PHOTO YODOBASHI

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Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

Nikon AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

2018年9月の発売以来大好評の、「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR」をご紹介します。PF(位相フレネル)レンズの採用により、500mmの単焦点でありながら全長約237mm、質量1460gという大幅な小型軽量化を実現。PFレンズとはPF素子と通常の屈折ガラスを組み合わせたレンズ。通常の望遠レンズでは複数のガラスで色収差を補正するためにある程度の長さが必要でしたが、PFレンズは単体で色収差の補正をやってくれますから、大幅な短縮化と軽量化が可能になったのです。これを初めて採用したのが、動体撮影に無類の強さを発揮する「AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR」でした。その高い機動性を活かした超望遠撮影をする場合、D500あたりのAPS-Cフォーマット機で450mm相当、もしくは1.4のテレコンを併用して630mm相当の画角で望むのが一つの道でした。しかし更に大きく捉えるのには、もう少しリーチが欲しくなることも。それが本レンズが登場したことにより、フルサイズ機でも500mm、APS-C機では750mm相当の撮影が、テレコン無しで文字通り軽々と出来るようになったのです。

500mm単焦点といえば「ゴーヨン」こと、「AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR」の実力に異を挟む余地は寸分もありません。しかし、「それより150mmも短くて1630gも軽いやつもあるよ」、「70-200mm F2.8クラスと同じ感覚で使えちゃうよ」なんて囁かれたらどうでしょうか。「専用のバッグやケースも要らないし、普通のバッグに入っちゃうから」「手持ちも余裕だよ」、、、もはや誘惑に勝てる自信はありません。今回は旅客機、野鳥、そして街の風景を撮影してまいりました。ボディはZ 6(「マウントアダプターFTZ」併用)とD500。ご覧ください。

( Photography & Text : TAK )

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

フルサイズセンサー搭載のZ 6で京都市東部の山上から西部方面を狙いましたが、圧縮効果により商業地帯からベッドタウンまで全てが縦に並んでいるようにも見え、中々興味深い眺めとなりました。これぞ超望遠撮影の醍醐味ですね。

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

京都御苑の門の内側150mあたりから奥に見える通りを望むと、こんな感じに見えます。半歩単位でポジョションチェンジしてこの構図になりましたが、レンズが軽いので楽ちんでした。もちろん手持ちです。それにしても、日本は電線が多いですね。

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

開放です。このキレ、ヌケはちょっとズームでは得難いでしょう。ボケ味も良好です。被写体まで約50m、背景まで更に50mの距離ですが、背景のボケの量はF4に比べると当然少なくなります。とはいえ背景込みで伝えたい場合は逆にこれくらいが必要。その意味では街頭スナップも案外ハマるのです。シャッター速度は1/30秒ですが、ブレは認められません。Zのボディでも手ブレ補正がしっかり効いてくれますよ。


Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

そろそろ本番です。まずは野鳥。ボディをAPS-CフォーマットのD500に変え750mm相当で狙ってみましたが、小鳥でも十分の大きさで捉えることが出来ました。このメジロも含め小鳥という生き物は一時もじっとしていませんが、D500のAFとのコンビネーションを信じて撮影。結果はご覧のとおりです。

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

シロハラの食事シーンです。この瞬間を本レンズで収めるまで、こんなに美しい実のなる植物(ジャノヒゲ)が地面にあるなんて知りませんでした。

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

見た目に反して、「アオジ」。割と人を怖がらない全長16cmの小鳥です。とはいえ、このレンズでなければこのサイズでは中々撮れないでしょう。

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

普段は子どもたちがサッカーをしている現場ですが、誰もいない休日に一羽のカラスがボール遊びをしているではありませんか。人間の真似?飛行中にわざとボールを口から離し、そのまま再キャッチする練習もしていました。まだ成功した所は見ていませんが、カラスは賢いですから出来た時は「達成感」を味わうのでしょう。

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

夕暮れの琵琶湖を背に、ねぐらへ帰還するコハクチョウの親子です。この状況でも飛んでいる鳥にスパッとピントが合ってくれるので、安心して撮影できます。F5.6とはいえこの焦点距離ですから、グレーがかった上の個体(幼鳥)と下の成鳥との間には被写界深度の差が認められます。逆光下ではコントラストが若干不足することもありますが、これはPFレンズ独特の特徴でもあります。とはいえ、ご覧の通り画としては高い水準で成立しています。


Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

お次は旅客機。ボディは再びZ 6です。「聖地」のひとつである、伊丹空港千里川土手。滑走路と並行するスカイパークは500mmでは近すぎるので、南側の千里川土手で「頭」と「お尻」を狙う作戦です。でも一番の理由は、頭上を通過する機体の轟音と風圧。ダイレクトに感情と共鳴し、自然と元気になれるパワースポットなのです。唯一の問題はトイレがないこと。先に済ませておきましょう。

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

離陸のため、B滑走路南側へと向かう767-300ER。これくらいの中型機ならかなりのサイズで収めることが出来ます。背景の山まで同じ軸上に写るのは超望遠ならでは。距離感や空気の淀みまでも、しっかりと表現しています。

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

太陽はこれくらいのサイズで写せます。超がつく望遠ではありますが、意外に画作りはしやすいですよ。

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

日も暮れ、滑走路の誘導灯が点灯されました。ここから三脚に載せます。といっても今回は「本職」の方に怒られそうな、2キロにも満たない三脚を使用。でも結果は十分でした。レンズ自体が軽くて短いのはもちろん、手振れ補正も強力な上に、カメラの高感度耐性もとびきり優秀ですからね。

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

Nikon Z 6, AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR, Mount Adapter FTZ, Photo by TAK

これだけ暗くてもしっかりピントが来ているのには、恐れ入りました。日没後のトーンの再現力にも目を見張るものがあり、現場の空気を余すことなく伝えてくれています。見てたらまた行きたくなりました(笑)。


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超望遠撮影におけるコペルニクス的転回。「ゴーゴーロク」という新たなカテゴリー。

超望遠レンズでの撮影というのは「どっこいしょ」の体力勝負、そう思うのが普通です。それを「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR」は「あらよっと」に変えてしまいました。これは極めて痛快であります。描写力もご覧のとおりで、とにかく、もんのすごく良く写ります。解像力やヌケの良さも抜群で、コントラストも高いだけでなくトーンに品格が漂います。ボケ味や逆光時の描写には多少独特なものもありますが、画作りを妨げるような要素だとは感じませんし、何せこの機動力が手に入るのですから痛くも痒くもありません。AFは高速正確で、手ブレ補正も強力。そしてなんとお値段はゴーヨンの約半分というのですから、実に悩ましい(笑)。ここで繰り返すまでもなく、ゴーヨンにはゴーヨンの良さ、「これでなきゃダメだ」という瞬間があります。しかし同時に、コンパクトでなければ成立しない撮影もあります。画質を犠牲にせず格段の携帯性を得た本レンズは、いわば「ゴーゴーロク」。超望遠レンズにおける全く新しいカテゴリーの一番手なのです。一度使ってみれば、きっと離れられなくなるでしょう。

( 2019.02.01 )

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ゴーヨンと同じリーチとキレを、半分の労力とお値段で。初めての超望遠単焦点にも、ゴーヨンユーザーには二本目の500mmとしても。

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フードを装着していても、小枝などが前玉に当たることがあります。しっかりと保護しておきましょう。

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