OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

35mm版換算で28-300mmの画角をカバーする高倍率ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II」のレビューをお届けします。広角から望遠まで幅広い範囲をカバーし、レンズ交換をすることなくさまざまな画角を使うことのできる高倍率ズームですから、一瞬のシャッターチャンスを逃すことなく撮影することが可能になります。また、素速く静かなAFを実現するMSC機構を採用しており、撮りたい瞬間を確実に捉えることができそうです。全長63.5mm、重さ285gと非常に軽量コンパクトな本レンズがどんな描写を見せてくれるのか、さっそく作例をご覧ください。

( Photography : KIMURAX / Text : Rica )

陽ざしでポカポカに温められた神社の石垣。とはいえ随分と無防備な猫ちゃん。ぬくぬく暖かいからか、それともただ背中が痒だけだったのか？ゴロゴロしているところをパチパチ撮られているさなか、大きなあくびまでしてしまうというリラックスぶり。ほのぼのとした雰囲気を収めてきたつもりでしたが、帰ってからパソコンで見てびっくり。ベロのザラザラとした質感まで緻密に捉えているではありませんか。グイっと拡大すると、そのリアリティに思わずゾゾっとしてしまいました（笑）。

こちらは人への警戒心が強いようで、なかなか簡単には近づかせてくれないのでテレ端でサクッと撮影。ピント面で捉えた艶やかな瞳、毛並みまでクリアに捉えています。背景との分離もよいですね。

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クルマまでの距離は5～6mだったでしょうか。キレイに手入れされたボディの流麗なプレスラインが見事にトレースされています。

JPEG撮って出しではこのようにズドンとシャドーが落ちていますが、RAWデータの方で引き上げてみると潰れることなくしっかり情報が残っていました。見た目の印象としてはJPEGのそれで、コントラスト表現も上々です。

かなり雲面積の広い空でしたが、フラットにならずに奥行きもちゃんと感じられる。階調表現もいいですね。

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なんの変哲もない自動販売機ですが、雨の水滴がちょうどいい具合に、冷えっ冷えのシズル感を醸していました。本レンズはボディと同様に防塵・防滴対応ですから、雨の日にも気軽に持ち出せるのはいいですね。

ウインドー越しですがAFは迷わずにサクッと合焦。OM-D E-M5 Mark IIIのキットレンズとしても採用されているとあって、確かな性能と描写性を備えていることが窺い知れます。

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防塵・防滴・高倍率でなんでも来いのオールラウンダー

広角28mmから望遠300mmまで、どの画角で撮影しても透明感のある描写をします。この一本を装着していれば、いつ何時に撮りたい被写体に出会っても大丈夫。11群15枚のレンズ構成のなかには、DSAレンズ、EDAレンズ、EDレンズ、さらにHRレンズやE-HRレンズとさまざまなレンズを組み合わせ、ズーム全域で高い描写性能を発揮しつつスリムな鏡胴を実現しています。ゴーストやフレアを極限まで抑制するZEROコーティングも施され、逆光時にもクリアな描写。防塵防滴性能も有しており、望遠側ではレンズ先端から33cmの近接撮影で0.44倍相当のテレマクロ効果も実現していますから、大きなボケを有効に活用したさまざまな表現を楽しむことも可能です。広角から望遠、テレマクロまで、文字通り非常に幅広いシーンで活躍する一本。敢えて何か特徴的な描写傾向があるのか？と尋ねられると、特筆するような尖がった表現は見当たらず（笑）。かといって甘かったり緩いということは微塵も感じない描写力であることはご覧いただいた通りです。言ってしまえば、撮りたいものがキッチリと面白いようにスイスイ撮れてしまう。その卒のなさにこそ、つくづく感心するのです。必要にして十分、いや十二分の働きをしてくれる頼もしさは、キットレンズとして上位機種に採用されていることからも頷けます。OM-D E-M1シリーズやOM-D E-M5 Mark IIIなど防塵防滴のボディとの組み合わせなら、ネイチャー、ワイルドライフ系の撮影にも不安なくトライできまいますからね。侮るなかれ高倍率ズームレンズ。これは必携です。

( 2020.01.06 )