PHOTO YODOBASHI

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FUJIFILM X-E3, KamLan 50mm F1.1 II, Photo by NB

KamLan 50mm F1.1 II

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

リーズナブルな高性能レンズを次々と世に出している台湾の新進気鋭レンズメーカー、KamLan(カムラン)。そのカムランが2019年1月に発売したのが「50mm F1.1」。このレンズを紹介する当時の記事をいろいろ検索してみると、「驚異の」とか「度肝を抜く」のようなセンセーショナルな言葉がずらっと並びます。F1.4未満のレンズスピードというだけでもニュースになりうるのに、極めてマトモ(という言い方は失礼ですが、敢えて使わせてもらいます)な写りで、それが正気とは思えない(もちろんいい意味で)価格で発売されてしまったのですから、当時の記事がやや冷静さを欠いているのも頷けるというものです。KamLanブランドを擁するMachang Optical Co., Ltd.のY.C.チェン社長のインタビューもあったので読んでみると、このレンズができたから日本進出を決めた、とありました。カムランとしていったんの到達点となった、金字塔とも言えるレンズだったということです。

その僅か半年後の2019年7月に、今回レビューした「50mm F1.1 II」がリリースされました。先のインタビュー記事によれば、先代が価格とサイズを抑えることに注力したものであったのに対し、この「II」は多少大きくなったものの、画質を最優先したとあります。つまり名前こそ「II」ですが、発売のタイミングを考えても、これは単なる派生ではなく、まったくの別レンズと考えていいと思います。さて、前置きはこのぐらいにしましょう。早速レビューをご覧ください。

( Photography & Text : NB )

FUJIFILM X-E3, KamLan 50mm F1.1 II, Photo by NB

FUJIFILM X-E3, KamLan 50mm F1.1 II, Photo by NB

上の2カットは背景の遠近によるボケの違いです。ややぶっきらぼうとも言える遠景のボケに対し、近景のボケはまさに「溶けていく」という表現がぴったり。ポートレートなどではこの美しいボケを大いに生かした画作りができそうです。いずれもピントが合った部分はシャープ。線が細く、繊細な描写です。

FUJIFILM X-E3, KamLan 50mm F1.1 II, Photo by NB

FUJIFILM X-E3, KamLan 50mm F1.1 II, Photo by NB

FUJIFILM X-E3, KamLan 50mm F1.1 II, Photo by NB

時間を経た木や鉄の質感の描写です。なかなか艶かしいと思いませんか。開放でのピントの薄さもご確認いただけると思います。

FUJIFILM X-E3, KamLan 50mm F1.1 II, Photo by NB

これを見て、顔をしかめる人と、思わず綻んでしまう人に分かれるでしょう。出自の違いですね。私は後者でした。室内とのバランスをとって、屋外はややオーバー目の露出ですが、強いハイライトがあると表情は一変します。派手なコマ収差が出ますが、F1.1の開放に普通の描写なんて求めます? これで右半分がフツーに写っていたら、なんともつまらないカットだったでしょう。せっかくのF1.1なんですから、開放の時ぐらいはっちゃけてもらわないと意味がない、とすら思うのです。とても美しいと感じます。

FUJIFILM X-E3, KamLan 50mm F1.1 II, Photo by NB

焦点距離に関わらず、「開放でのボケの美しさ」という点では未だF2、あるいはF2.8あたりに分があると思うのですが、F1.1でこれなら文句も出ないでしょう。非常に印象的なボケ味だと思います。

FUJIFILM X-E3, KamLan 50mm F1.1 II, Photo by NB

F8まで絞った遠景です。よーく見ると周辺の解像感は若干落ちますが、高周波の描写にも絵画的な味わいがあって、なかなかいいじゃないですか。


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「コストパフォーマンス」という言葉の意味を再構築させられる

今までわれわれが、安易に使ってきた「コストパフォーマンス」とは一体なんだったのか。言葉の再構築を求められるレンズです。書きかけの原稿を前にして、もうかなり長いこと考え込んでいます。正直、あまり書くことがありません。これだけの写りをするF1.1レンズが、この価格で買える。それですべてです。読者のみなさんだって、もうそれでじゅうぶんでしょう? 誰よりも質の高い仕事をして、求められている以上の結果をきっちり出し、「じゃ、お先」と言って定時で帰っていく。有無を言わさない。かと言ってまるでサイボーグのようかと言うとそんなことはなく、気の利いた冗談だって言うし、時にはハメも外す。仕事の愚痴だって言うし、ヤケ酒も飲む。人間に例えればそういう感じです。でも、ぜんぶひっくるめて「完璧」って、つまりそういうことですよね。今お持ちの50mmを捨ててこれを、とは言いません。でも、ご自身の防湿庫にこれが仲間入りしない理由を見つけるのは、ちょっと難しいでしょう。もう一度いいます。これだけの写りをするF1.1レンズが、この価格で買える。それですべてです。

( 2020.09.14 )

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今回レビューしたフジXマウントです。

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こちらはソニーEマウント。

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キヤノンEF-Mマウントです。

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マイクロフォーサーズだってあります。

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