立たない)」「使わない」というわけではなく、要は慣れた撮り方をするだけの話なのですが。たとえば、AFやAEの世話にはなっても、AFのポイントはしつこいほどに中央一点。コサイン誤差なんかはどうするの?という話ですが、フィルム時代の「諦め」がこびりついているのか、まさに「そんなものは誤差」と割り切っているフシがあります。というか、AFのポイントを動かす事自体が面倒くさいし、フレーミングだけに作業を絞りたいわけです。さて、前置きが長くなりましたが、普段の撮影に動体撮影で使うような機能を用いるとどうなるんだろうと考えてみたわけです。たとえば、絞り開放でちょこちょこと動く被写体をAFロックオン、つまりコンティニュアスで。特定の被写体を追いかけることなく、街並で、人を認識するAFモードを。これが、やってみるとめちゃくちゃ便利! ちょっと感激してしまいました。気分的には買ってきたテレビの接続等々で困り果て、子供にちょちょいとやってもらって、老眼鏡をズラし「ほえー」と唸るようなもんです! 撮影なんて極論すれば「撮れればなんでもよい」わけです。撮るために枯れたやり方でやる。そんな人も多いんじゃないかなと思います。使いこなしている人たちからすれば「いまさら何言ってんだ」という話かもしれませんが、、やってみるもんです。急に欲しくなってきた。。。だってもヘチマもありませんが、レンジファインダーカメラで絞り込んでゾーンフォーカスみたいなことを長年やってきた自分にとっては目からウロコがボロボロですよ。EVFになり、スピードとパワー、電力マネージメント、タイムラグ云々、ミラーレスカメラも高度にバランスされてきたからこそ、長年の作法みたいなものから脱却できるなと感じ入りました。むしろ、ちょうど今頃が、フィルム時代のカメラから本当の意味で1つ次元が上がったのかなと思わされます。

Nikon Z 8, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, Photo by K

さすがにNikon Z 9をストリートに持ち出そうという気はありませんでしたが(Z 7などを持ち合わせているため)、普段使いに十分なサイズです。

Nikon Z 8, NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S, Photo by K

一昔前ならスピードのあるボディは画素数が低くて・・なんてことも有りましたが、4500万を超えてくるため被写体を選びません。

Nikon Z 8, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, Photo by K

気がついたらZマウントのレンズラインアップも充実してきました。もう少し小さな単焦点レンズが揃ってくれると嬉しいのですが。

Nikon Z 8, NIKKOR Z 14-24mm f/2.8S, Photo by K

しかし毎度思わされますが、NIKKOR Zシリーズのレンズは本当に優秀です。超広角ズームですが、歪曲補正をOFFにしても、そもそもの構成でレベルが高いのです。

Nikon Z 8, NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S, Photo by K

4500万画素を超えてくれば、風景撮影でも解像力に不満はないでしょう。

Nikon Z 8, NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S, Photo by K


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4軸のチルト液晶、給電と通信用のUSB-Cポート、シンクロ接点が備わり、CF Express & SDカードのダブルスロット。業務で使うにも、映像で使うにも万全な構成になっています。

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まさにオールラウンドに活躍が期待できる1台

ニコンらしい堅牢な作りのボディに、まさに全方位に対する機能が詰め込まれた1台。日常のスナップ撮影から、業務の撮影までこれ1台でこなせる「とりあえず買っときゃ間違いない」カメラに仕上がっています。趣味のフィールドでそんなセリフは「フン」と受け流したくなるものですが、ご説明していないこともあります。そう、映像方面です。8K UHD 30pに始まり、4K UHD 120pを実現しつつ、8Kからのオーバーサンプリングで4K映像が作られます。世の主流はようやく4Kに流れつつありますので、これはツボを得た作りだと思います。また、12bit N-RAW、ProRes RAW HQ、10bit ProRes 422 HQやH.265の高品質な映像をカメラ内で記録可能。これが素晴らしい。Nikon Z 9よりもコンパクトなため、映像でも重宝するボディでしょう。映像についてはまたの機会にお伝えしたいと思います。しかし、てんこ盛りなボディで、お伝えするのも安直に「オールラウンドな」といった表現になるのですが、まさに、まさに、そんな1台なのです。最初の1台がコレでもいい。特定のターゲットに1台手に入れるにもいい。間違いのない1台だと思います。

( 2023.05.29 )

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Z 9のスペックをより小型軽量に。様々なシーンで活躍できる1台に仕上がりました。多くの方にとって最良の選択となる1台です。

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必須の縦位置グリップ。長時間安定した電力供給が期待できます。

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ニコンユーザーにお馴染みのバッテリー。少し多めに持っておくと安心です。

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背面ディスプレイを保護してくれるガラスです。樹脂タイプのシートよりクリアな視界を確保しながら、高い強度が得られます。

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まずはこの1本。標準ズームとしてこれ以上ない性能です。

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超望遠域を幅広くカバーする1本。

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安定した読み出し/書き込み速度に加え、高い信頼性を持ったストレージメディアです。

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超高速SDXCカード。動画撮影にも対応し、他のカメラと共有したい方にもおすすめです。

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