PHOTO YODOBASHI

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SONY α7R IV, SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II, 1/60, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

SONY SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

G MASTERの「ニッパチ」標準ズームレンズがII型に進化しました。先代はソニーの最高峰レンズであるG MASTERの1本目として6年前にデビュー。現在でも全くと言ってよいほど不足を感じることはありませんが、本レンズはそのフルモデルチェンジと言えるでしょう。一見して判る違いはそのサイズです。なんと695gにまで軽量化された上に、全長も先代から1.6cmも短くなっています。あの大三元標準ズームが一日中持ち歩けてしまう。それだけでも大いなる飛躍なのですが、AFやコーティングや操作性など様々な要素に手が加えられたことで、基本性能も使い勝手もさらに向上しています。肝心な写りは、、、素晴らしいです。小型化の弊害など微塵も感じられません。今回は一部の比較カットを除き、全て開放でお送りします。じっくりとご覧ください。

( Photography & Text : TAK )

SONY α7R IV, SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II, 1/1250, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

反射光を僅かに浴びるワンちゃんを70mm端で。単焦点が良いのは分かっているけれど、携行するレンズの数は少ないに越したことはありません。一本で済ませられて、できれば単焦点のようなキレ、ヌケ、ボケ、空気感が欲しい。本レンズならそれら全てが手に入ります。巧みに再現された陰影と絶妙なコントラストがシリアスな雰囲気を醸し出し、照らし出された髭には緊張感も漂っています。被写界深度は想像以上に浅くボケが遷移していく様子が背景に至るまで実に自然です。夕刻で湿度も低めであったにもかかわらず、どこか纏わりつくような空気の存在を感じます。

SONY α7R IV, SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II, 1/1000, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

「ズームって便利だな」と構図を調整した結果、34mmでの撮影になりました。一瞬太陽が雲に隠れた瞬間でしたが、潤いを感じる描写です。F2.8から想像する以上の立体感があり、花びらのレイヤーも手に取るように分かります。赤の再現にも過度な派手さはなく、むしろ深みがあります。そして695gは軽い。サイズもこれまでの大三元のそれではありません。同時に携行する機材の編成にも大きな恩恵をもたらしてくれるでしょう。

SONY α7R IV, SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II, 1/50, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

60mmにて。背景まではちょっと距離がありますが、輪線の少ない美しいボケですね。木漏れ日はもちろんのこと、平面状の庇のぼけ方にも品性を感じます。逆光気味でもヌケが保たれていることでピント部がキリッとコントラスト豊かに浮き立っていますし、フワッと光が漏れてくる雰囲気の再現からも本レンズが只者ではないことがわかります。こういう硬軟併せ持つレンズは、惚れます。

SONY α7R IV, SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II, 1/250, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

撮影者はもちろん、写真を見た他人がどれだけ現場の雰囲気を想像できるか、どれだけそこにいるような気持ちになるか。そこにレンズの力の差が出てくるのだとすれば、本レンズが持つ力は絶大です。階調表現ひとつをとっても饒舌で、白から黒までのグラデーションの連なりが実に滑らかで、現場を逞しく想像させてくれます。今回は高画素機であるα7R IVを使用しましたが、きめ細かな描写と高精細センサーの相性が抜群だと感じます。

SONY α7R IV, SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II, 1/160, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

50mmでの前ボケも穏やかです。やはり全体的にスムーズな描写傾向です。


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    F2.8
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    F4
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    F5.6
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    F8

これほどのレンズには失礼かもと思いましたが、開放から2段絞っても円形を保つとのことなので実証実験をしてみました(全て70mm端)。結果はその通りでした。それどころか3段絞ってもここまで美しいフォルムを保っております。深度を稼いでも背景がうるさくならないのは嬉しいですね。最短撮影距離は24mm端で0.21m、70mm端で0.30m。最大倍率は0.32倍と高い近接撮影能力を誇ります。しかもインターナルフォーカシングを採用しているので、寄っても高い解像力を得ることができます。


SONY α7R IV, SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II, 1/400, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

言うまでもなく本レンズは雰囲気だけのレンズではございません。ピントのキレも抜群で水垢や乾燥して剥げ落ちそうなコーキングもリアルに写し取られています。と言いつつ、やはり背景の雰囲気にもニンマリとしてしまうのですけどね。

SONY α7R IV, SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II, 1/2000, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

70mm端で遠景にピントを合わせてみました。距離を問わず解像力は安定していて、山頂付近の施設まで克明に捉えられています。周辺減光はありますがいい味わいです。気になる場合はボディ側補正を「AUTO」にすれば一発解決します。

AF性能も向上したとのことで、70mm端、開放でフォーカスを行き来させて先代と比較してみました(無音動画です)。カメラは固定、AFはAF-Cモード、フォーカスポイントはタッチ操作で切り替え、AFボタンは押さずAFスタートはカメラ任せという条件です。AFが始まってからフォーカスを獲得するまでの時間が先代よりも僅かながら短いようで、駆動系やフォーカス機構の改良の効果が確かに見て取れます。ただ同時に先代が「遅い」とも感じられませんでした。差はあるにはあるのですが、それが決定的となる場面も少ないのではないかと想像します。とはいえ軽さは正義。どうしましょうか(笑)。なお、α7 IV、FX6では「ブリージング補正機能」にも対応しています(2022年4月発表時点)。


SONY α7R IV, SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II, 1/30, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

SONY α7R IV, SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II, 1/8000, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

SONY α7R IV, SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II, 1/8000, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

ご想像通り逆光耐性も高く、コントラストへの悪影響も認められません。意地悪してもフレアは最小限ですしゴーストがたまにチラッと出るくらいです。ハイライトも粘ってくれますし、境界のグラデーションにも気品があります。歪曲はボディ側の補正をオフにすれば出ますが軽微なものであり、そもそもズームですから驚きません。こちらのカットは補正を「AUTO」にしています。実は冒頭の2枚だけオフにしていますが、素の状態でもその少なさがお分かりかと思います。

SONY α7R IV, SEL2470GM2 FE 24-70mm F2.8 GM II, 1/2000, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

この湿度を感じさせてくれる描写、病みつきになりそうです。ピント部からボケまで、ハイライトからシャドウまで、とにかくスムーズにつながるレンズだなと感じます。


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一日中持ち歩ける、新時代の大三元標準ズーム。

ソニーは時代を変えました。24mmから70mmまでF2.8のままシームレスに行き来できて、たったの695g。「描写性能と汎用性のためには多少のサイズや重量のアップは仕方ない。」 そんな大三元のジレンマすら吹き飛ばしてしまったのです。広角から中望遠までをカバーする標準ズームの設計製造が決して標準的ではないことは、素人の私でも何となく想像がつきます。歪曲ひとつをとっても広角側と望遠側では出方も異なるのが常であり、レンズ群は複雑に動き回り高価な特殊ガラスも必要になるでしょう。しかもニッパチ固定で、サイズもそれなりに収めなきゃ現場で使ってもらえない。そしてダメ押しの如く官能的描写も要求される。まさに「あちらを立てればこちらが立たず」が群発する大変なスペックです。そして、ソニーはあちらもこちらも立ててしまったのです。単焦点と互角に渡り合える表現力、俊敏なAF、高い近接撮影能力、取り回しの良さなどなど。いずれもズームということを忘れさせてくれる水準で、一度マウントすると交換する気が失せてしまうほどです。ミッションで必要な方はもちろん、幾多のレンズを転がしてきた方もご満足いただけるでしょう。もちろん先代も実に素晴らしいレンズです。あとはご自身の肩ともご相談の上ご検討ください。

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操作部にも細かな改良が施されました。レンズフードにはフィルター操作窓を新設。スライド時の動きも高品位で節度感があります。「SMOOTH」「TIGHT」とあるスイッチでは、ズーミングの操作感を軽め/重めに切り替えることができます。「TIGHT」側にするとレンズを下に向けても鏡胴が不用意に繰り出すことがないのですが、これが素晴らしいのはロックされないこと。つまり、ロック解除というアクションを介さずしてズーミングを開始できるので、咄嗟のチャンスに即応できるのです。2箇所に配置されたフォーカスホールドボタンも便利です。ホールディングが不安定になりがちな縦位置でも左手指でAFできるので、しっかりと構えられますよ。

( 2022.06.13 )

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リアルな記録はもちろん、情感豊かな表現だって当たり前のようにこなす、まさにキングオブ標準ズームレンズ。お早めにどうぞ。

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軽いレンズは持ち出す機会も増えます。プロテクションもお忘れなく。

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