PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
FUJIFILM XF16mmF1.4 R WR
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
レンズ交換式のXシリーズがデビューしてからまだ5年ほどしか経っていませんが、Xマウントの広角単焦点ラインナップの充実ぶりがものすごいことになっています。今回ご紹介する16mmF1.4 R WR以外にも、XF14mmF2.8 R、XF18mmF2 R、XF23mmF1.4 R、XF23mmF2 R WRと5本のXFレンズを擁し、ZEISS Touit 2.8/12も合わせるとなんと6本も出ているのです。フジフイルムはきっとお見通しなのでしょう。Xオーナーは広角の面白さを知っている玄人衆であることを。とはいえ、広角レンズは写り込む要素が多い上にボケの量も少なく、散漫なショットを量産してしまいがちであるのも事実。また、つい全てをフレーム内に入れようとして退屈なショットになってしまったり、逆に寄りすぎて何を撮ったか分かりにくくなったりと…これ全て自分自身への戒めなのですが。さて、本レンズは35mm判換算で24mm相当という画角にF1.4という抜群の明るさを誇る11群13枚の贅沢な光学系を持ち、防塵・防滴・耐低温構造でしっかりとガード。つまり、程よい超広角で高画質なのにボケてくれる上に悪条件下でも気にせず使えるのが売りというわけです。確かに画角的にも28mmや21mm相当よりは取っつきやすそうですよね。しかもF1.4の明るさですから腕不足をカバーしてくれる？なんて邪念はさておき、発売から月日が経ちました分、多めの作例で参りましょう。
( Photography & Text : TAK )
防塵・防滴・耐低温構造ですから、 X-Pro2やX-T2など同等の耐候性能を持つボディと組み合わせるとご覧の通り水しぶきも平気です。広角は寄って撮ることも多いのでこの仕様は本当に助かります！自分の防滴対策は忘れていましたが。
驚いたのが最短撮影距離で、なんとセンサー面から15cm。もはやコンデジの感覚で、「距離」という言葉を使うのも憚られるほど、近いです。これは表現の幅が増えますよね。あまりにも寄れるのでフードが水面についてしまいましたが、それこそ防水コンデジで撮ったようにも見えませんか？被写体が被写体だけにMFにしてパンフォーカスで撮っています。フォーカスリングを手前にカチッと引くと瞬時にMFになるのですが、同時に鏡胴にMFレンズのような距離指標と被写界深度目盛りが現れるのです。つまりレンジファインダーレンズのように置きピンで撮りやすくもなっている訳で、特に広角撮影の心強い味方となります。
お待たせしました。開放の描写です。ピント面の解像力にはゾクッと来るものがあります。それでいて背景はこの画角のレンズとしては大きくボケていますので、手で触れられそうな立体感がありますね。ボケ味は少し二線ボケのような傾向が見受けられるでしょうか。
F2あたりまで絞るとボケも整ってくる印象です。XFレンズのF1.4シリーズ全体に言えることかもしれませんが、絞りによる描写の違いがある分、作画の自由度が高くなっています。これを「表現力」というのでしょうね。
開放、近距離です。広角なのにこの深度の浅さ。深度というより「浅度」と言いたくなります。背景のボケの大きさにも大満足。これは大きな武器になりますね。オートホワイトバランスでの撮影ですが、白の発色や階調表現も見事です。ちゃんと光を届けてくれるレンズ。色に一家言あるXカメラ。一発でこの色が出るのですから、Xオーナーは幸せですよ。
絞れば当然のごとく解像力が上がり、目が覚めるほどシャープに。 遠近感を強調して建築物などを撮る場合にもこの画角は有効です。ヌケがこれまた素晴らしいですね。「ナノGIコート」の賜物でしょう。
街角のファサードを正面から平面的に「スキャン」するもよし。24mm相当は実に納まりが良いのです。
人の営みに感じ入り、大きな舞台の中に包み込む。そんな使い方もしたくなるレンズです。
Master of XF Wide Primes
今回XF16mmF1.4 R WRを使ってみて、期待以上に使いやすく表現力も非常に高い印象を持ちました。まずは24mm相当という画角。これは潰しが利きます。何となく構えても28mm相当より画面整理がしやすく、その場から動かなくても絵作りできてしまう柔軟性があります。また21mm相当よりパースが少なめなことも使いやすさにつながっているでしょうね。 そしてそこにF1.4という広角らしからぬハイスピードと防塵・防滴・耐低温性能が加わることで、どんな現場でも何とかしてくれるという安心感が生まれ、僅か15cmの最短撮影距離も手伝って表現の幅が劇的に増えるのです。 非球面レンズやEDレンズに卓越したコーティング技術がもたらす豊かなトーンやヌケの良さ、逆光耐性の高さも特筆もの。AFも至って俊敏で開放時でもストレスを感じることはありませんでした。「パンフォーカスでもガンガン使ってください」ということだと思いますが、この辺りも「フジは分かってるね」とニンマリしてしまうのです。被写界深度目盛りの幅がもう少し広ければより使いやすかったかもしれませんが、そんなことは瑣末なことで、撮影のためのケアが随所に行き届いていることに感心しました。F2.8クラスあたりの単焦点と比べると多少大きく重たく感じますが、フルサイズ対応の同クラスに比べればはるかにコンパクト。どのXカメラにつけてもバランスが良く、マウントしていることすら忘れてしまうでしょう。広角単焦点レンズをお探しのXユーザーの方はもちろん、鮮烈にXデビューを果たしたい方も。最有力候補としてご検討ください。
( 2017.09.29 )
応用力の高い画角にF1.4。長く使えますよ。既にお持ちの方、良い買い物をされましたね。
付属フードがあるのに別バージョンを作ってしまう。しかも角型。ニクいですよね。「HAMA角」に涙腺が緩む方もどうぞ。
フィルターがあれば水滴もサッと一拭き。富士フイルムが誇る「スーパーEBCコーティング」が施されています。