PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon COOLPIX P950, 1/400, F8, ISO 100, Photo by TAK

Nikon COOLPIX P950 / SHOOTING REPORT

COOLPIX P950は光学83倍ズームを搭載したレンズ一体型カメラです。1679万画素の1/2.3型センサー(アスペクト比 4:3)を搭載したいわゆる「ネオ一眼」で、同じ焦点距離のズームレンズを装備したCOOLPIX P900の後継機となります。ニコンの同カテゴリーに属するカメラとしてはCOOLPIX P1000の125倍もラインアップされていますが、P950の83倍でもかなりのモンスター級です。撮影画角は35mm判換算で24-2000mm相当と、望遠端が2000mm相当(以下、「2000mm」等と記します)もあります。月がこれほどのサイズで写せてしまうのです。一眼レフ+標準ズームほどのサイズに2000mmが収まっているというだけで、奇跡のような存在ですよね。もちろん、収まっているだけでは足りません。そんな超望遠でちゃんと撮れるのか。実はP900の時点で素晴らしい結果を叩き出していたのですが、今回ご紹介するP950はAF速度の向上、手ブレ補正機能の強化、ファインダーの高解像化など更なる進化を遂げています。どうぞご覧ください。

( Photography & Text : TAK )

Nikon COOLPIX P950, 1/250, F8, ISO 100, Photo by TAK

このクラスの焦点距離となると、当然野鳥もターゲットになります。「鳥に2000mmも要らんでしょ」と思うかもしれませんね。確かに500mmから600mmあたりが野鳥撮影における「標準レンズ」と言われます。こちら、ヒレンジャクという全長20cmほどの鳥を650mmで捉えたものです。群れの記録に加えてもっと大きくも撮りたいのですが、ターゲットは樹上の高い所からなかなか降りてきません。つまり野鳥撮影における「望遠」が必要になる場面で、さらに言えば800mmでも短いケースです。早速、P950の出番がやってきました。

Nikon COOLPIX P950, 1/320, F8, ISO 100, Photo by TAK

試しに望遠端まで一気にズームインしてみました。さすがは2000mm。説得力のあるサイズで写し取ることができました。この手の図鑑的写真ではフレーム内における被写体の占有率の高さが正義です。毛並み、色合い、形状など、その種の特徴を記録するには寄れてナンボ、であります。撮影者は前後左右には動けても、上下の移動は梯子や階段でも使わない限り不可能です。ポジションを変えることなくここまで大きく写せる能力に無類の価値を感じます。画質もセンサーサイズを考えると望外の出来ではないでしょうか。スーパーEDレンズが効いているのか、フリンジも見受けられません。

Nikon COOLPIX P950, 1/640, F6.5, ISO 100, Photo by TAK

こちらも2000mmです。大きなアオサギなら、さほど寄らなくてもこの迫力あるサイズで撮影できます。意外に硬そうな毛並みの様子、カリカリした嘴の質感、大きく飛び出た眼球など、いずれも通常の画角では伝えきれない情報です。ボケについて特にあれこれ申し上げることはございません。そもそも比較の対象が存在しませんし、悪いとは全く思えないのですよね。もうひとつ。このズームレンズ、望遠端でも開放F6.5を維持しています。2000mmで、ですよ。おかげで最低感度でも被写体ブレを防げるシャッター速度を選ぶことができました。じっとしていることの多い鳥とはいえいざ動く時は素早いですから、少しでも高速のシャッターが切れることは重要な性能です。

Nikon COOLPIX P950, 1/160, F6.5, ISO 100, Photo by TAK

2000mmのまま最短付近まで近づいてみました。ピントもシャープですし、このくらいの距離だとボケもかなり大きくなります。やはりレンズの基本性能が高いのだと思います。


Nikon COOLPIX P950, 1/800, F5, ISO 100, Photo by TAK

ズームレンジの幅はスナップにも大きな武器となります。といってもこちらは「まだ」320mmですが、一般的な望遠ズームレンズの望遠端付近で最も多用する焦点域です。この時のF値はF5を示していますが、300mm F4の望遠単焦点が存在することを考えると決して暗いとは感じません。ご覧の通り最低感度でも高速シャッターが切れるので、動き物にも対応できます。光線状態や被写体の位置など様々な条件を満たそうとするほど、シャッターチャンスはほんの一瞬になります。素早くズーミングして一発で構図が整理できるのは心強い限りです。

Nikon COOLPIX P950, 1/400, F8, ISO 100, Photo by TAK

こちらも構図を追い込んだ結果、185mmとなりました。遠景まで十分にシャープで、センサーサイズを考えるとかなりのものです。画素数も約1600万画素と無理をしていないこと、そして画処理の良さも功を奏しているのでしょう。

Nikon COOLPIX P950, 1/1600, F5.6, ISO 100, Photo by TAK

こちらは850mm。レンズ交換式では持ち歩かないレベルで、画角も一層狭まり抽出力が目に見えて増してきます。浮世絵のような大胆な切り取り方も可能で、桜ってこうだったっけ?と一瞬思ってしまいました。見慣れた被写体もいつもと違って見えて面白いですね。ちなみにカメラの重量は電池、メモリーカード込みで1005g。いざ持ってみると数字よりも軽く感じられ、グリップや重量バランスが良いのでしょうか。一日中持ち歩いても全く苦になりません。

Nikon COOLPIX P950, 1/500, F8, ISO 100, Photo by TAK

再び2000mm。京都タワーまで7km、伏見桃山城まで14kmほどの距離です。超望遠で遠方を撮影すると大気や浮遊物の影響も受けやすくなります。もちろんカメラのせいではありません。揺らごうが霞もうが、ただただありのままを写し取ってくれます。


P950は、2000mmで撮れる貴重な「ムービーカメラ」でもあります。せっかくの超望遠もピントが合わなくては意味をなしませんが、AF追従性もP900あたりからするとかなり向上していると感じます。そもそもこの倍率で動き物を追えてしまうこと自体、ブレイクスルーです。被写体によって三脚を使ったり手持ちで撮ったりしていますが、手ブレ補正も強力で最大望遠でもちゃんとブレを抑えてくれます。動きの激しい被写体を極狭の画角に収めるには手持ちでしか追えないケースも多々ありますから、助かりますね。まあ三脚に載せていてもこの倍率ですからズーミング操作時などでブレはするのですが、その抑制にも貢献していると感じます。また、ズーミングの速度も高倍率にしては相当速いのではないでしょうか。

Nikon COOLPIX P950, 1/400, F6.5, ISO 100, Photo by TAK

2000mmです。

Nikon COOLPIX P950, 1/500, F4.5, ISO 100, Photo by TAK

260mmです。

Nikon COOLPIX P950, 1/100, F8, ISO 100, Photo by TAK

550mmです。


PHOTO YODOBASHI

自由自在。距離を問題としない望遠鏡カメラ。

このカメラを手に入れる理由は言うまでもなく「超望遠」ですが、遠くのものを見たいという気持ちは人類の根源的欲求のひとつであるような気がします。ただ、その欲求は極めてハイレベルです。「2000mmで手持ちでサラリと撮影なんて通常はあり得ない」と思ってしまうところですが、COOLPIX P950なら拍子抜けするほどあっけなくできてしまいます。レンズ自体の性能はもちろんのこと、撮影をサポートしてくれる強力なAF、手ブレ補正、高い操作性などを実現した総合的なパッケージングがあってこそ、確実に写せるのだなと感じた次第です。使い始めた当初は枠内に収めることすら苦労していましたが、人間とは慣れる動物でしばらく撮り込んでいくうちに要領が分かってきました。また、レンズ部側面の「クイックバックズームボタン」を押している間はズームアウトして視野を広げてくれますから、そこで一旦被写体に狙いをつけた後でボタンを離せば、再び元の画角までズームインすることができます。撮影を終えて、見ていたつもりでもちゃんと見れていなかったものがたくさんあることを思い知りました。類い稀な「引力」を持ったこのカメラは、新たな発見を確実に増やしてくれるでしょう。未だ見ぬ素晴らしい景色を、どうぞ存分にお望みください。

( 2022.07.15 )

Loading..
Loading..

自転車を電動アシストに変えた時、坂が理由でルートを変えるケース無くなったことを思い出しました。COOLPIX P950があれば、距離が理由で撮れないケースが激減します。この芸は、お持ちのどのシステムとも被らないでしょう。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

67mmフィルターが装着可能です。色んな現場で使いたくなるカメラなので、レンズの保護は大切です。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

ホットシューに装着して使用する光学式の照準器です。野鳥撮影がさらに捗りますし、ホットシューを搭載した他のカメラでも使えます。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..
Loading..
Loading..

泣く子も黙る超望遠3000mm相当。更なる望遠をご所望の方へ。

価格:Loading..(税込) Loading..Loading..)
定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..
Loading..