PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon Z 9, NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S, Photo by K

Nikon NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

Zレンズシリーズにも、超々望遠域である800mmが登場。注目すべきはPFレンズ(Phase Fresnel:位相フレネル)を採用し、大幅にサイズと重量を軽減してきたことです。男性であればおおよそ手持ちが撮影可能なサイズと重量です。一昔前なら本当に考えられないことなのですが、テスト撮影ではそのほとんどを手持ちで撮影してみました。手持ち撮影を実現するのに大きく貢献しているのが強力な手ブレ補正で、レンズそのものにも防振のVR機構が搭載されていますが、NIKON Z 9と組み合わせると、ボディ側の補正機構との協調制御で、なんと約5.5段分を稼いでくれます。用途としては主にスポーツや野鳥などの撮影が想像されますが、早速その実力の程を探ってみましょう。

( Photography & Text : K )

Nikon Z 9, NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S, Photo by K

Nikon Z 9, NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S, Photo by K

Nikon Z 9, NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S, Photo by K

Nikon Z 9, NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S, Photo by K


Nikon Z 9, NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S, Photo by K

S Lineの名に相応しい写り

サーファーを撮影に、千葉県の九十九里へ。日頃使うレンズで望遠域といっても、スナップ撮影が大半の私にとってはせいぜい300mmぐらいまで。800mmなんてほとんど未知の領域です。もちろんフォトヨドバシで覗くことはありますが、それでも500mm程度までです。いざファインダーを覗いたらサーファーが見当たらない。。レンズをぶんぶん振ってみるとようやく現れました、足元が。全身を写すことはあっても、なかなかボードを操作する足元を鮮明に見ることはありません。これはなかなか新鮮です。レンズのテストは、基本的に開放で撮影することがほとんどです。その理由は開放の描写にレンズの力が一番見て取れるところからなのですが、まあ、とにかくよく写るレンズです。

Nikon Z 9, NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S, Photo by K

日焼けした肌、ボードの質感と、開放から存分にシャープで文句のつけようがない写り。従来の800mmあたりに比べれば随分コンパクトで軽いのですが、それでも手持ちで撮ってると傍から見れば見慣れない姿なのでしょう、撮影しているとよく話しかけられました。「それ、幾らぐらいするんですか?」と皆さん口を揃えて(笑)このダンディな方にも同じことを聞かれましたが、金額を伝えると驚かれていました。まあ、そうですよね。我々のように慣れてしまってれば「そんなものか」と思うのですが、趣味にしていなければ、一般の方にとって写真といえばスマートフォンです。手持ちではなく、三脚に据えていればおそらく話しかけられることも少なくなると思うのですが。

Nikon Z 9, NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S, Photo by K

所変わってサーキット。昔のTI英田、現在の岡山国際サーキットです。SUPER GTの開幕戦がちょうどタイミングよく開催されるので出かけてきました。三脚は車に積んでいたのですが、なんと一脚を忘れるという失態。100-400mmあたりのレンズをマウントしている人ならともかく、400mm F2.8クラスのいわゆる大砲の皆さんで一脚無しなんて人は1人も見かけません。しかたない、三脚は厳しいので手持ちでやるかとファインダーを覗くと縁石しか見えません。。800mmは長い! とりあえず撮ってみると、レーシングカーの大渋滞みたいな写真を量産してしまいました。焦点距離から必然的に少し遠目の車両を狙うことになりますが、800mmまで長くなると空気のゆらぎが仕上がりを邪魔します。それでもヌケのよい描写が印象的です。プレスラインの向こう側に行ければよいのですが、一般観戦エリアでの撮影となると金網が邪魔して、必然的に開放付近での撮影になりますが、開放の描写がここまでキレると何ら問題ない印象です。また、Nikon Z 9との組み合わせで、AFも極めて優秀。一度も置きピンでの撮影を行いませんでした。AFポイントはワイドエリア、動体の追いを少し調整して、基本的にシャッターチャンスだけに集中して撮影に専念できる印象で、カメラ任せでキチッと捉えてくれます。素晴らしいの一言です。

Nikon Z 9, NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S, Photo by K

流し撮りを手ブレ補正ONの状態で試してみましょう。F32まで絞り込んで、シャッター速度は1/15です。このあたりまでSSが落ちると、手練れの皆さんはともかく、私の中では「一点止まってればOK」という感じです。何処を止めるかを考えて撮るのですが、とりあえずルーフを止めようとしました。ちなみに箱車でなく、フォーミュラなどであればドライバーのヘルメットを止めると思います。これまで流し撮りは基本的に手ブレ補正をOFFにして撮影していました(一脚使用)。感覚的にどんな機種でもちょっと悪さをする印象があるのです。一脚を使用していなかったのが良かったのかもしれませんが、手ブレ補正機構は本当によくコントロールされている印象です。焦点距離が長いためディスタンスを稼げることもあって、流しやすいので本当に撮影が面白いです。

Nikon Z 9, NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S, Photo by K

手ブレ限界を探るのに、悪ノリ。1/4までSSを落としてみます。さすがにブレますが、それでも鑑賞サイズによっては「微ブレ?」といったあたりまで止まります。ちょっと、驚きますね。さすがに800mmでこんなスナップを撮ることは無いと思いますが、いやはや。

Nikon Z 9, NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S, Photo by K

PFレンズ採用の影響がどの程度あるのだろうかと、強烈な点光源を入れて撮影してみました。確かに独特なフレアが出ます。少し映像の世界のアナモルフィックレンズを連想するような、ちょっと面白い効果です。原理上少しコントラストが浅くなりそうな気がしますが、実際の撮影で気になることはありませんでした。

Nikon Z 9, NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S, Photo by K

焦点距離からボケはさすがにかなり大きなものです。ボケ味自体も変な癖は感じられず、滑らかな印象です。


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大幅なサイズダウンが引き込んでくれる「新しい世界」

レンズとボディのカットをご覧になって「大きい!」と感じられるかもしれませんが、それでも従来のこのクラスを思えば初見で驚くシェイプアップなのです。また、手で持ち上げるとかなり軽く感じます。スペック上はそれなりの重量ではあるのですが、レンズ鏡胴の形状も考え抜かれていて、ハンドリングの良さもあるのだろうと思います。個人的な撮影において日頃は万事手持ち派なのですが、さすがに作例撮影において800mmを手持ちで・・とは考えません。ただ、編集部で最初に持ち上げた際に「手持ちで行ける」と感じたのです。まず、このことを皆さんに強調してお伝えしておきます。

一般的に800mmは、特定の目的がなければ手にすることがない焦点距離のレンズだと思います。作例解説におけるサーファーのくだりに書いたとおり、ファインダーを覗いて見えると思っていなかったものを見せられました。これは面白いなと。写りも素晴らしいの一言で、肉眼では殆ど見えていないものが克明に記録されるわけですから、新しい世界を見せられた印象です。手持ちで撮れてしまうこの気軽さは、このレンズを手にすればと写欲が掻き立てられ、妄想してしまいます。もちろん、この焦点域を必要とされる皆さんには確実に戦力アップに貢献してくれることと思います。なにより一眼レフの時代より格段に手ブレ補正の段数を稼いでくれるため、三脚から切り離し、そこから先はそっくり広がった撮影領域。これからこのクラスの超望遠レンズを手にする皆さんにも、Zマウントで待ち望んでいた皆さん、FマウントからZマウント導入をお考えの皆さんにも、ぜひともおすすめしたい超望遠の世界をアップデートした1本に仕上がっています。

( 2022.05.27 )

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このサイズと重量で実現させた圧巻の写り。高い期待を持たれていた方にもご納得いただける性能に仕上がりました。

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ニコンZシステムのフラッグシップボディ。レンズの性能を最大限引き出してくれる1台です。

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