PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
ZHONGYI SPEEDMASTER 25mm F0.95
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
今回レビューをお届けするのは中一光学の「SPEEDMASTER 0.95/25mm」。シルバーモデルの登場が2016年11月発売となりますが、お買い得な大口径標準レンズなのでご紹介します。中一光学は中国の光学メーカーで、近年ではシネマレンズを精力的にリリースしている印象があります。超大口径マニュアルレンズのラインアップも充実しており、本レンズもその中の1本。マイクロフォーサーズ用で、フルサイズ換算50mm相当の画角を持つ超大口径標準レンズです。（OM-Dシリーズの初代E-M5、PENシリーズのE-PL6・E-PL5・E-PM2には装着不可とのこと。）
最大の特徴は、F0.95もの明るさを誇りながら、手の中にすっぽりと収まってしまうほどの小型サイズであることでしょう。小さめのボディに良く似合い、マイクロフォーサーズの強みである可搬性や機動性をスポイルしません。現在、同焦点距離でF0.95のマイクロフォーサーズ用レンズは4本あります。本レンズは、このうちもっともリーズナブルで、サイズもひときわ小ぶりな製品。大きなボケが欲しい時は勿論のこと、マニュアル撮影を楽しむにはこの上ないレンズのような気がします。さあその実力はいかなるものか。全カット開放でお届けします。
( Photography & Text : TA )
光に対する感受性が強く、状況によってはフレアが強めに発生します。時に淡いコントラストで描かれるパステル画のような雰囲気に。とはいえ、容赦せず強い光に対してレンズを向けてもピント面がぐずぐずになるようなことはありませんし、色収差も良く抑えられています。この辺りは、やはり近年のレンズだなと感心するところで使い易さを感じられると思います。画面中央付近に比べ四隅は少し柔らかい印象。周辺減光も手伝ってトンネル効果は抜群です。味わい深い上に扱いやすさがあるので、思わず撮影枚数が増えてしまいました。
日影で咲いていた薔薇を開放で。それにしても良く写るなあという印象です。つるんとした葉の質感や、細部の形状まで丁寧に描かれています。トロンとした量感のあるボケが、画を一枚上のステージへ引き上げてくれるかのようです。減感していても超大口径ですからシャッタースピードにはまだまだ余裕がありますね。
光に起因する写りの揺らぎが顕著です。本レンズにはフードが付属しませんが、この揺らぎを存分に楽しむにはフードは無粋かもしれません。レンズを向けてシャッターを落とすだけで、絵画的な表現まで器用にこなします。
硬質な光の中での撮影ですが、被写体は背景に沈み込むことなく浮き立ち自然な立体感を描いてくれます。ピークから前後に視線を移していくと緩やかにボケていく様子がうかがえるかと。より大きなフォーマットのカメラで撮影しているかのような奥行きを感じるのですが、ボケ量といった単純に測れる要素だけでなく、物事を捉える力、そして密度の高い描写あってのことでしょう。
25cmまで近接が可能。寄れるレンズで、大きく美しいボケが画に彩を添えてくれます。ピントピークは十分なシャープネスがあり、ピントの山を追いやすく微調整も容易です。マニュアルレンズが初めてな方にもフレンドリーな1本と想像します。
フォーカスリングは程よいトルクがあり滑らか。フォーカシングに適した回転角を持ち、バックラッシュが極小に抑えられているので素早く正確な操作が可能です。テンポ良くスナップ撮影が行えます。
日は完全に落ちており、レンズによっては撮影を諦めるようなシチュエーションです。本レンズであれば感度も昼時に設定したISO感度そのままでOK。街路灯のほのかな明るさがあるとはいえ、感度を上げずにいかようにも撮影できるのはフォーマットを鑑みても大きなアドバンテージかと。
ボディのフォトスタイル設定は「シネライクD」にて撮影。良いでしょう？思わず動画も撮ってみたくなります。
向き合うほど、味わい深さが増す1本。
なにしろ遊び心をくすぐられるレンズでした。光に起因する写りの揺らぎが顕著で、時に写実的な写りをし、時に絵画的な写りで飽きることがありません。独創的な写りを求めれば、それ相応の作法が必要になってくることも。ですが、本レンズに関しては心配ご無用。すこぶる扱い易い1本です。オールドスクールのような風合いを持ちながら、現代にマッチするよう上手くバランスされていると感じました。デザイン面においても考え抜かれたプロダクトのように思います。鏡胴の大部分は金属製で上質感たっぷり。それぞれのリングにはローレット加工が施されており手に良く馴染みます。絞りリングにはクリック機構を搭載していませんが、フォーカスリングとはデザインが差別化されており、いつの間にか触れてしまう以外に誤操作もないかと思われます。寄れるレンズでハンドリングも良好。おまけにF0.95とは思えないほどの小型サイズで携行性もバッチリ。画角的な側面からも、価格的な観点からも、普段から持ち歩くにはうってつけのレンズと言えるでしょう。
真摯に向き合えば向き合うほど、いろんな可能性が見えてくる1本です。どんなものにもレンズを向けたくなる。そんな気にさせてくれるレンズです。
( 2022.07.06 )
ポイントバックで、実質4万円代で手に入るハイスピード標準レンズです。小型サイズでボディとのマッチングも良好。遊び心をくすぐられるレンズです。
こちらはシルバーモデル。カメラボディに合わせてお選びください。