FUJIFILM GF50mmF3.5 R LM WR

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

フジフイルムGFXシリーズ用の単焦点レンズが新たにリリースとなりました。「GF50mmF3.5 R LM WR」は35mm判換算で約40mm相当の画角を持ち、335gと軽量の標準レンズ。気軽に持ち歩くことのできる中判スナップシューターとして、日常的に活躍してくれそうです。非球面レンズを1枚含む6群9枚構成で、球面収差やディストーションもしっかり抑制。高画素機でもその性能をしっかり引き出す解像力、そして豊かな階調で、中判ならではの情報量たっぷりな画が期待できそうです。また、本レンズも鏡胴の10ヶ所にシーリングが施され防塵・防滴、そして-10度の耐低温構造を採用していますから、多少の天候の変化には問題なく撮影できます。「GF50mmF3.5 R LM WR」がどんな画を見せてくれるのか、さっそく作例をご覧ください。

( Photography : Z II / Text : Rica )

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窓から入る柔らかな光ですが、洋服の柔らかな素材と硬質な壁、艶やかな床面など驚くほどキレのある描写。そのシーンの中に吸い込まれそうなほどです。AFは爆速とまではいきませんが、スナップ撮影にはまったく問題ないでしょう。

コンクリート、ガラス、金属、それぞれの質感描写も素晴らしく、ハイライトからシャドウまでの色の情報量も豊富。このリアリティはこうしたところから生まれるのだなと感じました。センサーの大きさもさることながら、それに耐えうるレンズの力は偉大なのですね。

曇天の弱い光という条件で、絞りは開放。フィルムシミュレーションをベルビアに設定して撮影すると独特の発色を見せてくれました。好みはそれぞれあるでしょうが、フジにしか出せない色は確かにあり、それも魅力のひとつです。

35mm換算では約40mmの画角となり、標準レンズより少しワイドです。デフォルメをし過ぎず、見たままに近い視野を楽しめます。等倍で見ると石柱の質感が非常に緻密に再現されています。歪みを一切感じさせず、レンズの精度の高さも伺えました。

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前ボケは控えめですが自然でクセがなく扱いやすいと言えるでしょう。また逆光での撮影ですが、空のトーンもとてもうまく再現されており、レンズとセンサーの懐の深さを感じます。

中判カメラを肩からさげて、ぶらりと来てササっと撮るというスタイルは悪くないですね。高画素センサーに負けない高い解像力を持つレンズですから、風景写真ではすみずみまでクリアで細密な描写を得ることができます。こんな画を散歩がてらに捉えることができるのがGFマウントの魅力ではないでしょうか（※クリックで原寸画像をご覧いただけます）。

秋の空は刻々と表情を変えるので、見ていて飽きないですね。ナイター照明などにレンズを向けるとフレアやゴーストが画面に写り込んだりしますが、本レンズには微塵も感じません。

最短距離の55cmで少し絞っての撮影です。背景のボケは控えめですがしっかりと被写体を浮き上がらせています。また、ボケにさえも立体感が見られ、すみずみまで均一です。ピントピークの細い雄しべの先まで素晴らしい描写です。

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中判デジタルで日常的にスナップを楽しむ

中判サイズのカメラのメリットといえば、やはり圧倒的な描写性能とシャドウからハイライトへと連なる豊かな階調表現でしょう。しかし、撮影に持ち出すにはサイズや重量が少々ネックになることも事実です。中判デジタルカメラとなると、街撮りスナップに必要な軽快さは少ないため、やはり小さなカメラを持ち出してしまう人も少なくないでしょう。今回撮影した「GF50mmF3.5 R LM WR」と「GFX 50R」の組み合わせは、コンパクトカメラや一般的なミラーレスカメラより見た目は大きく、すれ違う人にもおや？ という視線を感じたことは一度ではありません。でも、それはそれで少し優越感にもなり得ましたし、サイズ感も大きいとはいえフルサイズ一眼レフカメラと大差ありません。レンズそのものはコンパクトですから、スナップ向け「中判セット」としては十分アリだなと感じました。シャッターを押さざるを得ないシーンや瞬間は意外と目の前にあったりします。その時々に持っているカメラがこのセットだとしたら……？　間違いなく最高ですよね。GFXシリーズを日常的に使うなら、常用レンズとして最適な一本です。

( 2019.10.10 )