PHOTO YODOBASHI

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Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX

Nikon NIKKOR Z MC 50mm f/2.8

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ニコンからZシステム向けのマクロレンズが登場しました。今回ご紹介するのは「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」という、FXフォーマットの標準マクロ。ニコンでは一般的なマクロレンズを「マイクロレンズ」とより正確に呼称し、Zシステムでは「MC」という表記が型番に加えられます。同時期に中望遠マクロの「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」という、Sラインの上級モデルが発表されましたが、本レンズはSのつかない通常モデル。とはいっても、普及価格帯のキットズームですら高い光学性能のを見せつけてくれるZマウントレンズですから、本レンズにおいてもその写りには期待したいところです。

そのニコンZシステムでは、標準域の単焦点レンズとして、大口径の「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」と「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」のSラインの2本に加え、超弩級の「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」というスペシャルな製品も用意され、そのどれもが抜群の写りを誇っているのはご存知の通り。そこに4番手として登場したのが本レンズですから、様々な場面で扱いやすい標準画角の単焦点レンズに明るさ以外のプラスアルファを求めたいという方には、有力な選択肢になるではないでしょうか。特に50mmマクロといえば、1/2倍までのハーフマクロも多い中、こちらのレンズは等倍撮影まで可能な本格派。しかも、質量260g・全長66mmとZマウント単焦点レンズの中でも抜群に軽量・コンパクトな仕上がりです。Zのマクロ、期待が高まりますね。それでは実写レビューにてその実力をご確認ください。

( Photography : KIMURAX / Text : Naz )

Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX

先ほども触れた通り、本レンズはコンパクトな鏡胴ながら等倍までのクローズアップ撮影までこなすことができます。と書かれると、このカットは等倍撮影?と思ってしまう方もおられるかもしれませんが、実は違います。絞り開放F2.8の設定で撮影しましたが、EXIFの表示はご覧のようにF4.5。なぜ、絞り込んだF値になっているかというと、これ実効F値なのです。簡単に言ってしまうと、本レンズは近接撮時にレンズの前群が繰り出すので、センサーに届く光の量が減って暗くなる。その実際に暗くなった時のF値を“実効F値”と呼びます。ちなみに設定F値と実効F値の関係を式で表すと、『実効F値=設定F値 ×{1 +(撮影倍率)}』。このカットは、4.5=2.8 ×{1 +(撮影倍率)}を解いてみると、撮影倍率は約0.607(1:1.6倍)となります。それにしても、雄しべの花粉が画面の上に乗っかっているんじゃないの?と思ってしまうほどのリアリティです。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX

アリの精悍な表情がよくわかりますね(笑)。さすがマクロレンズと言ったところでしょうか、絞り開放からピントピークにキレがあります。身近にいる昆虫も本レンズさえあれば、なかなか立派な被写体になってしまうのですから楽しいものです。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX

苔むした幹をフレームしましたが、この時期特有の湿度をたっぷり含んだ空気まで感じさせる緻密な描写です。後ボケは柔らかく、そして美しく溶け込む。そこから浮かび上がるシャープなピント面は、苔の生命力までをも描き出しているかのようです。


Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX

最短に近づくほどにピント面は極薄に。等倍で切り取った水滴のフォルムが、すっきりとクリアに写し出されていますね。こちらは絞り開放での等倍撮影ですから、実効F値は5.6となっています。ご覧の通り画面の大部分をボケが占めているわけですが、アウトフォーカスへと一気に像が崩れていく様は印象的。静けさというか余韻すら漂う感があるのは不思議です。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX

瓶に入ったアロンビーズ。肉眼では得られない世界観がファインダーに繰り広げられるマクロの視界は、ある種の中毒性を伴います。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX

  • Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX1:1倍(等倍)
  • Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX1:1.4倍
  • Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX1:2倍

乾燥防止や直射日光除けのために植木鉢に敷き詰められたクルミの殻を、倍率を変えて撮影。その分厚さ、肌触りから密度までをも感じさせる描写です。一般的な50mmレンズの最短撮影距離(おおよそ0.4m)を超えた接写から、迫力ある等倍のクローズアップまで、自由に撮影距離とフレームを選択できるのは魅力ですね。これだけの描写力、そして表現力があればこそですが。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX

被写体から距離を取れば、50mmの標準レンズとしてスナップ撮影も楽しめます。身近な家族なら、ほどよい距離感で撮影できるところがいいですね。フォーカスは前群繰り出し式なので、AFもややゆっくり。フォーカスモードのAF-Sで動き回る子供を撮るのは少々難しいかもしれませんので、AF-Cを活用してみてもいいでしょう。


Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX

もちろん風景やスナップ写真にも使えます。遠景も、絞り開放から緻密かつシャープな描き込みです。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX

手前に広がるシラスではなく、あえて手元にフォーカス。前後の立体感も申し分ありません。強いて言えば手前のボケに若干のざわつきを感じるぐらいでしょうか。


Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX

左の小窓からの光が柔らかく注ぐ蛇口。スケルトン状態になった半地下の一室ですが、ハイライトからシャドーエリアまでトーン豊かに、コンクリートの表情を描き切っているのがわかります。絞り開放から画面の隅々にまで曖昧さがない。さすがはマクロレンズと言わんばかりの描写です。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX

ガラスへの映り込みはベールのような柔らかさをたたえながらも、手入れの行き届いた金属パーツの質感が見事にトレースされています。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX


  • Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX設定絞りは開放。それにしてとにかく緻密な写りですね。それでいて硬くならないというのはポイントが高いです。子供のきめの細かい肌を、こんなにも優しく描いてくれるのですから。
  • Nikon Z 6II, NIKKOR Z MC 50mm f/2.8, Photo by KIMURAX玉ボケもいいですね、美しい。時々の条件によりますが、稀に年輪状の玉ボケになることがありました。とはいえせいぜいこの程度。むしろ、紫陽花の質感、絶妙な色合いにドキッとさせられます。

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待望の標準マクロ。等倍撮影にも対応した「使える一本」です。

いかがでしょうか。Sラインではないといってもご覧の通り、一切の妥協は感じない写り、さすがニコンと感服しました。一般的なレンズに比べ、近接撮影が可能なマクロレンズでは、収差補正に関してより要求が厳しくなるものですが、本レンズではEDレンズにより色収差を補正し、非球面レンズによって球面収差や像面湾曲をも効果的に補正することで、開放からキレのある写りを実現しているとのこと。確かにその通りでした。

操作性については、コンパクトな鏡胴ながら、AF/MF切り替えスイッチに加え、AFの駆動範囲を0.3~0.16mのマクロ域のみとするフォーカス制限切り替えスイッチも備えるなど、マクロレンズとしての使い勝手に配慮されています。他のZマウントレンズ同様に距離指標はレンズから省略されていますが、撮影倍率表示を備えているため、狙い通りの倍率で撮影が可能です。また幅広のフォーカスリングは滑らかに動作し、フォーカスのほかISO感度や絞り値、露出補正等への機能割り当ても可能です。また機能を「M/A」に割り当てれば、AF中でもマニュアルでのフォーカシングが行えますから、繊細なピント合わせの要求されるマクロ域で特に使いやすく感じました。AFの速度は前述の通り、その構造もあってややゆっくりなものではありましたが、ステッピングモーターによる駆動音はとても静粛。ピントの精度も高く感じました。加えて防塵防滴に配慮した設計はもちろんのこと、レンズ最前面にはフッ素コートが施され、防汚性能にも配慮されていますから、様々なフィールドへ気兼ねなく持ち出せるのも嬉しいですよね。

多くのユーザーからは登場が待たれていたZマウントのマクロレンズ。その中で本格的なマクロ撮影だけでなく、テーブルフォトやスナップ撮影等、様々なシーンで使いでのある50mmの焦点距離。しかも軽量・コンパクトとなれば、手にしない理由は見当たりませんね。撮影者の表現の幅を広げてくれる「使える一本」、ニコンの自信作です。

  • PHOTO YODOBASHI視認性のよい撮影距離と倍率の表示
  • PHOTO YODOBASHI鏡胴側面のスイッチ

( 2021.06.29 )

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