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ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

『富士フイルム X&Gマウントレンズ 完全レビューブック』編集後記 vol.3
富士フイルムの思想と製品

富士フイルムのレンズレビュー本がいよいよ発売になりました。もうお手に取っていただけたでしょうか。できあがった本を眺めてみると、これまで制作したニコン用・キャノン用・ソニー用の本と比べても少し雰囲気が違う印象があります。機材が変われば撮りたい写真も変わってくるということでしょう。

さて発売記念特集の最後として、書籍内掲載の内容を紹介しながら、改めて富士フイルムの製品群とその魅力について探っていきたいと思います。
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Xのはじまり

Xシリーズの原点となるのは2011年に発売されたコンパクトカメラ、X100。APS-Cサイズのセンサーを備える本機はミニマルなサイズでありながら魅力的な画を紡いでくれることで大きな人気を博しました。現行モデルは4世代目となるX100Fですが、そこに至るまで変わらないのが搭載されるレンズ「SUPER EBC 23mm F2」です。インタビューでお聞きしたところでは、立体感のある画を生むために「意図的に収差を残した」設計であるとのこと。このカメラでしか撮れない強烈な世界観があることは明らかで、写真を撮る道具として今なお色褪せることはありません。

本誌ではこのカメラをXのルーツとして取り上げ、巻末にギャラリーを掲載しました。すべてのカットは初代X100で撮影されたもの。記憶を呼び覚ましてくれるような写真の数々を眺めていると、このカメラの時点で富士フイルムの目指す世界が示されていたことに気づきます。

さて富士フイルムの目指すものとは何でしょう。その手がかりはインタビューのなかに散りばめられています。


「写真の本質」とは何か

本誌制作にあたり、富士フイルムのモノづくりに長年携わられてきた方々にお話を伺うことができました。Xシステムの誕生と展開、GFXのこと、フィルムのこと、色のこと。お話しの端々から、富士フイルムが何を大切に考えているかということが伝わり、これから向かう未来を想像させてくれるものでした。・・・そうしてインタビューの後に発表されたのがX-Pro3なのですからビックリ仰天。しかし冷静に考えてみれば、ストンと腑に落ちる。インタビューで語られたフレーズを少しだけ抜粋してみましょう。

富士フイルムがフォーカスするのは、常に「写真の本質」です。どうして写真を撮るのか、何を写真に撮りたいのか、撮った写真を誰に見せたいのか。フィルムメーカーとして「画質」を担ってきた歴史と矜持。デジタル時代になっても一貫したアプローチを続け、富士フイルム製品を貫く思想となりました。写っていて欲しい"色"を再現することは、いかなる取り組みなのか。インタビューでお聞きすることができた「フィルム」と「フィルムシミュレーション」に関するお話は、本誌中程のコラムにまとめています。


今ここにあらためて、富士フイルムの2つのシステムの特長をまとめ、本記事を終わります。色や手触りという感覚的な部分を真面目に追求してきたゆえに富士フイルムの製品には「使ってみてはじめてわかる魅力」がしばしばあり、スペックには表れない難しさもあります。『富士フイルム X&Gマウントレンズ 完全レビューブック』をご覧いただいて少しでもその魅力が伝われば嬉しい限りです。

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ベストバランスのXか

写真を撮る道具としての理想的なすがたを目指したXは、APS-Cサイズのセンサーと決めることで一貫したサイズとクオリティを実現しています。最初に発売されたレンズが今も名玉と名高く、最新のボディでもその性能を発揮していることは、確かなビジョンの証左と言えるでしょう。X-Pro3の登場で「単焦点レンズの魅力」「写真を撮る楽しみ」が再発見されるように思います。ライフサイクルが短くなりがちなデジタルカメラの世界において「ボロボロになるまで使い込もう」という気持ちにさせてくれる、稀有な存在ではないでしょうか。

表現力を追求したGFXか

高解像度化の未来を踏まえ、35mm判フルサイズを飛び越えてしまったのがGFX。最新のGFX 100は1億画素という驚異のセンサーによって、一歩も二歩も先の世界を描いてくれます。こういった製品がプロにしか手の出ないものではなく、アマチュアでも届く場所にあるから嬉しいのですし、メーカーはそのような選択肢として用意してくれました。懐に余裕ができたならば、これはもう行くしかありません。ラージフォーマットだから描ける世界は意外にもすぐそばにあります。

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( 2019.11.22 )

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紙面にプリントされた写真を、1ページ1ページめくって眺めていただきたい。モニタで見るのとは趣の異なる世界です。電子書籍版もついてくるセットでどうぞ。

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