PHOTO YODOBASHI

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Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz

Nikon NIKKOR Z 26mm f/2.8

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ニコンからFXフォーマットに対応した「NIKKOR Z 26mm f.2.8」が登場しました。本レンズはフルサイズミラーレスシステム向けのAFレンズとしては最薄を誇り、マウント面からの全長は23.5mm。親指の幅程度しかありません。全長が「短い」というよりも「薄い」と言った方が表現としては正しいと思われる、正真正銘のパンケーキレンズです。画角は標準ズームのワイド端によくある24mmと28mmの中間となる26mm。開放値をF2.8とすることで、質量125gとNIKKOR Zレンズの中でも最軽量となっています。往年のパンケーキレンズといえば、3群4枚のテッサー型を主流にレンズ枚数の少ない構成となっているものが多いですが、こちらは6群8枚の贅沢な構成。非球面レンズも3枚採用するなど、その仕様からも写りに拘っていることが伺えます。今回はFXフォーマットのZ 6にマウントして撮影してみました。実力の程をご確認ください。

( Photography & Text : Naz )

Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz

数メートル先のオブジェにピントを合わせました。40mm付近の画角が多いパンケーキレンズにおいて、こちらは26mmという正真正銘の広角レンズ。F2.8の開放値は特別明るいものではありませんが、フルサイズでの被写界深度は意外と浅く、奥に写り込むビルはアウトフォーカスになっています。

Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz

微妙な濃淡があり、被写体がシャドウ部にある難しい条件でしたが、緻密な描写により期待以上に雰囲気ある写りをしてくれました。複数枚の非球面レンズを採用していますが、直線が複雑に歪むこともなく、歪曲は良好に補正されていました。厳しく見るとごく僅かな樽型の歪曲が認められますが、人の目にはこのくらいが最も自然に見えるのではないでしょうか。

Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz

Z 6の背面液晶でもわかるほど、他のZレンズ同様に開放からキレを感じる描写ですが、2段絞ると画面の隅々まで緻密で安定した描写になりました。今回マウントしたZ 6は24MP。より高画素なZ 7/Z 7IIやZ 9にもマウントしてみたくなる高い解像感です。

Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz

レンズ全長が長くなるIF(インターナルフォーカス)式ではなく、すべてのレンズを前後に駆動することでフォーカスを行う全群繰り出し式を採用することでこの薄さを実現しました。一方で全群繰り出し式は、フォーカスのために駆動させるユニットが重くなりやすく、AF速度では不利な方式となりますが、本レンズはコンパクトにまとめられたレンズ構成と応答のよいステッピングモーターを採用し、AFは高速かつ正確。一切のストレスを感じないものでした。


Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz

スナップシューティングがとにかく楽しいレンズです。広い画角ですから、眼前の様々なものが写り込んできます。それをフレームや露出でどう取捨選択するかが使いこなしのポイント。ここでは晴れた陽射しの下、露出を少し切り詰めることで、日向の被写体を浮かび上がらせることができました。

Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz

フレームの端で近づいてくる被写体であっても、Z 6の優れたAFシステムとの協調でピタッと気持ちよくフォーカスが決まります。絞り開放で得られた前ボケも自然で違和感がありません。

Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz

どのボディにマウントしても正面に上に下にと、とにかく軽快に振り回せるのがこのレンズの真骨頂。現代レンズらしいシャープでコントラストが高く、抜群のキレ味を持っていますが、硬すぎる描写にならないのが嬉しいですね。

Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz

緻密な描写は線が太くなることもなく、手前のガラスの存在と、その奥にあるハンガーの艶や生地の質感を見事に再現してくれました。

Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz

光溢れる場面では力強い描写に感じましたが、フラットな光の下では柔らかさや繊細を感じさせる情緒的な描写にも。センサーや映像エンジンにもよると思いますが、印象としてはやや落ち着きのある色再現です。時には重厚感や渋さをも感じさせてくれる大人な演出でした。

Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz

専用のフードを着けていたこともありますが、逆光時にゴーストはほとんど見られませんでした。写真のような光源からの入射光では、わずかにフレアが見られましたが、ピントを置いた手前の葉は余すことなく描いています。このくらいのフレアはむしろ活かしたいところです。


  • PHOTO YODOBASHIイルミネーションを絞り開放で撮影しました。開放での点光源は、画面の端へ行くに従いコマ収差の影響による形状の変化が見られます。三脚がある場合は絞り込むことで解消できます。
  • PHOTO YODOBASHI最短撮影距離は0.2m。レンズ先端から握り拳が1つ入る程度。近接時でもピント面はシャープ。7枚羽根の円形絞りということもあるのでしょうか。背景はとても美しく溶けてくれました。

Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz

シャドウ部の簡単には潰れてしまわないディテール描写が画に厚みをもたらしてくれました。広角レンズでこの撮影距離でも立体感を感じさせてくれる描写はお見事です。

Nikon Z 6, NIKKOR Z 26mm f/2.8, Photo by Naz


PHOTO YODOBASHI

すべてのZシステムユーザーに送る、マストバイの1本

PHOTO YODOBASHIいかがでしょうか。小型化を優先したパンケーキレンズということで、写りに関してはやや割り引いた期待値で撮影に挑みましたが、いい意味で裏切られました。「Zレンズにハズレなし」を地で行くような写り、お見事というしかありません。Zマウントレンズ群には高性能なレンズが多く、どのレンズもやや大きく重めである印象ですが、その中で本レンズはお持ちのレンズラインアップの中でスパイス的な存在になってくれるのではないでしょうか。小型・軽量なレンズは小型のボディと相性がよいものですが、本レンズは高性能なボディの要求にもしっかりと応えてくれる写りだけに、むしろZ 9のような大きめのボディにもマウントして楽しんでいただけたらと思います。もちろん、Z 50やZfcのようなコンパクトなDXフォーマットのボディと組み合わせれば、軽快さに“超”がつくことは間違いありません。26mmというややワイド目の画角であるがゆえ、DXのボディでも39mm相当と往年のパンケーキレンズに近似する画角になる設定に思わずニヤリとしてしまいました。

本レンズは薄さを極限まで優先したためなのか、先端にフィルター枠がありません。その代わり付属するフジツボ型のフードに52mmのフィルター枠が用意されています。小さいとはいえ前玉を保護し、フォーカス時に前後に駆動するレンズユニットを保護するためにもフードの常時併用をお勧めします。このフードは、レンズと一体感のあるスタイリッシュなデザインで、装着時に完成する製品デザインのようにも感じました。なお、専用の被せ式キャップは、フード装着の有無に関わらず、キャップの内側に貼られたベルベットにより気持ちよく着脱することができます。

小型・軽量なパンケーキレンズとしては少々お高めの価格設定ではありますが、ご覧の通り、写りを見ればそれも納得ですよね。他のZレンズと比べても遜色のない写りに加え、このレンズでしか得られない軽快感はむしろ付加価値そのもの。マウントは金属製ですし、鏡胴の造りもしっかりしているなど、高級レンズのオーラを纏っていました。写りに拘るZシステムユーザーを虜にする本レンズ、マストバイの1本に間違いありません。どうぞお持ちのボディにマウントしてこの春を存分にお楽しみください。

( 2023.03.13 )

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発売前から注目と人気を集めていた本レンズ。その写りに脱帽しました。みなさんに楽しんで欲しい、そう思える1本です。

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扱いやすい24MPのセンサーを搭載したZ 6系の最新ボディ。この組み合わせからZシステムに飛び込んでみるのもアリだと思います。

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