PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SONY Cyber-shot DSC-RX1, Photo by K

忘れ得ぬ名機たち Vo.1
SONY DSC-RX1 / SONY DSC-RX100M3

αシリーズの特集ですが、のっけから脱線。3回シリーズの第1回目はCyber-Shotシリーズの「DSC-RX1」「DSC-RX100M3」にスポットを当ててみたいと思います。そのココロは・・・。カメラの歴史とは小型化の歴史とも言えると思いますが、この2つのカメラは小型化という面において大変にエポックメーキングであったと思います。もちろんαシリーズであるNEXや後のEマウント機の登場もインパクトがありましたが、RX1とRX100M3の登場は個人的にそれ以上のものがありました。そして夢中になって使ったカメラでもあります。なぜ惹き付けられたのだろう。今あらためて両機の魅力を振り返り、そこから透けて見える、SONYというメーカーが追いかけるもの。このことについて推察してみたいと思います。

( Photography & Text : K )


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手のひらサイズのボディに35mmフルサイズセンサーを搭載
フイルム時代の“高級コンパクト”をデジタルで実現した1台
DSC-RX1

DSC-RX1の登場はともかくセンセーショナルでした。2470万画素の35mmフルサイズセンサーをスルー画で液晶に表示し撮影するわけで、どこにそんな大容量なバッテリーを搭載するのだとバッテリー室を見れば、呆れるほど小さく薄いバッテリーに驚いたものです。RX1に搭載されたセンサーも大変バランスのよいもので素晴らしいのですが、ZEISS銘のこの35mmレンズも実に素晴らしい。正直なところ、このレンズのためだけに対価を支払って惜しくないと感じます。このパッケージングは、かつてフイルム時代に存在した魅力ある単焦点レンズを搭載する高級コンパクトのパッケージングと同じです。それをフイルム同様、35mmフルサイズのセンサーを搭載して実現したわけで、素晴らしいの一言。しかもデジタルで、フイルム時代とは比較にならない利便性を携えているわけです。とうとうデジタルもここまできたかと実感したものです。見た目のコンパクトさとは裏腹に、本気にさせられるカメラで、EVFを取り付け丹念にフレームしたくなります。十分に光りが回った環境で、浅い絞りでシャッターを切る。ツボにはまると、艶めかしく、そして立体的で妙にリアリティ溢れる画を結んでくれるカメラ。後継機が登場した現在も愛用しています。

SONY Cyber-shot DSC-RX1, Photo by K

コンパクトデジタルと変わらないボディサイズ、35mmという潰しの効く画角、画は一級品。旅にこれほどうってつけのカメラはないように思います。人物そのものを撮影したカットとは別に、影だけをフレームしました。こんな“手遊び”をしたくなるカメラ。つまり、撮りたくなるカメラ。

SONY Cyber-shot DSC-RX1, Photo by Kそっとポケットからカメラを取り出す。じっと見つめる姿がいい。サイドから光りが潤沢に回り込むようなシーンで、このカメラが描き出す魅力が最も出ると感じます。ベイヤー型のセンサーで35mmフルサイズ・2400万画素あたりというのは、とてもバランスがよい気がします。のちにα7(初代)にも搭載されますが、よいセンサーだと思います。

SONY Cyber-shot DSC-RX1, Photo by Kモロッコを訪れるなら、おそらく大半の人が訪れるマラケシュのマーケット。小さな子供を抱えてパンらしきものを売るが、一向に人は立ち止まらない。子供が時折母親の頬を触る。そんなとき、なんともいえぬ柔らかな表情で子供を見つめるのが印象的でした。

カメラが小さいことは、やはり魅力的。そもそも持ち歩くのに苦労がないし、その場のシーンに溶け込みやすいのです。

SONY Cyber-shot DSC-RX1, Photo by K

この土地柄にディフェンダー、そしてこの御仁。カメラを向けるなというほうが無理がある。実に立体的な描写。開放から2段程度までの間にこのレンズの魅力があります。レンズにセンサーがついてきたと思えば安い安い(?)

SONY Cyber-shot DSC-RX1, Photo by K

おそらくフェズの旧市街だったと記憶していますが、一度街の中に入れば気をつけていないと簡単には外に出られない。本当に迷路のような街の作り。狭い路地から路地を渡り、そこでそれぞれの光景に出会します。これがまるでシネマスクリーンの前にいるようで面白い。そう、シートに座ってストーリーの骨子がしばらく見えないあの感じ。断片的なシーンを次々に見せられるかのような。ここで生活する人々にとっては日常の光景でしょうけど。

SONY Cyber-shot DSC-RX1, Photo by K

当時の本編レビューでも使用したカット。RX1らしいカットかなと思います。カーテンで差し込む硬めの光がディフューズされたその様相が実にリアルに写り込んでいます。モロッコを旅していて、妙に「光」を意識させられたのが思い出されます。おそらく迷路のように入り組んだ街並みの中に、一筋光が差し込むようなシーンが多かったせいでしょう。

SONY Cyber-shot DSC-RX1, Photo by K

最小レベルのボディに、最大限のクリエイティビティ
革命的な一台、これは手放せない

手のひらに収まるサイズだから、手に取り眺めてしまう。手のひらに収まるサイズだからこそ、連れ出す頻度があがる。搭載レンズは単焦点で趣味性も高く、楽しくて結果的に仕上がりに繋がるような気がします。そんなものでしょう、カメラなんてシャッター切れば写るんですから。何を選んでもそれなりに写るのですから。楽しいというのは大事。RX1は気軽なだけじゃなく、しっかり撮れるカメラらしいカメラで、ともかく画のデキが抜群。発売からけっこう経ちますが、忘れられないカメラであるし、相棒と呼ぶに相応しいカメラ。35mmをチョイスする、RX1を手にする。そんなカメラです。


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「1インチのセンサーで画質底上げ」「EVFを搭載」
コンパクトデジタルの次元を変えた革新的な一台
DSC-RX100M3

コンパクトデジタルカメラに、1インチというセンサーを搭載してきた初代。ライトかつコミュニケーションにおいてスムーズなスマートフォンの台頭で、コンパクトデジタルカメラに対する全体的なニーズが変容する中、カメラとしての正常進化を果たし見事ひとつのフォーマットを定義したのが初代RX100だと考えられます。我々が呼ぶカメラとは、作画自由度が高く高画質であること。まさに正常進化と呼ぶに相応しいと言えます。そして3代目のRX100M3は、どこに入れるスペースがあったんだ!?と驚きのEVF搭載。飛びついて買いました。背面液晶での撮影は身体からカメラが離れ、目線と光軸が大きくずれるのでカメラをなかなか身体化しづらい。よくぞ詰めこんだと拍手を送りたい進化です。かくしてRX100M3は、コンパクトデジタルカメラでかつてない画質と作画自由度を実現。革新的な一台といってよいでしょう。もちろん購入、しかも2台も。そのわけは後ほど。

SONY Cyber-shot DSC-RX100M3, Photo by K

RX100M3は、それこそいろんなところへ連れて行きました。大きな機材での撮影でも、かならずサブとしてカメラバックに入れて。このカメラよりも小さなセンサーを搭載したコンパクトデジタルカメラだってよく写ります。ただ大きな機材に比べると画質の差が大きかったため、どちらかというと記録用途。RX100M3は、すべての撮影を担うわけではありませんが、常に控えとして持ち歩き、大きな機材が持てないときはこの1台のみ、なんてことも多かったカメラです。掲載するカットは2014年にパリを訪れた際に撮影したもので、このときのメイン機材はフイルムカメラ。露出計のないカメラであったため、判断が難しいシーンではRX100M3をポラ代わりに使うことも。

SONY Cyber-shot DSC-RX100M3, Photo by K

はて、RX100M3にこんなエフェクトあったっけ。いえ、ありません。これはとある事故によって生み出されたエフェクトです。セーヌ川の畔を撮り歩いていたとき、ものの見事にすっ転びました。それはもう美しく。ハンドストラップを手首に通し、右手にあったRX100M3の液晶画面が転倒の衝撃を吸収。大事に至らなかったのですが、カメラは・・・。

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買ったばかりなのに・・。液晶は私のこれまでの行いを描くかのようにズタボロ、EVFに至っては天板がお出かけしてしまい、あたりを探し回ってようやく発見。そして元の位置にハメ込んで使っていたのですが(せつない)、やはり途中で母艦から離陸、結局パリの何処かに今でもあると思われます。当時、RX100M3のセカンドレビューとしてパリの写真が掲載されました。PYのレビューはかくして公開されているのであります。あまりに口惜しくてセーヌ川の畔でスマホを取り出し、ヨドバシ・ドット・コムから再度その場で購入。もはや理性はEVFの天板と一緒に飛んでいました。そんなわけで我が家にあるRX100M3は2代目となります。初代のこのRX100M3は、なんとまだ使えます。たまに使っています。EVFも背面液晶も少々フレーミングが難しいのですが。

そうそう、この転倒事故、パリに着いた当日の出来事でありました。。

SONY Cyber-shot DSC-RX100M3, Photo by K

どうもレンズに水気が浸入したようで、撮る写真すべてがフォギー。まあそのうち乾くでしょうと、せっかくなのでこの天然エフェクトを楽しむこととします。本編のレビューでは掲載できるはずがありません(笑)

SONY Cyber-shot DSC-RX100M3, Photo by K

300年前の建物が現役であたりまえのように使われ続けるパリ。なんだかんだといって撮り歩くには面白い街です。センサーが1インチということもあり、高感度側のノイズ処理も満足なレベルです。ノイズを塗りつぶし、無理矢理シャープ処理を行ったような不自然さは感じられません。

SONY Cyber-shot DSC-RX100M3, Photo by K

セーヌ川の畔は石畳。RX100M3が手のケガから救ってくれました。まともに手をついていたなら血が出ていたと思います。しかしこれだけレンズが曇っているのにAFはガシガシ合焦します。メーカーのみなさんになりかわりストレステスト中。

SONY Cyber-shot DSC-RX100M3, Photo by K

こんな小さなボディで、かくも厚みのある画が。はじめて現像ソフトを操作した際に、RAWが持っているデータに驚いたのが思い返されます。このこと自体が素晴らしい。適度に深度があって、スナップ撮影などではむしろ扱いやすい。

SONY Cyber-shot DSC-RX100M3, Photo by K

ハイエストライトからディープシャドーまで実にバランスのよい再現。なかなか嬉しいですよ、これは。

SONY Cyber-shot DSC-RX100M3, Photo by K

あちこちにカフェがあるので、撮り歩きながら疲れたらよく利用しました。エスプレッソを口にしつつ、液晶画面をチルトしてパチリ。視線の向こうは轟音をたてて止まったフェラーリ。新しいモデルはなんだか大きすぎてあまり興味がないのですが、石畳に佇むその姿はなかなか恰好よかった。

SONY Cyber-shot DSC-RX100M3, Photo by Kオーシャンゼリゼー、何人の日本人がここで歌いながら歩いたでしょう。もちろん歌いました。何度かパリを訪れましたが、毎度歌っています。ちなみに編集部のA.Indenも過去に歌っていたと、その時一緒に居たらしいZ IIが言ってました。ボケ味抜群、PY編集部。

すっ飛ばし気味に撮影しても、きちんと画がまとまるのです。コンパクトデジタルでこれだけ写れば十分!

SONY Cyber-shot DSC-RX100M3, Photo by Kシトロエン2CV。とりあえず撮ります、ハイ。フランス車、特に古い車は流れて欲しいラインに実際のラインはなく妙に余分を感じたり、日本で見るとそう思うのですが、パリで見ればストンと納得。

SONY Cyber-shot DSC-RX100M3, Photo by K

性分的に水平垂直はわりとキチンと出すことが多いのですが、パリの建物は何を基準にすればよいのかわからない。上の車の話も然り。要は「積み重なる」文化とでも解釈しておきましょう。結果的にそのような形に至ると。ところでRX100M3の画、いいでしょ?

SONY Cyber-shot DSC-RX100M3, Photo by K

ギミックに映れど、根底には純粋なる想い
それを色濃く感じさせる、使い込むに愛おしさが増す「道具」
そんな、手放すことのできない2台

RX1 / RX100M3に共通するのは、どこかの会社流に表現するならばパッケージングの再発明。マーケットの未だ見ぬ地平線上にあるニーズを素早く、一気に形にする。これはカメラというプロダクトに純粋な想いを注ぎ込んでいなければ生まれないし、まして売れるものにはならないと思うのです。RX1は、35mmフルサイズセンサーを搭載しつつコンパクトデジタル並にまとめ、手の中で遊ばせたくなるような趣味性もあり、本物志向のレンズに、小さいからと操作性が犠牲になることはなく高い次元でまとめあげられています。RX100M3は、逆にコンパクトデジタルカメラの殻を破るかのように「撮ること」に夢中になれるカメラに仕上がっています。特筆すべきは、いわゆるコンパクトデジタルカメラが持つメリットを何も失わずにそれを実現していること。両機ともにギミックめいた印象が先に立ちますが、きっちり撮り手が求める「道具」に仕上がっているのです。それも確実に一枚上のカードを見せてくれての話。これは、αシリーズEマウント、Aマウントでも同じことを感じます。それぞれのニーズに対してフォーカスしつつも、根底に流れるものは一貫しています。しかし毎度感心させられますが、各ジャンルのそれぞれのモデルで培われたものが、急速かつ緊密に横展開され、結果として全てのモデルをあらゆる角度から磨き上げていくわけです。このスパイラルを描くが如く「力」。ひとたび、ひとつのモデルに手を出すと、あれもこれもと手を伸ばしたくなるわけで、現在みなさんの目に映るSONYの姿はかくの如しではないかと想像しています。

次回は本題αシリーズについて掲載予定です。ちなみに、RX1もRX100M3も新モデルを擁しながら併売されています。最新モデルも勿論よいのですが、旧機種のこの2台、いま使っても響くカメラだと思います。

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( 2018.05.11 )

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より新しい2型も登場していますが、本編に登場した初代RX1は現在でもお求めいただけます。歴史に残る名機、手元に置いておきたくなりますよね。

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