PHOTO YODOBASHI

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Nikon COOLPIX P1000, 1/500, F8, ISO 160, Photo by TAK

Nikon COOLPIX P1000 / SHOOTING REPORT

Nikon COOLPIX P1000は、望遠端3000mm相当(35mm判換算)の超高倍率ズームレンズを搭載したレンズ一体式カメラです。ラインアップ上「コンパクトデジタルカメラ」に属しますが、重量は1415g。とはいえ途方もない望遠域を考えると、奇跡的な軽さです。実際持ってみるともう少し軽いのかなと感じたのですが、重量バランスが良いのかもしれません。少なくとも現行機におけるライバルと呼べるカメラは、同社同カテゴリーのCOOLPIX P950あたりでしょう(望遠端2000mm相当)。既にレポートした通り2000mm相当でも圧倒的で、未体験でも何となく想像がつきますよね。それが3000mm相当となるとどうなるのか。こちらのカットの被写体は「コガモ」で、全長は38cm。その名の通り小型の水鳥です。例えば27インチのディスプレイですと、等倍はもちろん33%表示でも実物大以上のサイズで表示され、もはや別の鳥のようにも見えます。色や毛並みなど細かな情報は肉眼で見るよりもド迫力で写し出され、被写体の生命力さえ感じられる。この説得力、、、ちょっと他では得難いかもしれません。

( Photography & Text : TAK )

Nikon COOLPIX P1000, 1/2500, F8, ISO 100, Photo by TAK

3000mmで太陽はどう写るかなと構えてみたのですが、予想通りと言いますか、まったくフレームに入り切りませんでした。太陽系ナンバーワンのバックライトを浴びても、輪郭は想像以上にクッキリと描かれています。EDレンズが効いている証拠です。これが無いとフリンジなどでターゲットをシャープに捉えることが難しくなります。気軽に使える3000mmでこの写り。比較対象すらないのですが、肉眼では到底見えない世界がちゃんと見えているというだけで感動ものです。

Nikon COOLPIX P1000, 1/500, F8, ISO 180, Photo by TAK

この様子だと満月だったら3000mmでは入り切らないでしょう。普通は月を撮っても小さすぎると嘆くところを、このカメラではズームアウトして収めていく余裕があります。なおこちらは「月モード」で撮影してみました。ピント位置が自動で「遠景AF」に切り替わり、レリーズモードもセルフタイマーになります。ちなみにこちらはタイマーを解除して手持ちで撮影したものですが、何とかなってしまいました。手ぶれ補正、頼もしい限りです。ただ何せこの焦点距離なので、少しの手ぶれや風でもお月様は一瞬でフレームアウトします。また、この焦点距離で眺める月はものすごい速さで動いています。動体撮影と考え、腹式呼吸で息を整え心を無にすれば、事は成就するでしょう。

Nikon COOLPIX P1000, 1/640, F8, ISO 100, Photo by TAK

2800mm相当です。圧倒的な圧縮効果、空気の揺らぎという天然のエフェクトで、もはや異国情緒が漂っています。機材が写真を変える例として、これほど分かりやすいカメラも珍しいかもしれません。


Nikon COOLPIX P1000, 1/2000, F5.6, ISO 160, Photo by TAK

東本願寺とその10km前方の山を、京都駅ビルから同軸上に捉えました。これでも750mmです。そう聞くと随分と短い焦点距離に思えてしまうのが、このカメラの恐ろしいところです。ガラス越しでもスッキリと解像できています。

Nikon COOLPIX P1000, 1/2500, F5.6, ISO 100, Photo by TAK

345mmでのスナップ。望遠側ばかり使ってしまいそうですが、中間域、しかも短い方(これでも)も積極的に使っていきたいですね。

Nikon COOLPIX P1000, 1/2000, F3.5, ISO 100, Photo by TAK

35mmくらいかなあと思ってシャッターを切りましたが、60mm相当でした。3000mmが起点だと感覚が、、、。それにしてもシャープですね。レンズ性能は、ズーム域を考えると極めて優秀ですよ。でなければこのようなプロダクトは成立しないでしょう。

Nikon COOLPIX P1000, 1/50, F5.6, ISO 100, Photo by TAK

広角端(24mm相当)でマクロ撮影を。何とも器用なカメラです。


Nikon COOLPIX P1000, 1/640, F8, ISO 100, Photo by TAK

率直に申し上げれば3000mm端は多少の甘さが残ります。しかしながら、ガスの影響も受けやすくなる宿命を背負った中でのこのがんばりです。そしてなにより、ここまで写せるという事実。やはり、いかにレンズが高性能であるかを物語っています。全焦点域、どんどん使っていきましょう。

Nikon COOLPIX P1000, 1/2500, F8, ISO 100, Photo by TAK

京都市内から愛宕山上空あたりを通過している(ように見える)旅客機が、この大きさで写ります。もはやミリタリースペックとさえ評したくなるような破壊力です。

Nikon COOLPIX P1000, 1/60, F8, ISO 100, Photo by TAK


3000mmの威力、AFの動き、手ぶれ補正などを動画(4K/30p)でも確認してみました。寄りの「おかわり」が何杯もいただける。こんなビデオカメラ、まずありませんからね。AFの追従性にも中々のものがありますし、逆光下でもよく捉えてくれると感じます。近距離で飛行する鳥など素早い動きを追い続けるにはさすがに限界を感じることもありますが、そこはレンズ交換式を選ぶところでしょう。手持ちではブレの影響もそれなりに認められるものの、それでも酔わない程度にまではしっかりと効いてくれます。三脚なしで機動性を重視したい場合でも、撮影を力強くサポートしてくれますよ。


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大きく捉えてナンボです。

「画質」って何でしょうか。それは、フレームを占める被写体の大きさがもたらす説得力です、とCOOLPIX P1000が教えてくれた気がします。言葉を変えれば、左脳で解像力がどうのと言う前に、右脳で「すごい!」と反射的に叫んでしまうような力です。そういった点において、P1000には突出した能力があります。近づけば逃げるような被写体にプレッシャーを与えず、大きく捉える。水場など近づきにくい場所でも、安全な場所から迫力あるサイズで撮影できる。動物撮影の現場で、これを歓迎しない方はいないでしょう。一般的な意味での画質においては、レンズ交換式カメラに大型の超望遠レンズといった組み合わせにはかないません。1/2.3型センサーで超高倍率、当然のことです。しかしながら、「補足率」に関してはどうでしょうか。見つけたその場からズームインして大きく撮れてしまうので、見たり声を聞いただけで撮れなかったというケースが激減します。「あの鳥見たよ」だけではなく「あの鳥見たよ、ほら」と涼しい顔で証拠を見せられるのです。画質自体も鑑賞に堪えるレベルを維持していますし、光さえ味方につければ十分と言えるレベルですからね。要は棲み分けでしょう。待って撮るならレンズ交換式を。歩いて探し回るならP1000をおすすめします。

絶大な圧縮効果も説得力に貢献しています。例えばスナップなどで使う焦点距離は長くても200mmあるいは300mmあたりになるかと思いますが、500mmあたりから異次元の領域に入ります。前後関係をひとまとめに串刺しにする撮影は理屈抜きに楽しく、むしろスナップでこそ超望遠をどんどん使っていただきたいですね。あらゆる機材を使い込み、「50mmで撮れるものを撮る」と悟ったような方でも案外ハマると思います。とにかく、こんなカメラ他にありません。これ即ち、他では撮れない写真が撮れるカメラ。これ以上の説明は不要ですね。

( 2023.01.18 )

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画角や圧縮効果など自分なりの感覚を、キレイサッパリ上書きされてしまいました。まさに太平の眠りを覚ます蒸気船のようなカメラ。かなりの希少種です。直ちに保護しましょう。

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フィルター枠は77mmとなっております。

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ズーミングは電力を消費します。電池は予備があると安心です。

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探鳥会の終わりに「鳥合わせ」(どんな鳥を見たか)をやるのですが、その時「ルリビタキ出た」などと言います。この「出た」という表現が面白くて。余談でした。

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