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Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II

Nikon NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ニコンZマウントでは初となる、等倍撮影が可能な中望遠マクロレンズ「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S 」が登場しました。本レンズはZマウントの大口径かつショートフランジバックを生かした設計で、後玉に大口径の非球面レンズを配置。EDレンズ3枚、非球面レンズ1枚を採用した11群16枚のレンズ構成と、各種コーティングで高い光学性能を達成しているとのこと。その性能は、長年支持されてきたFマウント用の「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」を大きく上回る性能だとか。公式サイトでは「最高峰の中望遠等倍マイクロレンズ」と謳われるほどです。何よりも先ずは描写性能と、「描写」を追い求めてきた多くの人が手にしてみたい一本ではないでしょうか。レンズの全長は14cmと平均的なサイズ感ではありますが、重量は約630gと実際に手にしてみると思いのほか軽く取り回しも良さそう。強化された手ブレ補正機能も備わり、向かうところ敵なしといったところでしょうか。では早速、ニコンが放ったマイクロニッコールの世界をどうぞご堪能ください。

( Photography : Z II / Text : TA )

Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II

マクロレンズにまず求められるものは、被写体の細部まであますことなく正確に再現する力。その高い描写性能にあるかと思います。上のカットをご覧ください。ピントピークには鋭い切れ味がみて取れ、ブリッジ部分の金属や弦の表情、そしてそれに触れた時の感触までが想起される写りです。塗装面の微妙な凹凸もしっかりと描かれています。

Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z IIもう少し被写体に迫ってみました。特にこのようなマクロ域での撮影で気になってくる色収差は皆無といって良いでしょう。使い込まれて鈍く光るサドルや、ピンと張った弦の様子も良くわかる写りです。

Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II

白い花びらに見えるのは総苞片(そうほうへん)と呼ばれる葉の一部です。光の回りが乏しい環境下での撮影でしたが、被写体は背景からしっかりと分離し、ピント面のシャープネスが際立っています。コントラストもつきますが階調もよくまとまっており、植物の瑞々しさが感じられる写りです。

Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II

このようにワーキングディスタンスを活かした撮影でも真価を発揮します。被写体から適度に距離を保ったまま、小さな被写体を大きく写すことができる。また手ブレ補正が撮影を後押ししてくれるので一瞬のチャンスを逃しません。蝶の体毛や翅の筋といった細部まで緻密に描いています。やはりこういったシーンでも、とろけるようなボケが印象的です。よどみなくどこか透明感を感じる描写からも、色収差が徹底的に抑えられていることがわかります。


Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II

絞り開放で撮影。一切の曖昧さを感じない写りです。真っ直ぐな線、スパッと気持ちよく描きながら、画が硬くなりすぎない良いバランスにまとまっていると思います。

Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II

咄嗟にシャッターを落とした一枚。AF(AF-S)は歩道を足早に渡る女性に音もなく素早く合焦し、しっかりとその様子を捉えてくれました。このような咄嗟の撮影であっても和服の織や皺などの描き方、その立体感あふれる描写に驚かされました。 レンズの全長は14cmと平均的なサイズではあるものの、手にしてみると思いのほか軽い。見せたいものだけを抽出できる画角に加え、浅い被写界深度を生かした切り取りができるのでスナップ用途としてもおすすめです。

Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II

アスファルトと車の質感は見事に描き分けられ、車の流麗な塗装面を感じさせる映り込みを艶やかに表現しています。そして背景の直線は直線として、しっかりと描かれていますね。

Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II

絞り開放のボケ味とピント面の際立ったシャープネスはポートレート撮影でも生きてきます。前後ともに柔らかみがあり、全体として美しいボケが被写体を引き立たせます。また、本レンズは人物の瞳にピントを合わせ続ける顔認識AFに対応。素早く瞳にフォーカスするので、撮影中は被写体の表情やフレーミングに集中することができます。

Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II


Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II

絞り開放での撮影です。一糸の乱れもない描写に唸らされました。撮影カットはシャッター速度1/30で撮影しています。本レンズは手ブレに強く、被写体ブレを考慮しなくて良いシーン等は、これくらいのシャッター速度内であれば安心して撮ることができました。

Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II

強い陽射しに対しほぼまっすぐにレンズを向けていますが、ご覧の通りゴーストもフレアもほとんど出ません。輝度差のあるシーンですが、ここでもやはり色収差が良く抑えられていることがわかります。

Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II

中距離撮影もピントがどこにあるのかがわかる写り。自然な奥行きを感じる描写です。被写体まで距離がありますが、テトラポット表面の質感やサーフボードの形状まできちんと再現しています。

Nikon Z7 II, NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S, Photo by Z II


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王者の風格。まさに最高峰といえる中望遠等倍マクロレンズ。

マクロ域から遠景まで、撮影距離にかかわらず緻密に描く描写力に息をのみました。奥行きを感じる・立体感などは良く言われることですが、本レンズにおいては主要被写体を浮かび上がらせるというレベルではなく、その被写体の一部分というまさにマクロな世界。被写体の細部に渡りどんな立体であるのかがわかる写りに驚かされました。色収差も徹底的に抑制されているため画面全体に透明感があり、隅々まで行き渡る高い解像力と美しいボケが、ズームレンズでは味わえない空気感を与えています。

105mmの中望遠の画角は、撮り手が印象的に感じた要素のみを抽出することで、印象そのものを如実に表現できる。また浅い被写界深度を生かした切り取りができるので街で振り回しても楽しい。ポートレート撮影においても、必然的に被写体と適度な距離を保つことになり、より自然な表情を引き出しやすく扱いやすさを感じるでしょう。顔認識AFにも対応しているためテンポのよい撮影が可能。鏡胴は比較的スリムで握りやすく、側面にスイッチやボタン類を網羅しています。割り当て可能なコントロールリングや撮影距離・絞り値・撮影倍率などが表示できる情報パネルも装備。撮影者の体の一部となって自在に操ることを想定したかのようなプロダクトに仕上がっています。また、インターナルフォーカス(インナーフォーカス)方式採用のため、レンズの全長が変わらない・重心移動が少なくバランスが安定する・フォーカスが早いといった様々なメリットがあり全方位に抜かりなしといった具合。これだけの描写性能を持ったプロダクトですから、後世に「名レンズ」として語り継がれてもおかしくない一本です。ニコンZシリーズのSレンズを体験する、その1本としてもぜひ。

( 2021.06.29 )

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