PHOTO YODOBASHI

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Nikon Z 6II, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, 1/40, F4, ISO 100, Photo by TAK

Nikon Z 6II / SHOOTING REPORT

Zの誕生から2年、2450万画素のスタンダードモデル「Z 6」の後継機「Z 6II」が登場しました。主な進化のポイントは、デュアル映像処理エンジン(EXPEED 6が2基)、AF/AE追従で最高14fpsの高速連写、AF性能の強化、ダブルスロット(CFexpress/XQDカードとSDカード)、USB給電などとなっています。先代の「こうだったらいいな」をひとつひとつ叶えた、いわば「Z 6改」のような存在と捉えてよいでしょう。それがどのような恩恵をもたらすのか。まずは動画レポートをご覧ください。

( Photography, Videography, and Text by TAK )

やはりデュアルエンジンの恩恵は絶大です。処理速度が上がったことでAFもより高速化されたばかりか、画処理能力も連写速度も向上し、インターバルタイマー撮影時のタイムラプス同時記録という離れ業さえ可能になっています。AFは動物対象の瞳AFが動画にも対応したことがポイント。正面から捉えた時に2つの瞳を認識し、ピタリと追い続けてくれます。ランダムに動く生物の瞳を捉え続けるにもデータ処理能力が絡んでくるでしょうから、当然と言えば当然の結果です。横顔、瞳が1つになった時は体の方を認識する傾向がありますが、これはニコンのカメラに限ったことではないでしょう。また、ゾウやキリンなどの巨大な動物は体全体を捉える傾向が強かったですね。思ったところにオートでしっかり合ってくれますので、ピントはカメラ任せのまま構図に集中することができます。他、ダブルスロットやUSB給電など、「これ!これが欲しかったんだよ」というポイントがしっかり実現されているので、一層魅力的なカメラになっています。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z 24-70mm f/4 S, 1/200, F8, ISO 100, Photo by TAK

Z最大の魅力はやっぱり画質ですよね。エンジン自体は先代と同じEXPEED 6ですので変化はないと思うのですが、相変わらず、今までの35mmフルサイズでは見たことのない、「ネオ35mm」とでも呼びたくなるような精細な画作りです。大口径マウントを活用したNIKKOR Zレンズの威力も当然ながら絶大であり、解像力、コントラスト、階調など、全ての要素が従来のレベルを凌駕しています。(※画像のクリックで原寸画像を表示します)

Nikon Z 6II, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, 1/250, F2.8, ISO 1600, Photo by TAK

雨天での撮影でしたが、肉眼から被写体までのベールが取り払われたような透明感があり、被写体の存在感が一層身近に感じられます。(※画像のクリックで原寸画像を表示します)

Nikon Z 6II, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, 1/13, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

ツヤの表現。すさまじいリアリティです。ボケさえも、そういう空間が実在しているかのように描いてくれます。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, 1/4, F8, ISO 100, Photo by TAK

現場そのものを真空パックにして分捕ってくるような力がありますね。(※画像のクリックで原寸画像を表示します)


Nikon Z 6II, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, 1/640, F5.6, ISO 400, Photo by TAK

飛翔中のカモを高速連写してみました。飛び去る野鳥は多くのカメラで容易に撮れますが、飛んで来る場合はAFが物を言います。飛行中のカモは時速40〜50km以上は軽く出ています。そんなスピードで迫ってくる被写体にもZ 6IIのAFはちゃんと追従してくれましたし、元々出来の良いEVFの像も更にスムーズになり、EVFだということを完全に忘れて撮影に没頭していました。ただ、やはり「動体番長」とも言うべきD500などの一眼レフと比べると、AF自体の初動から捕捉までが少しゆっくりなのかなというのが正直な感想です。とはいえ、工夫をすれば対応できるレベルの違いです。シャッターボタンを半押ししてスリープ状態から起こしてあげて、被写体が遠いうちから捕捉を試み追従体制を整え、近くに飛んできた時に備えておく。このカットもそうして撮影しました。つまり、捕捉さえしてしまえば後はしっかりとフォローしてくれますし、AFエリアモードも併用して合焦範囲を決めておけば、捕捉率は更に上がります。

Nikon Z 6II, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, 1/8000, F5.6, ISO 400, Photo by TAK

強い逆光時でのAFやハイライトの描写を見てみましょう。AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR独特のPFフレア。ちょっと手遊びが過ぎましたが全く嫌味を感じません。それよりも、極端な光線状況でもスッと合焦し、ここまで締まりのある画に仕上げてくれた事実に驚きます。光を集める力はもちろんですが、Zシステムは光を御する力も兼ね備えているのだと思います。余談ですが、Zマウントネイティヴの超望遠レンズを首を長くして待っております。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, 1/2500, F8, ISO 100, Photo by TAK

余裕のダイナミックレンジ、じっくりとお確かめください。(※画像のクリックで原寸画像を表示します)

Nikon Z 6II, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, 1/250, F5.6, ISO 100, Photo by TAK


Nikon Z 6II, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, 1/250, F2.8, ISO 800, Photo by TAK

日没前後、赤い被写体に惹かれて一枚。後処理で少し引き締めましたが、ペイントや細かな擦り傷の質感表現も言うことなしです。やっぱりZで撮ると、被写体の存在感が現場で見た時よりも際立ちます。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, 1/125, F2.8, ISO 3200, Photo by TAK

さらに暗くなってきました。ISO 3200ですが、Zは高感度耐性も一眼レフを凌駕していまして、従来のデジタルカメラの1600とか800あたり、フィルムで言えば400あたりの感覚です。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, 1/6, F14, ISO 6400, Photo by TAK

ISO 6400でもこの仕上がりですよ。望遠端までズームインし、背景の様子も分かるように絞ったので低速シャッターになりましたが、全くぶれておりません。手ブレ補正力を誇るカメラは今までもたくさんありましたが、実際の使用感と宣伝文句の内容が一致するのがニコンのカメラです。また、動画でもご覧いただいた通り、AFは-4.5EVという低輝度でも合焦。これ、星空レベルの暗さですよ。フラッグシップ一眼レフD6と同等のパフォーマンスでもありますが、Z 6IIはさらにローライトAF時に-6EVまでサポート。もはや想像すら及ばない暗さです。(※画像のクリックで原寸画像を表示します)

Nikon Z 6II, NIKKOR Z 50mm f/1.8 S, 1/500, F1.8, ISO 100, Photo by TAK

Nikon Z 6II, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, 1/5000, F4, ISO 100, Photo by TAK

Nikon Z 6II, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, 1/2500, F2.8, ISO 100, Photo by TAK

NIKKOR Zを使う限り、このように徹頭徹尾キレッキレです。「たまには柔らかい画も欲しい。人間だもの。」という方、マウントアダプターFTZを使えばオールドレンズも存分にお楽しみいただけます。こちらをご覧の上、また一味違った世界をご想像ください。Zはファインダーの見え味もこれまた極上。最も気持ちよくマニュアルフォーカスできるミラーレスだと思います。

Nikon Z 6II, NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S, 1/8000, F4, ISO 100, Photo by TAK


4K30pの動画もどうぞ。静止画の画質からも推して知るべしですが、全画素読み出しであることも手伝ってか、やはり階調にも余裕があり全体として画作りに濃密さを感じます。AF-FモードでのAF動作もスムーズですし、その敏感さの度合いも細かく調整できます。なお、2020年11月の時点では4Kは30pまでのフレームレートに対応していますが、2021年2月のアップデートで60pにも対応するとのことです(その際はDXフォーマットにクロップされます)。


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地力を丹念に磨き上げた、能ある鷹。

高度な技術を駆使し黙々と物を造り、仕事ぶりも高く評価されているが、決してそれをひけらかさない職人。凄みがありながらも、じわっとくる。Z 6IIとは、そういうカメラです。細かなブラッシュアップにより着実な進化をとげ、ダブルスロットやUSB給電、縦位置撮影対応の専用パワーバッテリーパックも用意されました。その他、派手さはないものの、堅実で痒いところに手の届くような改善がなされているのでご紹介しておきましょう。例えば暗所でのAF検出性能の改善。違いは1EVと確かに小さく聞こえますが、月が出ているか雲に隠れているかほどの違いがあります。連写の最高速は12fpsから14fpsに向上していますが、これはメカシャッターとして最高速であり(製品発表時点)D6と同等でもありますし、14ビット(RAW)の深度で10fpsの連写というのもとてつもない数字です。先代の電池も十分にタフでしたが、そこから更に持ちが良くなっています。また、電源をオフにしてもフォーカス位置を記憶してくれるので、風景やブツ撮りで電源を再投入した後もマニュアルフォーカスレンズを使っているかのようにすぐにレリーズに持っていけることも着実な進化です。なお、動画の最長記録時間が29分59秒でチルト式モニターであることを考慮すると、既存ユーザーのニーズも大切にしながら、静止画、動画に関わらず画のクオリティを最優先させたカメラなのかなとも思います。全くの個人的見解ですが。

12月には高画素モデルのZ 7IIも発売されますが、「6」と「7」の関係は優劣ではなく、用途で使い分ける同格の存在です。Zシステム開発時のお話はPHOTO YODOBASHIでも詳しく伺っておりますので是非ご覧いただきたいのですが、私がひとつ印象に残っているのがユーザー動向の変化に関するお話です。「フラッグシップ」が以前ほど絶対的なものではなく、用途次第でカメラの選択肢が変わるということ。「6」と「7」はまさしくそれを反映したZの両輪であり、オールラウンダーとしての地力を丹念に確実に磨き上げ、静止画、動画、どちらにも夢中にさせてくれるカメラが、Z 6IIなのです。操作も先代はもちろん一眼レフをお使いの方でもすんなりと行えるので、ミラーレスを始めてみたい方や一眼レフと併用したい方にも自信を持ってオススメいたします。

( 2020.11.27 )

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静止画と動画を自由に行き来できる、機動力抜群のミラーレスカメラ。先代との価格の差もミニマルに抑えられているのも嬉しいですよね。

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縦位置でもカメラと同等の操作がスムーズに行えます。EN-EL15cバッテリーを最大2個装填可能。Z 6 II、Z 7II専用です。

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今回の主力レンズ、大三元の標準ズームです。趣味から仕事まで全てを高次元でこなしてくれる、どこまでも完璧なレンズです。

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Zシステム誕生時にリリースされた標準単焦点。Zの目指すところを手っ取り早く感じるには、こちらもオススメですよ。

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こちらは4575万画素の高画素モデル。発売まで今しばらくお待ちください。前回はZ 6が後から出てきましたね。どちらを買っても、両方揃えても、幸せになれることは間違いございません。

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書き込み速度はSDカードの3倍以上。Zのパワーの限定解除にはCFexpressカードをお求めください。動画も視野に入れると、容量もこれくらいはあった方が安心です。

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動画に登場したレッサーパンダのフィギュアです。2体セットで、笹も付いてきます。

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ミーアキャットといえば、やはりこのポーズですよね。

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