PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon Z 7, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, Photo by Rica

Nikon NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ニコンのフルサイズミラーレス「Nikon Z 7」と同時に発売され、キットレンズとして事実上Zマウントの標準レンズとなっている「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」のレビューをお届けします。本レンズは「S-Line」に属する交換レンズ。S-Lineの「S」はNIKKORレンズにおいて新設計されたグレードのレンズラインナップを示し、ニコン独自の設計指針、および品質管理を高基準でクリア。高い光学性能を発揮するレンズに付与されます。Z 7の発売と同時に本レンズとNIKKOR Z 35mm f/1.8 S、そしてNIKKOR Z 50mm f/1.8 S(2018年12月発売予定)が発表されましたが、いずれも、この「S-Line」のレンズとなっています。

「標準ズームレンズ」は、その名の通り標準域の焦点距離域をカバーするズームレンズです。通称「大三元」と呼ばれる開放F2.8通しが各社ズームレンズの目玉となる昨今、まずニコンが新たなZシステムのためにラインナップしたのは「F4通し」でした。それでも小三元(F4通し)の標準ズームがキットレンズとなるわけで、高感度性能にも余裕がありますから十分ではないでしょうか。広角24mmから中望遠70mmまでの画角がカバーされていれば、風景から人物撮影まで、これ一本で幅広い撮影を行うことができます。その利便性と引き換えに失うものもあるかもしれません。しかし、近年のズームレンズの性能は右肩上がり。単焦点レンズと見紛うほどの描写力を発揮するモデルもさまざまリリースされています。便利でよく写るとなれば、コスト面を考えてもズームレンズが賢い選択であることに異論を唱える必要はないでしょう。

既に購入した方、購入を検討している方は穴が開くほどスペック表をご覧になったかと思いますが、まずはざっくりと本レンズをおさらいしておきましょう。レンズ構成は11群14枚。EDレンズ1枚、ED非球面レンズ1枚、非球面レンズを3枚採用。ナノクリスタルコートを施し、ゴースト、フレアを抑制。さらに最前面のレンズにはフッ素コートを施しています。ロックボタンのない沈胴式の鏡胴を採用し、重量も500gとコンパクトで携行性も高い一本です。鏡胴の可動部分にはシーリングが施され、Z 7ボディ同様に防塵防滴に配慮した構造となっていますから、多少の雨であれば問題なく使用できるでしょう。

今回は、マレーシアの首都クアラルンプール(KL)と、セパン・インターナショナル・サーキット(S.I.C.)にて撮影をしてきました。暑いだけでなく、変わりやすい天候、容赦なく降る雨のなか、本レンズがどんな画を見せてくれたのか、じっくりとご覧ください。

( Photography & Text : Rica )


Nikon Z 7, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, Photo by Rica

KL / S.I.C.

Nikon Z 7, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, Photo by Rica

クアラルンプールで食べる屋台ご飯は安価でボリュームがあって、とても美味しいです。鴨のローストはスイートチリソースがよく合います。何気なく撮った1枚でしたが鴨のツヤツヤの皮とキュウリのみずみずしさにただただ驚きました。しかも、夜の10時過ぎであたりは真っ暗。屋台の灯りだけで撮っています。ISO 6400とかなり高感度ですが、暗所でもレンズがしっかりとそこにある光の情報を伝えています。

Nikon Z 7, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, Photo by Rica

マレーシアはとても暑い国ですが、木陰に入ると風がある日はとても心地よいです。国家記念碑のそばにある公園で、細い木々がひとつになったような不思議な木を見つけました。根のはり方も複雑です。ワイド端24mmで不思議な木の目の前に立ち、撮影しました。ズームレンズですから目の前にある被写体でもこんな風に少し引いた画を撮ることもできますし、もちろんズームリングを回せばグっと寄って幹そのものを写すことも可能です。


Nikon Z 7, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, Photo by Rica

たくさんの人たちが記念撮影をするセパン・インターナショナル・サーキットのメインエントランス。フルボリュームの音楽と人々の喧騒が聞こえてきそうです。

Nikon Z 7, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, Photo by Rica

Moto3のライダーたちがグリッドに向かっていきました。カメラを構えれば音もなくスっと合焦し、そのAFスピードとピント精度の高さはカメラとの連携の次元が高いからこそ。

Nikon Z 7, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, Photo by Rica

セパン・インターナショナル・サーキットは非常にテクニカルなサーキットのひとつと言われています。コーナーにさしかかる手前で一気に減速していくライダーにフォーカス。テレ端70mmですから走行写真を撮るには距離がありますが、旅の一部を記録するには十分。いまにもスコールが来そうな空模様のなか、わずかに浮いたリヤタイヤもうまく捉えることができました。

Nikon Z 7, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, Photo by Rica

メインのエントランスを入ると、ウェルカムエリアにはたくさんのメーカーのブースが並んでいます。晴れているとかなり強い日差し。空を入れて撮影しようとすると輝度差の気になるシーンですが、そこは最新レンズと最新ボディ。色とりどりの風景を臨場感を伴って捉えてくれました。

Nikon Z 7, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, Photo by Rica

MotoGPクラスの予選が始まると、雨が落ちてきました。その雨は数分で大雨に……。視界も不良になるほどのまさにバケツをひっくり返したような雨の前では屋根があっても激しい水しぶき。でも防塵防滴に配慮した本レンズですから、スコールによる1時間の走行中断の間も躊躇せず撮影できました。落ちてくる雨粒ひとつひとつまで描ききっています。


Nikon Z 7, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, Photo by Rica

マレーシア随一と言われるヒンドゥ教の聖地「バトゥ洞窟」では、中央にある272段の階段を昇り洞窟内の寺院へ入ります。まず日本ではありえない色彩が新鮮でした。スカンジ像の腰あたりにピントを置き、撮影しています。この像はかなり大きく奥の階段とも少し距離があり、開放F4での撮影では被写界深度の深さも感じられます(※クリックで原寸画像をご覧いただけます)。

Nikon Z 7, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, Photo by Rica

マレーシアの伝統工芸であるバティック。アトリエに立ち寄ると、職人さんというには憚られるような素敵な女性が色付けをしていました。AFもとても静かですし、ファインダーを覗いたまま電子シャッターが使えるので、シャッター音が気になるこんなシーンでも撮影できます。

Nikon Z 7, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, Photo by Rica

マレーシアのナショナルフラワーであるハイビスカス。赤は勇気の象徴ということで、マレーシアがこの赤を国花に選んだことにはきっと意味があるのだと思います。黄色い雄しべにピントを合わせて撮影しました。いかがでしょう、この立体感! テレ端70mmでの撮影ですが、背景の玉ボケもこの花に彩りを添えています。


PHOTO YODOBASHI

想像を超える描写性能に魅了される。

正直言って「よく写る」。このひと言に尽きます。ここまで写る標準ズームレンズはこれまでなかったのではないでしょうか。明るい開放値を使用したいという理由以外に、単焦点レンズを揃える必要性を感じないほどでした。ほとんどのカットを開放で撮影していますが、非常にシャープで繊細な描写。淀みなくクリアな写りには何気なく撮った写真を見返して何度も驚かされました。当然のことながら、Z 7との相性が抜群。一眼レフシステムと比べればコンパクトで軽量。ずっと携行して歩いていても体が痛くなるようなこともありません。旅には最適な組み合わせでした。

開放値は通しでF4。当初はちょっと控え目なスペックだな……と思っていましたが、ボケはナチュラルでボリューム感があり、十分だと感じました。予想以上の写りであったことは間違いありません。また、AFの速さ、正確性も頼れるものでした。シャッターボタンを半押しすると音もなくスっと合わせたいところに合焦してくれます。最短撮影距離はズーム全域で0.3m。食事やその場所ならではの小物や商品を撮りたいとき、植物にグっと迫りたいとき、寄れるというのはとても重宝しますね。ズームリングのトルク感も心地よく、被写体を見ながら自身が動くことなく構図を整理できる。ズームレンズの醍醐味ってこういうことなんだな……とそのありがたみを実感しました。コントロールリングは樹脂製でズームリングと素材が違っています。このコントロールリングにはカメラから、AF時にコントロールリングの操作でMFに切り替えられるM/A、絞り値、露出補正のいずれかを割り当てることができます。今回は「露出補正」を割り当てましたが、ファインダーを覗いたままEVF内で露出補正の確認ができるため、とても便利でした。沈胴式の鏡胴は撮影しないときには短くコンパクトになり、カバンの中に入れる際にはフードも逆付けすれば、一眼レフシステムに比べてとてもコンパクトな状態でしまうことが可能なのも嬉しいところです。

写真を撮るとき、光の向きや高さ、そしてその色など、さまざまなことを気にかけるものですが、本レンズを装着したZ 7で撮影していると、どんな悪条件でも撮れそうな気がします。目の前に光があろうがなかろうが、そんなことはおかまいなしにシャッターを切ることができる。とても頼り甲斐のあるレンズです。高い描写性能を持つ単焦点レンズの画と並べても引けを取らない写り。撮り手それぞれが、いわゆる標準ズームレンズの写りに対して基準というものを持っているとすれば、そのはるか上を行く性能を持つ、確かな一本だと思います。


  • PHOTO YODOBASHI夕暮れどきのサーキット。ルーフの周辺に、鳥が飛んでいます。雨が降ったり晴れたり、天気がコロコロと変わるので、空の雲の様子はいつも動きがあって面白く、広角端24mmの出番はとても多かったです。
  • PHOTO YODOBASHIナショナルモスクの礼拝堂。非イスラム教徒は中には入れません。ここに入りきらないほどの人たちが集まり、祈りを捧げるのだそうです。ステンドグラスから優しい光が差し込み、ブルーのバティックが映えます。
  • PHOTO YODOBASHI逆光でもナノクリスタルコートですから画に破綻なく、シャドー部も黒つぶれせずたっぷりと画像に情報が残っています。歪曲は24mmでやや樽型に出ますが、ほとんど気にならないレベルです。
  • PHOTO YODOBASHI夕食を摂るために屋台に出かけると恒例のスコール。猛烈な雨で屋根の下にいても飛び散る水しぶき。でも、防塵防滴に配慮した設計とあって、スコールの記憶もしっかり写真に残すことができました。

(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)

( 2018.11.19 )

Loading..
Loading..

24-70mmという使い勝手のよい標準域をカバーする標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」です。標準ズームレンズの基準をひとつ、いや、それ以上に高めた猛烈な描写力を持って、カートに入るその日を待っています。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

超低反射ARコート「ゼロワンARコート」を採用。NIKKORレンズにも採用されている高品質ガラスを高精度な研磨技術で極めて高い平面精度で仕上げた保護フィルター。撥水・撥油コートも施されています。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sをぜひ使いたいと心が決まったあなたには、Z 7と本レンズがセットになった「ニコン Z7 24-70 レンズキット」をご用意しております。お手元に届いたその日から、すぐに撮影が可能です。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

こちらは、ニコンのフルサイズミラーレス機のスタンダードモデル、Z 6とNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sがセットになった「ニコン Z6 24-70 レンズキット」。キットでの購入はとってもお得となっていますよ。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VRのフードですが、本レンズにも装着可能です。フードロック解除ボタンあり。角形でよりスタイリッシュな印象になりますよ。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..