PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
第6話
カイハツのハナシ
そこには未開の荒野が広がっている?
評価
そして試作の評価をします。 |
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その言葉を聞くと、なぜか心がザワつくわ。 |
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もらった通信簿をどうしたら親に見せないで済むか、必死に考えたでござる。 |
ここで、自分たちが作り上げてきたものがいったいどのぐらいの性能を持っているのか? それは自分たちが目標としているレベルに達しているのか? もし達していないのなら、何がどのぐらい足りないのか? それはリカバリー可能なのか? ・・とまぁ、そんなことを細かく調べ上げるわけです。 |
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評価ということは、誰が見ても同じように「ああ、なるほど、確かにそうだね」ってならなきゃいけないんですよね? |
その通り。客観性がないと正しい評価はできません。 |
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それって、つまり数値化だと思うのですが、写真の写りもすべて数値化できるものですか? |
その答えとしては、数値化できるものと、できないものがあります。また仮に数値化できたとしても、あまり意味がないものもあります。そこはやはり写真。感性の賜物ですから、数値的な良し悪しよりも、「写したものを見てどう感じるか?」の方を重視することはあります。 |
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数値化できないものはどうやって評価するのですか? |
いちばんなのは、プロの写真家にテストしてもらってお墨付きをもらうこと。「これならOK」って。 |
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なるほど。でも簡単にOKなんてもらえないですよね? |
そうなんですよ。プロの写真家さんは求めるレベルがわれわれ常人とはまったく違うので、評価も極めてシビアです。名前が出ようが出まいが、いい加減な評価をしたらプロとしての沽券に関わる。よって妥協がない。だからこそプロの写真家さんにお願いするのですが。 |
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その代わり、晴れてOKが出れば・・・ |
もう、こっちのもん。黄門様の御紋みたいなもん。 |
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なんでラップ風に言ったの? |
でもそのシビアさのおかげでプラズマ・スパッタリングという、従来とはまったく考え方の違うコーティング技術にまで行き着いたわけですから、われわれの技術力の向上に大きく寄与されているんですよね。 |
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それはC-PLフィルターの辰野清さんモデルのことですね。 |
とは言えわれわれとしては、いろんなことを、できるだけ数値化したい。 |
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そりゃそうですよね。 |
実のところ、こういう製品の性能評価はJISやISOで規格化されていることが多く、もちろんわれわれもその規格に則って評価しています。でも、やはり規格だけで全てをカバーできるわけではない。じゃあ、そういう場合はどうするか。ここで知恵を絞ることになります。二つほど例を挙げてもらいます。 |
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まずは、ソフトフィルターの性能評価の例。ご存知の通り、ソフトフィルターというのはわざとピントをぼかして柔らかい写りにするためのフィルター。それをいくつかサンプルを作って比較する。もちろん目で見れば違いは分かるのだけど、それを数値化したいわけです。さて、どうするか。 |
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そもそもボケた画だもんなあ。 |
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確かに、数値化するのは難しそうだ。 |
そこでわれわれが考えたのは、このフィルターで星を撮って、それを拡大し、3Dにプロットしてみる、という方法です。 |
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ちょっと言ってることが・・ |
こういうことです。 |
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もちろん写真は二次元ですが、写り方を分析して三次元データに落とし込んでみました。するとこのように立体モデルとして、それぞれの写りの違いが把握できるようになったのです。 |
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おおお。確かに周囲へのボケ(滲み)の広がり方の違いが、3Dプロット図の裾野のカタチではっきり分かりますね。被写体に星を選んだ理由も納得。 |
二つめの例は「EXUS Lens Protect TOUGHNESS」というプロテクトフィルターです。これはフィルター枠にシリコンゴムを一体成形しており、それによって万が一ぶつけても、フィルター自体を守るだけでなく、レンズに衝撃が伝わりにくくしています。ガラスも強化ガラスを使っているので、レンズを守る能力がもっとも高いプロテクトフィルターだと自負しています。 |
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「タフネス」の名に偽りなし! でござるな。 |
フィルター枠にシリコンを使用したことによって、衝撃に対して一定の効果があることはもちろん分かっています。では、どのぐらいの効果があるのか。それを数値で確かめたい。 |
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うーむ、これも難問でござるな。 |
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つまり、普通の金属製フィルター枠と比較できればいいわけよね。どうすればいいかはまったく思いつかないけど。 |
これも悩んだ挙句、こういう方法で解決しました。 |
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ごく小さな加速度ロガーを利用したのです。これをフィルターに取り付け、普通のフィルター枠とシリコンのフィルター枠、ともに同じ条件で地面に落下させて、その時にフィルターがどういう挙動をするかを計測して比較したんです。 |
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なるほどお。 |
すると、シリコンのフィルター枠の方が衝突直後の加速度の変化量(グラフの縦方向)は小さく、その代わり長い時間(グラフの横方向)、加速度の変化が持続していることが分かりました。つまり小さく、長く揺れている。もちろんこれは想定通りなんですが、数値化できたおかげで、通常のフィルター枠よりおよそ40%増しで衝撃に強いということが改めて分かったんです。 |
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拙者、数字はからっきしでござるが、なんだかすごい、ということはよく伝わったでござる。 |
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やっぱり数字には説得力があるわー。 |