Panasonic LUMIX LX100 II / SHOOTING REPORT

コンパクトカメラとしては非常に大きなセンサーを搭載したLUMIX LX100シリーズの二世代目となる「 LUMIX LX100 II（DC-LX100M2）」の実写レビューをお届けします。初代LX100（DMC-LX100）の特長であった、4/3型の大型センサーにF1.7-2.8という大口径の3倍ズームレンズという組み合わせをはじめ、撮影に没入しやすい直感的なダイヤル式を採用しながら、デジタルカメラらしい多彩な撮影機能も上手に両立させた操作体系。そして4Kでの動画撮影や4Kフォト、マルチアスペクト機能などパナソニックらしさを感じるコンセプトはそのまま継承しています。

LX100 IIへのアップデートでは、有効画素数を1280万画素から1700万画素へ大幅にアップ。Bluetooth 4.2（Bluetooth Low Energy）の採用により、消費電力を抑えながらスマートフォンとの常時接続を実現し、位置情報の連携やWi-Fiでの自動転送を行えるようになりました。また、背面の液晶モニターもタッチパネル化に加えて92万ドットから124万ドットへと高精細化。連写時のコマ速については6.5コマ/秒から5.5コマ/秒へとわずかに減少したものの、30%を超える高画素化を行いながらもRAW撮影時のバッファは9枚から33枚へと大幅に強化されています。

今回のレビューでは、初代から継承したズームレンズの高い描写性能や大型センサーならではの余裕ある写りを改めて確認しながら、LX100 IIが持つ素性の高さをご紹介していきたいと思います。では早速作例をご覧ください。

( Photography : A.Inden / Text : Naz )

面白い影だなとカメラを構えたら、フレームの外から走ってくる子供が目に入りました。少し横長のフレームにするため、アスペクト比「3:2」をチョイス。あとは影の形を考えてズーミング。レンズ鏡胴部に添えられた左手の指先でアスペクト比も画角も変えられるよく練られた操作性が思っていた以上の武器になります。また、シャッターボタンの周囲に配されたズームレバーに加え、レンズ鏡胴部のリングでもズーミングが行え、24/28/35/50/70/75mmのステップズームで単焦点レンズを扱うように撮影できるのも嬉しいですね。

AFは高速かつ静粛。光学式手ブレ補正機能も搭載し、内蔵のEVFを通して見える像も非常に安定しています。タッチパネルでAFポイントを窓に書かれた文字へ移動。AFポイントを小さくすることができるので、 狙い通りの位置へ正確に追い込むことができます。

35mm判換算24-75mm相当となる内蔵の「LEICA DC VARIO-SUMMILUX 1:1.7-2.8/10.9-34mm APSH.」は、8群11枚の構成のうち、2枚の両面非球面EDレンズを含む8面5枚もの非球面レンズを組み合わせることによりピントにキレがあり、厚みも感じる描写を手に入れています。ビルに反射する太陽を大胆に入れても、フレアを感じることなくコントラストの高い像を結びます。少し絞ると画面の隅々まで繊細な描写を見せてくれるのは嬉しいところです。

---

大きなセンサーの余裕でしょうか。露出をかなりアンダーにしても空一面を覆う黒い雨雲の中に、綺麗なトーンが残っています。有効画素数1700万画素へと高精細化しつつも、豊かな階調を実現しているのは4/3型の大きなセンサーというだけでなく、パナソニックが長い間マイクロフォーサーズのシステム展開で培ってきたノウハウも存分に活かされているのでしょう。

厚みのある赤の発色がよく、気がつくと赤い被写体を何枚も撮っていました。

最短撮影距離付近で撮影しました。テレ端でもF2.8という、大口径だからこそのボリューム感のあるボケ量です。二線ボケを抑制し、ボケ玉に同心円状の輪線が出ないよう配慮されていることが、ボケ味についても滑らかで美しいものになっているようです。

---

メカニカルシャッターに加え電子シャッターも内蔵していますから、動作音はほぼ無音にすることも可能です。静かな場でも雰囲気を壊さずに撮影が行えます。

最短撮影距離はワイド端で3cm、テレ端でも30cm。レンズ側面に配された切り替えレバーで「AFマクロ」を選ぶと、接写でも瞬時にピントを合わせることができます

---

マルチアスペクトで遊ぶ、フォトスタイルで遊ぶ

高性能なライカレンズを搭載していますが、そのサイズはコンパクトでポケットに入ってしまうほど。持ち歩くのに最高の相棒ですが、いつもフォトジェニックなシーンに出会えるとは限りませんよね。そんな時、カメラに内蔵されている好みの色味、コントラスト、彩度などを選べる9種類の「フォトスタイル」や22種類の作風に出会える「フィルター」を試してみてはいかがでしょうか。そして、レンズ鏡胴部で簡単に選べるアスペクト比を変えることで、普段見慣れてる風景をInstagram風の「1:1」、映画スクリーン風の「16:9」に切り取ることも可能です。いつもカメラを持ち歩き、自分らしい一枚を撮る。そんな生活スタイルはいかがでしょうか。

• 夕焼けの色を強調するためフォトスタイル「ヴィヴィッド」で撮影。誇張され過ぎないエフェクトで、見て感じたままの雰囲気に仕上がっています。
• 左の写真を撮った後、どんなフィルターがあるのかと液晶を見ながら試していたら、この独特の世界に惹かれ「インプレッシブアート」で改めて撮影。液晶を見ながら22種類もあるフィルターをひとつひとつ試してみるのも面白いですよ。

---

細部まで作り込まれた、ザ・ハイエンドコンパクト。

いかがでしょうか。ご覧いただいたとおり、大きなセンサーと良質なレンズから生み出される画は、コンパクトカメラの域を超えているように感じますね。驚くほど小さくまとめられた幅115mm x 高さ66.2mm x 奥行き 64.2mmのボディは、392gと適度な重量感が心地よく、そのサイズ感からは想像がつかないほど構えた時に手にしっくりと馴染んでくれます。また軍艦部に配されたシャッター速度ダイヤルや露出補正ダイヤル、そしてレンズ鏡胴部の絞りリングとアナログ主体の操作体系により、撮影に馴れた方ならばカメラを構える前から設定された露出の状態を把握しやすくなっています。また多彩な撮影機能は背面の液晶パネルとボタン、ダイヤル等で操作するよう、カメラ上部とは操作体系が上手に分けられています。加えてII型では、背面液晶のタッチ操作によりさらに直感的なコントロールが可能になりました。

フィルム時代には難しかったマルチアスペクトの機能についても、近年では多くのデジタルカメラに搭載されている機能ではありますが、それらは基本的にベースとなる最大のフレームから一部をトリミングして実現しているものですが、このLX100 IIでは、2000万画素の画素数と大きなセンサーを活かして、4:3でも3:2でも16:9でもレンズが持つイメージサークルを最大限活用し、対角画角を変えずに撮影できるなど、個々の機能がよく練られ、作り込みのよさを感じます。また外装の造りのよさや操作時の感触よさを含め、手を抜かず、細部まで作り込まれたカメラを手にする心地よさは格別のもの。「いいカメラを欲しい」そうお思いの方にこそ、ぜひ手に取っていただきたいカメラ、それがLX100 IIです。

( 2019.10.11 )