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株式会社シグマ・山木社長 PYスペシャルインタビュー
PYですが、社長にお尋ねします。

9月のフォトキナ2018で電撃的に発表された、まさかの「Lマウントアライアンス」。まだ記憶に新しいこのビッグニュースですが、既に多くの報道がされており、概要はみなさんもご存知でしょう。フォトヨドバシでも、この第一報を現地からレポートしました。

今回、われわれフォトヨドバシ編集部はシグマの山木社長にインタビューする機会を得ました。PYとしては2014年以来4年ぶり。続々と発表される新レンズ群のこと、会津工場に新設されたマグネシウム加工棟のこと、そしてこのアライアンスのこと。相変わらず話題には事欠かないシグマ、聞きたいことはたくさんあります。もちろん、まだお話しできないことだってきっとあるはずですが、PYとしては知りたいことを単刀直入にお聞きするのみ。では、まいりましょうか。

お話を聞いた人(敬称略):
株式会社シグマ 代表取締役社長
山木 和人

聞き手:
K(フォトヨドバシ編集部)


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K: フォトキナが終わってホッと一息・・・という感じではなさそうですね(笑)。

山木: 一息つきたいのですが、残念ながら状況が許してくれません(笑)。

K: 特に今回は重大な発表がありましたからね。それはそうと、来年からフォトキナが毎年の開催になり・・・かと思ったら早速2019年は中止の発表がありました。状況の変化がめまぐるしいので出展社としては悩みどころだと思いますが、シグマさんはどうされるのでしょうか?

山木: 出展社によって対応はいろいろだと思いますが、当面は今まで通りに出展する計画でいます。今、映像関連の大きな見本市としてはフォトキナとCP+があるわけですが、この二つは規模だけでなく性格も異なりますから、シグマにとってフォトキナに出展する意義は依然として大きいのです。

K: それを聞いて安心しました。シグマさんだったら、年に一回でもニュースには事欠きませんものね。

山木: そうなるように頑張ります(笑)。

K: では本題に移ります。例のアライアンスのことは後でお聞きするとして、まずはレンズの新製品群について。最初は60-600(60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports)から行きましょうか。これ、フォトヨドバシで私もレビューさせてもらいましたが、ほんっとに素晴らしいレンズでした。

山木: ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです。

K: 実は、かつて私は50-500(SIGMA APO 50-500mm F4-6.3 EX RF HSM)を使っていたのですが、それと比較するために昔撮った写真をひっぱり出してみたのです。

山木: ほお。で、どうでした?

K: もちろんセンサーの性能差がありますし、これだけ時間が経っているので当たり前と言ってしまえばそれまでですが、進化の度合いが半端ない。画作りに関わるすべての面で、しかも圧倒的に凌駕している。わざと意地悪な条件を探して撮ってみたりもしましたが、完全に私の負けでした。でも何より感動したのは防振がびしっと、それが600mmの手持ちでも、もう本当に笑ってしまうぐらいぴたっと止まること。でもこのレンズ、その50-500の後継という位置付けになるのでしょうが、実は価格が倍ぐらい違うのですよね。

山木: 焦点距離を見れば確かに同じ立ち位置にありますが、そこに注ぎ込まれた技術、つまりかかっているコストは比べ物にならないので、どうしてもそうなってしまいます。これでもじゅうぶんにバーゲン価格なんですよ。

K: その一方で、これは変な言い方ですが、50-500で撮った画を久しぶりに見て、改めて「いい写りだなあ」と思ったのも事実なんです。数値的な性能で見れば60-600にはまったく敵わないのですが、今見ても、それとは別のところでいい写真を撮る力を持った、素晴らしいレンズだったなあと。多少ノスタルジックな感情がそこにあることを差し引いても。

山木: 実は当時50-500を設計したのは光学、機構とも、二人の非常に若いエンジニアだったんです。若さゆえに設計が「やんちゃ」というか、もちろん会社としてもそれを期待して任せたわけですが、とにかくとんがった設計でした。期待と不安が入り混じる思いで見ていましたが、結果的にあれでシグマはレンズ設計の一つのハードルを超えたと言っていい。そういう記念碑的なレンズなんですよ。

K: なるほど。それで腑に落ちました。60-600は、みなさんどんな使い方をされているのでしょうか?やっぱり飛行機とか。

山木: そうですね。日本には飛行機を撮る人がたくさんいますから。あとは鉄道、フィールドスポーツ。海外ではこれでネイチャーを撮っているカメラマンもいます。引きの自然風景から、寄りのワイルドライフまでこれ一本で済むというので。望遠マクロとしての使い方もできますから花なんかも撮れる。とても重宝されているようです。

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K: それはマッシブな外国人ならではですね。私は体力には自信がある方ですが、それでも手持ちで構えていると腕がプルプル震えてきて。せめて一脚がないと長時間の撮影は大変だと思いました。

山木: でも、実はこれより150-600(150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Sports)の方が重いんですよ。そうそう、これは弊社にパーツを納入いただいている、あるサプライヤーさんの話ですが、自社のパーツが使われている商品を自分たちでも使ってみようということで、会社でこの150-600を購入されて、従業員のみなさんが自由に使えるようにしたらしいのです。そうしたら、まだ30代前半の若いお母さんがそれを持ってお子さんの運動会を撮ってきたという(笑)。およそ3kgですよ?レンズだけで。

K: すごい(笑)。実に頼もしいお母さんだ。でも嬉しい話ですね、そういう方たちがちゃんと使ってくれるというのは。では、次は40mmの1.4(40mm F1.4 DG HSM | Art)のことをお聞きしましょう。まず、「40mm」と聞いて多くの人が連想するのは・・・

山木: パンケーキですが、それが何か?(笑)

K: あはは。F1.4とは言え、それがどうしてこんなに(笑)。

山木: どうしてでしょうねえ(笑)。まぁ冗談はさておき、結局、Artラインのレンズは求められていることが明確なんです。「Aの紋章」をつけている限り、文字通り「最高」の性能を持っていなければならない。小型軽量化と高性能化の両立は確かに大事ですし、われわれも無視しているわけではありません。でも「一番大事なことは何か?」と問われたら答えは明快で、とにかく光学性能。逆に言うと、そこだけを目指して一直線に向かっていけるのがArtラインの特長であり、シグマというメーカーの強みでもあると思っています。

K: 実にその通りで、これも写りは素晴らしいですね。文句なしです。これもフォトヨドバシでレビューをさせてもらいましたが、スタッフ全員、これを見て驚いていました。まずボケ味が美しい。しかも前ボケも後ボケも同じようにいい。たいてい、どちらかを犠牲にしてしまうのですが。ピントピークの解像力も「カミソリ」というほどではないけれど、不満は一切ない。むしろ嫌味がなく、画全体として見た場合には好ましい。要するにトータルバランスが、しかもかなり次元の高いところでとれている。

山木: ありがとうございます。

K: ここまでにArtラインのフルサイズ用単焦点レンズは14mm、20mm、24mm、35mm、40mm、50mm、70mmマクロ、85mm、105mm、135mm、そして同じく今回のフォトキナで発表になった28mmと、細かく刻んで出されてきたわけですが・・・

山木: まだ必要だと?

K: いや、もうじゅうぶんかと・・・

山木: それを聞いて安心しました(笑)。

K: そして56mmの1.4(56mm F1.4 DC DN | Contemporary)があります。

山木: これは明るいのに小さくていいでしょう?

K: 久々に小さくて軽いシグマのレンズを見た気がします。

山木: さっき、Artラインのレンズは求められていることが明確で、ゆえにお客様の期待値を満たすことが大命題だとお話ししましたが、反対にContemporaryラインでは、シグマ発信の新しい提案がたくさんできると思っています。将来に向けた可能性はまだまだ無限にあると。レンズはボディに比べて商品としてのライフサイクルがかなり長いので、将来に向けていつまでも使えるということが重要になってきますが、それは性能面だけの話ではなく、使い方の面でも同じ、ということ。

K: まったく同感です。

( 2018.12.17 )

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