PHOTO YODOBASHI

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SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TA

TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061 vol.1 vol.2

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

高倍率ズームを得意とするタムロンからAPS-Cフォーマットのミラーレスカメラ向けレンズが登場しました。ご紹介するのは「TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061」。ソニーEマウントと富士フイルムXマウントに対応しており、このレビューはソニーEマウント版となります。同カテゴリーレンズといえば、どの製品もワイド端は24~28mmスタートとなりますが、テレ端は300~450mm(ともにフルサイズ換算)と製品により幅があります。その中でも本レンズはテレ側を450mm相当へと最も伸ばした意欲的な1本。おそらく多くの方が「十分すぎる」と思われるのではないでしょうか。ズーム倍率にすると16.6倍、カメラやレンズに関するスペックの中で、その多くが「数字が大きいほど偉い」ものとはいえ、ズーム倍率が大きいものは高い利便性が得られる反面、光学設計が難しくなることから、これまでの製品の中には写りの部分で妥協を感じるものもありました。概ね共通して「テレ端付近の描写が甘い」というものでしたが、本レンズはその点についてどうなのか、しっかりと検証していきたいと思います。

製品の要点について簡単に触れておきましょう。レンズ構成は15群19枚、3枚の複合非球面レンズと4枚の異常低分散レンズを採用し、諸収差を効果的に抑制しながら高い解像性能をズーム全域で持つ、タムロンとしても「クラス最高」を謳う自信作です。絞りは7枚羽根の円形絞り、得意の手ブレ補正も搭載し、ボディ側の手ブレ補正機能の有無を問わず効果的に抑制してくれます。これなら扱いが難しい超望遠域も安心して振り回せますね。また、70mm以下ではAIを活用し動画撮影にも配慮した補正効果を得られるとのことです。

( Photography : TA / Text : Naz )

SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TA

まずは16.6倍ズームを確かめてみましょう。こちらはレンズを縮めた18mm、標準ズームレンズのワイド端相当の見慣れた画角です。開放からシャープに写り、解像力も素晴らしいです。

SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TA

続いて、同じ撮影場所でズームリングを約90度回しテレ端へ。ワイド端のカットの赤枠で囲ったものがこの写真に相当する部分です。16.6倍がどのくらいかイメージできましたでしょうか。ぼんやりと眺めている時に見えている範囲が27mmとすれば、その中の肉眼でわずかに見えているか見えていないかくらいの狭い部分にまで迫れるのが450mm。同じレンズで同じ場所からとは思えない2つの世界を切り出せました。しかもズームレンズですから、その間も自由自在です。

SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TA

こちらもテレ端で撮影。冒頭にも書いたとおり、高倍率ズームレンズのテレ端では描写が甘くなる製品もありましたが、本レンズは心配無用ですね。高い解像力もさることながら、少し湿り気を帯びた木の肌の質感まで見事に描いています。

SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TA

コントラストも自然で色再現もさすが。構成枚数が多いレンズながら、ヌケもいい印象です。

SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TA中間域の約180mm付近(換算270mm相当) で撮影しました。前後のボケの美しさ、ピント面の際立ったシャープネス。性能重視の低倍率ズームレンズならまだしも、これが高倍率ズームレンズなのですから驚くほかありません。

SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TA

こちらはワイド端。今にも落ちそうな乾燥した皮の質感描写、そして鼻を近づけると香りさえ漂ってきそうなほど生々しく描き出します。


SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TA

さまざまな焦点距離域でスナップしてみました。眼前のものから遠く離れたものまで、おおよそ目に見えるものすべてを、諦めることなく被写体へと変えてくれます。まるで魔法の杖を手にい入れたような無敵感! 圧縮効果や背景を溶かしてしまうような望遠レンズならではの効果も容易く引き出すことができます。

SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TA

古い窓ガラスの細かな凹凸を引き出してみました。望遠レンズは遠くのものを引き寄せるだけでなく、近くものをシンプルな構図で浮かび上がらすこともできるのです。

SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TAこのカットでは圧縮効果を狙ってみました。幅広いズームレンジにより、指先をクイッと回すだけでマクロ的、引き寄せ、圧縮等、様々な効果を積極的に活かせます。超望遠だからといって特殊な用途だけでなく、こうした日常のシーンにも彩りを与えてくれるのです。

SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TA

優秀な望遠域に目が行きますが、広角域でもご覧の通り、気持ちよくシャープに描写します。逆光に関しては、光源へ向けながらレンズを振ってもコントラストの低下は見られず、実写において気になるようなフレアやゴーストの出現もありません。AFの速度も必要にして十分。動体追従AFにも対応し、足早に歩く人もしっかり捉えることができました。

SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TA

電子補正を前提とした設計となり、ワイド側でタル型、テレ側では糸巻き型の歪曲収差がRAWデータでは見られますが、JPEGではきっちり補正されていました。Lightroomでの対応はこれからとなるようです。

SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TA


  • SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TAワイド端、最短撮影距離(約0.15m付近)で撮影しました。最大撮影倍率はなんと1:2。ハーフマクロとして使えます。レンズ先端が花の中心部にぎりぎり触れないくらいの距離でした。近接においてもピント部はシャープ。しかも画面全体で破綻が見られないのは優秀ですね。
  • SONY α6500, TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD Model B061, Photo by TAこちらはテレ端での最短撮影距離(約1m付近)。最大撮影倍率は1:4、テレマクロ的な撮影ではタムロンらしい柔らかいボケが楽しめました。本レンズに搭載された手ブレ補正機構「VC」は、感覚的には一般的な手ブレのライン、「1/(焦点距離)秒」から2段分以上は稼げる印象です。天候に関わらず、気軽に手持ちでマクロ撮影を楽しめます。

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高倍率ズームのパイオニア、タムロンが放つ「これでもか」

いかがでしたか? 作例を見る限り、描写性能は「かなり優秀」というのが率直な感想です。厳しくみても甘さや緩さを感じるところはなく、多くの場面で期待以上の結果を生み出してくれる頼りがいあるものでした。遠くのものを引き寄せたかと思えば、ダイナミックに切り取っていくスナップまで、クイッと画角を切り替えながら、どのように切り取っても常に安定した高画質を得ることができます。これだけのズームレンジを持ちながら、全域で隙を感じさせず、不得手な焦点距離が見つからないというのが本レンズ最大の特長であると思いました。特に前ボケは撮影距離に関わらずよいものでしたから、実際に撮影される際には積極的にご活用ください。

今回のレビューで使用したα6500が453g、本レンズが620g。APS-C用のレンズとして少し重くもありましたが、カメラと合わせて1.1kg程度。フルサイズのシステムと比べればハンドリングは軽快、持って歩くのが苦にならないレベルに収まっています。またコンパクトなボディに合わせると、全長の125.8mmも少々大きく感じるサイズではありましたが、最大径も75.5mmとスリムにまとめられ、簡易防滴構造や防汚コートも採用していることから、屋外でのレンズ交換が憚れるような条件でもシャッターチャンスを逃さないレンズになっています。なお、撮影カメラマンによれば、新品の状態では自重で伸びない程度にズームリングのセッティングが重めになっており、使い込むにつれより滑らかな操作感に変わっていくと想像しますが、スナップ撮影の場合は予め画角や構図を決めてから撮るスタイルがスムーズとのことでした。

高性能なズームレンズをミラーレス時代にフィットした扱いやすいサイズ感にまとめ、魅力的な製品を次々とリリースするタムロン渾身のレンズ。長年高倍率ズームレンズを作り続けてきたパイオニアが放つ「これでもか」という強烈な1本をどうぞ受け止めてみてください。ワイドなズームレンジ同様、表現の幅もぐっと広げてくれるでしょう。

( 2021.10.15 )

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見惚れる作例の数々、驚く性能でした。便利に振っただけではない優秀な性能、ご自身で体感ください。

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レンズ前面には防汚コートがされてはいますが、傷からも守りたいならフィルターでの保護もお忘れなく。

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