PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon Z fc, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Z II

Nikon Z fc / SHOOTING REPORT

ニコンのミラーレスカメラZシリーズに、APS-Cサイズ(DXフォーマット)センサーを搭載する「Z fc」が新しく登場しました。先立って発売されている「Z 50」も小型ながら抜群の性能を誇り好評を博していますが、その「Z 50」の性能を継承しながら、新しい機能を取り入れたクラシカルで革新的な一台となっています。思わず欲しくなってしまうルックスも魅力。フルサイズミラーレスの高級機が話題となる一方で、こうした方向に舵を切った製品がNikonから発売されるということが素直にうれしいです。まさにこんなカメラを待ってました!といわんばかりの登場ぶりでしたが、実際の注目度も相当高いもよう。さっそくそのボディを見ていきましょう。

( Photography : Z II / Text : TA )


LOOK & FEEL

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サイズ・ルックスともに、フィルムカメラのNikon FM2に近しい印象で再現されたボディ。内部機構を見直し、バッテリー位置やシャッター位置を調整することによって、グリップ部がフラットなデザインを実現しているようです。また、ボディの人工皮革部分が好みの色に張替えできるとのこと。サンドベージュ/ミントグリーン/ナチュラルグレー/コーラルピンク/ホワイト/アンバーブラウンと、6色のカラーが用意されています。軽量ボディということもあり、カメラストラップの選択肢も増えるので楽しめそうですね。

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軍幹部には、シャッタースピード、ISO感度、露出補正の3つのダイヤル、そしてF値を表示する小窓を搭載。ダイレクトで直感的な操作が可能です。それぞれのダイヤルはアルミ削りだしで丁寧に作り込まれ、天面の表示は往年のNikonの文字が刻印されています。

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3.0型のタッチ操作が可能なZシリーズ初となるバリアングル式背面モニター(約104万ドット)を搭載。カメラをセルフィースティックに取り付けての撮影やVlogなどの撮影、また縦位置のローアングル撮影やハイアングル撮影も簡単に行うことができます。

  • PHOTO YODOBASHIモニター背面に採用された革の加工もフィルムカメラを想起させるデザイン。接眼目当てには円形が採用され、EVFは視野率約100%を実現しています。 また背面右上には、メニューの深い階層に潜りこむまでもなく、タッチ操作でより素早く直感的に設定変更できる「i」ボタンも搭載されています。
  • PHOTO YODOBASHI側面にはUSB端子(Type-C)やHDMI端子(Type D)を装備。USB充電・給電に対応しています。SDカードスロットとバッテリー収納は底面に配置。バッテリーは「EN-EL25」で、Z 50と共通です。

SPEC OVERVIEW

製品名 Nikon Z fc
発売時期 2021年7月
センサー 2088万画素 APS-C CMOS DXフォーマット
画像処理エンジン EXPEED 6
液晶モニター バリアングル式3.0型(タッチパネル)
ISO感度 常用:100~51200、拡張:204800相当
手ぶれ補正 レンズシフト方式(VRレンズ使用時)
シャッター 電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター、電子先幕シャッター、電子シャッター
連写機能 低速連続撮影:約1~4コマ/秒、高速連続撮影:約5コマ/秒、高速連続撮影(拡張):約11コマ/秒
測距点 ハイブリッドAF(位相差AF、コントラストAF):209点
顔認証 瞳AF:ワイドエリアAF(L-人物)、オートエリアAF(人物)
動物AF:ワイドエリアAF(L-動物)、オートエリアAF(動物)
動画機能 4K UHD(3840×2160)~30p
フルHD(1920×1080)~120p
フルHDスロー(1920×1080):30p(4倍)、25p (4倍)、24p(5倍)
その他 Wi-Fi機能内蔵、Bluetooth4.2、USB充電(Type-C)対応
幅 × 高さ × 奥行き 約134.5×93.5×43.5mm
本体重量 約390g

PHOTO GALLERY

Nikon Z fc, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Z II

花びらのように見えるガクの表面にある微細な凹凸までしっかりと捉え、それぞれの厚みすら感じられる描写です。色再現性に派手さはなく、どこまでも被写体に忠実。コントラストもつきますが全体的によくまとまっている印象です。

Nikon Z fc, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Z II

画面の隅々までシャープ。ビルに映り込んだ雲も表情豊かに再現されています。さすがはZシリーズといった写りでしょう。

Nikon Z fc, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Z II

ハイライトの部分のディテールをほんの少し残すことで、焼けるような暑さを再現してみました。EVFの見えも良く、その場で露出を切り詰めることができます。どこまでも撮り手に従順な頼もしいカメラです。

Nikon Z fc, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Z II

太陽の周辺こそ僅かにフレアが見られますが、画面全体で気になる色付きやゴーストは皆無。フレアはむしろ画のアクセントになってちょうど良いといった具合です。画面隅々までよく解像するうえに、細部に渡りどんな立体であるかがわかる写りです。


Nikon Z fc, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Z II

撮影モードをオートに設定し、露出補正ダイヤルで画像の明るさを調節しながら撮影してみました。これはZシリーズカメラで初めての試みだとか。Z fcの「c」は、よりカジュアルに撮影して欲しいという思いから来ているようで、こういった「カジュアルな撮影だけれども美しく写真を残したい」ユーザーに嬉しい機能が搭載されています。また露出補正もダイアルを回すだけのワンアクションでOK。より直感的な撮影へと誘ってくれます。

Nikon Z fc, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Z II

色の飽和もなく階調が豊か。しっかりと色が乗り、花の細部の質感まで捉えています。今回撮影に使用したのは定評のある「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」。テレ端での開放値はF6.3と明るいレンズではありませんが、手ブレ補正機構を搭載したレンズ(VR)で屋内撮影も安心です。

Nikon Z fc, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Z II

常用感度の上限は51200(動画撮影時は25600)。拡張で204800相当ということで、「画質」に関しても研ぎ澄まされた印象しかない本機。上のカットはISO 12800での撮影ですが驚くほどノイズレスかつ細部のディテールがしっかりと描かれているのがわかります。感度を躊躇せず上げることができるので、暗所でもブレのない写真が撮影できます。


Nikon Z fc, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Z II

本機には20種類のCreative Picture Controlが搭載されています。効果の度合いも10ステップ刻みで100レベルまで調整可能。上のカットはシーンに合いそうな「ドラマ」を選択。EVFを覗きながら「いつもの風景」がまったく違った景色に見える面白さを感じました。天気がパッとしない日や、写真を組んだ時のアクセント付けなどにも活用できそう。

Nikon Z fc, NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR, Photo by Z II

こちらは「ソンバー」で撮影。ホワイトバランスの「くもり」と合わせることで、ネガフィルムで撮影したかのようなレトロな雰囲気が出せました。EVFや画像モニターで確認しながら、多彩な画づくりが可能。いろいろと試してみると面白そうですね。


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目の肥えたユーザへ贈る、シンプルに研ぎ澄まされた Z fc

実際に撮っていて心地よく、持っていて嬉しく、眺めていて美しい。カジュアルに撮影しながらも紡がれる画は一級品。こんなカメラが欲しいと思い描いていたカメラ、それが「Z fc」ではないでしょうか。EVFの見えの良さ、シンプルな操作系、毎日持ち歩きたくなるようなルックス。こと描写に関しては、Zシリーズ全体に言える性能の高さから、もはや言及するまでもないほど。これ以上のものを求めたらバチが当たりそうです。スリムなボディに沈胴式で嵩張らないコンパクトなレンズを毎日持ち歩くのは、スマートフォンのそれとさほど変わらないでしょう。けれども、心が動いた瞬間を一味も二味も違う写真として残していくことができる。ともすれば機能てんこもりで食傷気味にもなりそうな今日日、本機のように古き良き時代のものを継承しながらも、現代にうまくマッチさせた斬新かつスマートなカメラが出てきたことが素直に嬉しいのです。撮影に没頭するも良し。カジュアルに撮影するも良し。ただ持ち歩くだけも良しの「Z fc」。初めてカメラの購入を考えている方にも、また散々カメラを買ってきたという目の肥えた方にもおすすめしたい一台です。

( 2021.07.30 )

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APS-Cサイズ(DXフォーマット)センサーを搭載。定評のあるZ 50の性能はそのままに、思わず欲しくなってしまう佇まいが魅力の一台。

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初めてのZシリーズという方におすすめ。定評のある「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」のレンズがセットになったZ fc 16-50 VR SLレンズキット。

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目の肥えた方におすすめ。単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8 (Special Edition)」がセットになったスペシャルエディションキット。

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コンパクトなサイズで持て余してしまう方に。ホールド性能を高めてくれる Z fc 専用グリップがおすすめです。

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