PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

― そうだ、丹後 行こう。

突然ですが、「そうだ 京都、行こう。」と聞いて、どのような京都を思い浮かべるでしょうか。ちなみにあのCMは京都ではやっておりません。理由はご想像のとおりですが、実は京都には都だけではなく海もあるのです。そのことをある京都人にしたところ、「初耳」とのこと。これは是非ご紹介せねばなりません。京都府北部、丹後半島は、日本海に面したそれはもう風光明媚なところです。それどころか、大陸に近いことでかつては強大な権力を持った王国が存在し、卑弥呼がいたという説もあるのです。

( Photography & Text : TAK )

APS-Cとラージフォーマット、ふたつのシステムを持つ富士フイルムのレンズレビュー本の巻頭を飾るのは、Xシステムで撮り下ろしたギャラリーです。Xシステムの良さとは何か、Xシステムを持っていきたい場面や撮りたい写真を考えたとき、浮かんだのは「旅」でした。この国の風土と今につづく人の営み。旅人の目線で日本の原風景を探します。

『富士フイルム X&Gマウントレンズ 完全レビューブック』編集後記 vol.1
Xマウントギャラリー「丹後」

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結論から申し上げると、Xシステムほど旅向きな機材はないのではないかと思います。旅の楽しみといえば、未知なるシーンとの出会いがあるでしょうか。しかし、たとえ撮影という目的があっても、初めからパシャパシャとシャッターを切ると本質を見失ってしまうことも。まずはシーンをじっくりと観察し、その土地ならではの空気を味わいたいものです。

その点、コンパクトなXシステムはでしゃばることがなく、観察という行為を邪魔することがありません。しかも高性能レンズ、フィルムシミュレーションのおかげで、一度シャッターを切るとシーンに魂が宿ったような説得力のある画がいとも簡単に手に入ってしまいます。画像ではなく、写真。これが一発で得られるのです。

撮って出しで納得できるアウトプットが得られるということは、撮影後の作業もミニマムに抑えることができ、旅をじっくりと振り返り余韻に浸れるということでもあります。そんな最高の旅の相棒と、丹後半島の海辺を撮り歩く。歴史に触れながら、地元の食材に舌鼓を打つ。最高じゃないですか。

誌面では、そんな旅の断片を14ページのギャラリーにまとめました。当初予定していた場所ではうまく写真が撮れず、たまたま巡り合った漁村ではじめて手応えを得られるなど、撮っている本人には「あのときの気持ち」が呼び起こされる写真群になっております。ぜひ実際に本誌のページをめくっていただくことで、追体験していただけたら幸いです。

日没後、沖合では漁火が灯り始めます。撮影していると軽トラックが近くに停車し、こちらの様子を伺っているようです。こちらが会釈をすると向こうも会釈を返し去っていきました。あたりは街灯もなく真っ暗です。こんなところで何してるんだろう?と思ったのでしょうね。高い崖の上で密猟もやりようがありませんし、どこぞの船と交信するような発光信号機も持っておりません。現地の人には当たり前の眺めも訪問者には絶景なのですよね。

今回、私的「グルメ・オブ・ザ・イヤー」に出会いました。ロケでは車内で食べることもありますが、こちらは地元のスーパーで買った「ばら寿司」。サバのおぼろ、錦糸卵、しいたけなどを具材とする、丹後地方の郷土料理です。以前食べたことがあるのですが、今回このスーパー特製のばら寿司を初めて食べたところ、これがまた最高に美味しかったのです。しかもお値段は380円! ばら寿司380円。アルト47万円。安くて良いものが一番です。
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伊根での撮影は朝からあいにくの雨。舟屋という建物は1階部分が船のガレージ、2階が居室となっています。船がそのまま家の中に入ってくる感覚で、ガレージは言ってみれば海側に向いた玄関ですね。ご覧のとおり、舟屋が湾をびっしりと埋め尽くしていて、海岸なのに砂浜や磯がありません。ここまで家がせり出していて危険ではないのかと思うかもしれませんが、湾内の波は一年を通して穏やかなので安全なのです。現存する舟屋の数は約230軒。これほどの数の舟屋が建ち並ぶ姿を見ることができるのは、伊根だけです。


最後に現像のお話を少しだけ。申し上げたとおり、撮って出しでも全く問題のないJPEGが得られるXシステムですが、少し味付けしたい場合は「X RAW STUDIO」を使用しました。PCにカメラを接続し、カメラ内の画像処理エンジンを使って現像する仕組みで、言ってみれば撮影後でも「撮って出しJPEG」が得られるソフトウェアです。パラメーターの種類や数や調整の細かさは他の代表的ソフトウェアには敵いませんが、富士フイルムのJPEGのクオリティは他には中々真似ができないもので、特にシャドウ部の階調の滑らかさには舌を巻きました。

以上、とりとめもなく書いてしまいました。丹後の旅は、Xシステムの素晴らしさを再確認した旅でした。これほど気持ちの良い旅の相棒は、中々いないでしょう。続きは本編で。どうぞご笑覧ください。


( 2019.11.08 )

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