Panasonic LUMIX G 25mm F1.7 ASPH.

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

キットレンズからのステップアップなどにぴったりの単焦点標準レンズが登場しました。35mm判換算で50mm相当になる一般的に扱いやすいとされる画角と、明るい開放値を有する1本です。大型センサーに比べ背景がボケにくいマイクロフォーサーズだからこそ、このF1.7というスペックは大変魅力的に映ります。柔らかなボケを添え、絞りをコントロールすることで表現を変化させられる楽しさ。大口径とはいえスナップだって軽快にこなせてしまうコンパクトさ。一眼カメラを始めて間もないという人も身構えずに使えるでしょう。またズームが無いからこそ、自らの足を使うことで自由にフレームできるという撮影の基本作法を改めて学ぶことができます。マイクロフォーサーズマウントのレンズはまだまだ沢山ありますが、まずはこのレンズからその第一歩を踏み出してみて欲しいです。

( Photography : A.Inden / Text : KIMURAX )

最短撮影距離は25cm、標準レンズとしてはかなり思いきって寄れます。接写時の被写界深度はご覧のようにかなり薄く、ボケも大胆です。ボケの効果を差し引いたとしても、赤い実の立体感には目を見張るものがあります。光の関係などで背景のボケがちょっとうるさく感じるような場合には、少し絞り込んであげるといいでしょう。

室内など光量が限られるシーンでは、明るいレンズが有効。カメラ側の高感度特性がよくなってきたとはいえ、頼らずに済むのであればそれに越したことはありませんよね。おかげで雑味のない雰囲気のあるカットに仕上がりました。コーヒーの深い茶褐色から黒色へと沈んでいく色合いまで丁寧に再現しています。

画面の中に太陽がもろに入り込んでくる条件では、さすがにゴーストとフレアが生じていますが悪目立ちするようなレベルではありません。コントラストの低下に悩まされるほどでもないですし、光源さえ外せば逆光のシチュエーションでも難儀することはほぼないでしょう。ビルのシャドー部もべたっと潰れずに、階調がちゃんと残っています。

窓の造形に惹かれてフレームしたカットですが、改めて仕上がりを見てみると光の捉え方が巧いですね。白は白でも、単なる白でないのです。豊かな階調表現がなされているからだと思います。

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AFは大変小気味よく、動きのある被写体へもキビキビ対応してくれます。

コントラストしっかり、シャドーの粘りバッチリ。きらめきというか、大口径レンズらしい艶っぽさもよく出ていると思います。

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絞り込んだときのコントラストがこれまたいいのです。色乗りがいいと格好良さがひときわ増しますね。細かなキズなのかワックスの跡なのかは正直詳しくないのでよくわかりませんが、強い日差しが容赦なく炙り出しています。

開放からなかなかキレのある描写。特に画面中央がずば抜けています。中距離で前後にボケ味を添えてみましたが、これまた自然な仕上がりです

フォーカスした部分のシャープさと、像の立体感に感心しました。このクラスのレンズとしては上々の画を見せてくれたと思います。単に立体感と申しましたが感覚的には、誇張しすぎない適度な立体感と言った方が相応しいかも知れませんね。標準レンズながら開放時の深度は浅く、マイクロフォーサーズとしてみれば望外のボケ量が得られることはやはり魅力的です。本レンズが誕生するまで同社のラインナップには、標準と呼ばれる50mm相当のレンズはLeicaブランドの「DG SUMMILUX 25mm / F1.4 ASPH.」のみ。より明るいレンズということもあって値も張り、いわゆるスタンダードクラスが不在だっただけに、待ち望んでいた人も多かったことでしょう。明るいレンズだからこそ撮れる雰囲気というか、ある種の世界感みたいなものが確実にあるわけで、それをリーズナブルに楽しめるというのはありがたいことです。なにせ"標準"ですから使用頻度も高くなるでしょうし、日常的に気兼ねなく使えるところがこれまたいいのです。キットズームレンズの次は、このレンズで間違いありません。

( 2015.10.20 )