PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Canon EOS 5D Mark III, EF70-200mm F4L IS II USM, Photo by Z II

Canon EF70-200mm F4L IS II USM

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

キヤノン・フルサイズ対応EFマウントの常用望遠ズームがアップデートされました。1999年発売で初代となる「EF70-200mm F4L USM」、続いて2006年に発売された第二世代となる「EF70-200mm F4L IS USM」では光学手ブレ補正(IS)付きとなりました。そして今回ご紹介する第三世代の「EF70-200mm F4L IS II USM」は、12年振りのモデルチェンジとなります。実はこの3本、現時点(2018年7月執筆時)ではすべて併売されています。価格も手頃な第一世代から、小三元望遠ズームの実質的なハイエンドモデルとなる第三世代まで選択肢の幅が広がりました。そしてより大口径となるF2.8クラスも「EF70-200mm F2.8L USM」に始まり、現行モデルの「EF70-200mm F2.8L IS II USM」、2018年9月に発売を予定している「EF70-200mm F2.8L IS III USM」と実に多くのバリエーションがラインナップされています。これも常用望遠ズームが持つ人気の高さを示すものであり、キヤノンとしても製品開発に相当な力が入っていることが伺えます。またこのように多くの選択肢が用意されているということは我々ユーザーにとっても嬉しいことですよね。少し話しが逸れましたが、レビューへ入る前にIS初搭載の前モデルと現行モデルとの比較から進化のポイントを探ってみたいと思います。

それぞれのレンズの仕様によれば、15群20枚で1枚の蛍石と2枚のEDレンズを使うレンズ構成はほぼ同一、MTFは若干向上しているようにも見えますが、傾向はよく似ています。その点では写りの評判がよかった先代から大きな変化はありませんので、既存ユーザーの方も安心して乗り換えいただけると思います。他には、絞り羽根が8枚から9枚の円形絞りとなり、手ブレ補正は5段相当へと1段向上。最短撮影距離が1.2mから1.0mへとなり、より寄れてよりボケを活かしやすい最新スペックのレンズへと着実に進化しているようです。他にも防塵・防滴性能の向上や「スーパースペクトラコーディング(SSC)」を採用しフレア・ゴーストを低減させたほか、レンズ最前面と最後面には防汚効果の高いフッ素コートを施すなど、その進化は多岐に渡るようです。フィルター径は67mmから72mmへと1サイズ大きくなりましたが、最大径と全長はわずか数ミリのアップ、重量も20g増に留めています。また細かいところでは付属のフードにロック機構が装備されました。お待たせしました、それでは実写レビューをご覧ください。


Canon EOS 5D Mark III, EF70-200mm F4L IS II USM, Photo by Z II

蝉の鳴く前

Canon EOS 5D Mark III, EF70-200mm F4L IS II USM, Photo by Z II

Canon EOS 5D Mark III, EF70-200mm F4L IS II USM, Photo by Z II

Canon EOS 5D Mark III, EF70-200mm F4L IS II USM, Photo by Z II

新「軽い、速い、写り良し。」

前モデルからおよそ12年ぶりという比較的長い期間を経たリニューアルということから前モデルは相当完成度が高かったことが想像できます。つまり軽くて速くてよく写ったということですね。しかし、近年のデジタルカメラの高画素化のおかげと言いましょうか副作用と言うべきか、それまでは目につかなかった色収差をはじめフレアやゴーストなどまでもセンサーが感知してしまうことはどうしたってあることだと思われます。そこで今回リニューアルした本レンズの登場というわけですね。

さて本レンズとボディだけを持ってまず出かけたのは島根県のとある町。梅雨明け直前で日中の最高気温は19度と寒いくらいです。雨模様の天候でしたが、それはそれでいろんな条件を試せるというものです。まず何と言っても軽いですね、しかも防塵防滴に配慮された設計ですので雨でも気にせず屋外に持ち出せます。最短撮影距離が全ズーム域で1mということでしかも手振れ補正もアップしていますので手持ちでマクロ的撮影にも使えるというのは幅が広がります。人物撮影でも70-200mmというズーム域はかなり重宝しますからモデルの表情を見ながら手元で画面いっぱいに寄ったり、ズームアウトして周りの状況を写しこんだりできますしボケ量だって十分じゃ無いでしょうか。子どもの撮影はじっとなどしてませんのでAFの速さは重要ポイントですが全く問題なし。最高の表情の瞬間を切り取れます。(Z II)


Canon EOS 5D Mark III, EF70-200mm F4L IS II USM, Photo by Z II

夏模様

Canon EOS 5D Mark III, EF70-200mm F4L IS II USM, Photo by Z II

Canon EOS 5D Mark III, EF70-200mm F4L IS II USM, Photo by Z II

Canon EOS 5D Mark III, EF70-200mm F4L IS II USM, Photo by Z II

Canon EOS 5D Mark III, EF70-200mm F4L IS II USM, Photo by Z II

Canon EOS 5D Mark III, EF70-200mm F4L IS II USM, Photo by Z II

Canon EOS 5D Mark III, EF70-200mm F4L IS II USM, Photo by Z II

撮りたくなるレンズ

一方とっくに梅雨明け宣言の出た関東地方では毎日うだるような暑さですが、せっかくなのでその夏を活かしてしまおうと夏の風物詩的なものを求めて撮り歩いてみました。いやしかし、暑い、じゃなくてよく写ります。70-200mmの望遠ズームを選ぶ時に「F4とF2.8はどっちがいいの?」という話にはなると思いますが、正直F2.8である必要はほとんど感じませんでした。性能アップした手振れ補正のおかげで4〜5段分はシャッタースピードを稼げますし、何よりも小さくて軽いので何処へ持ち出すにも躊躇がないのはいいですね。ボケの感じもとても上品で自然ですから背景をうっすら残したいときなどはとてもいいと思います。レンズのコーティングも刷新されたことで逆光耐性もよくなってフレアやゴーストなど気になりません。AFの精度もAI SERVOで試したところかなりの確率で流し撮りをした時も遠ざかる被写体を狙っても追ってくれています。F2.8版も間違いなく良い写りなんでしょうけど約倍の重さなのですよね。デカくて重かったらこの暑さでは撮影どころじゃないですもの。気持ちが滲み出る写真を撮るなら間違いなくこっちのF4をオススメしますよ。「軽さは正義だ」と聞いたことがありますが、この言葉は本当だなと思いました。もちろん日々一番いい写りで勝負をしているプロの撮影現場では重かろうが高かろうがF2.8版を選ぶでしょう。でも自分の身の丈にあったレンズを見極めるのも大事です。なんてったって「Lレンズ」ラグジュアリーレンズなのですから充分に写るのです。(Z II)


  • PHOTO YODOBASHI少し早起きして朝の光で狙ってみました。テレ端のほぼ開放で撮ってます。被写体との距離で背景のボケ感は変わってきますがピント面の立体感は充分に感じられます。
  • PHOTO YODOBASHIこちらはテレ端で最短1メートルまで寄って撮ってます。その気になればここまで美しいボケ味を見せてくれます。ボケのボリュームを含め充分でしょう。
  • PHOTO YODOBASHI羽田空港近くの城南島公園は着陸態勢に入った飛行機を間近で見れるスポットです。この写真を後から見直した時にもっと真ん中にドンっと大きく配置したカットを撮ればよかったと後悔。でもまた次回撮りに行く目的を持てました。
  • PHOTO YODOBASHI流し撮りも挑戦してみました。カメラのAFモードはAI SERVOでレンズのSTABILIZER MOODは3に合わせました。もちろん百発百中ってことにはなりませんが、かなりの確率で撮れました。しかも軽いので手持ちで何度でも挑戦できます。重かったらそうはいきませんよね。

(サムネイル画像のクリックで大きな画像をご覧いただけます)


PHOTO YODOBASHI

安定した描写が頼もしい、大人のレンズ。

いかがでしたでしょうか。隙を感じさせない安定した描写性能が頼もしく感じました。かなりかっちりとした写りではありますが、湿度があり重厚さも感じさせる描写はなかなかの大人なレンズだなあと思います。ピントのキレは鋭く、ボケに上品さがあります。70-200mmという焦点域は日常を撮るにも適しています。単焦点レンズに比べれば明るさではやや劣りますが、描写性能に関しては単焦点にも負けていません。また、EFレンズで言えば、85/100/135/180/200mmという広い焦点域で、フレームを無段階に選択することのできる利便性は単焦点にはないもの。しかもどの焦点域でも最短撮影距離は1mと短く、それ故に開放F値がF4でも十分に大きなボケを演出できます。不用意にISO感度を上げなくても5段分に相当する強力な手ブレ補正機能が薄暗いシーンでの撮影もしっかりとバックアップしてくれます。防塵・防滴構造やレンズ最前面・最後面のフッ素コート、頑丈な鏡胴などプロカメラマンの過酷な業務にも耐えうる造りは「さすがLレンズ」と言わせる品質を誇っています。多くの方がお使いのEOS 5Dシリーズでは軽快で、EOS 6Dシリーズではベストバランスといえる本レンズと組み合わせたときの機動性の高さは、いつでも積極的に持ち出せるシーンの多さを考えると、Lレンズの入門としてだけではなく、“よくわかっている人”にも向けられているんだなあと改めて思いました。

多くの方が70-200mmの望遠ズームを選ぶ際に、F2.8にするか、F4にするか悩まれると思います。ボケ量が欲しいポートレート撮影やテレコンと組み合わせたい方にはF2.8クラスでなくてはならない理由があろうと思います。でも、そうでない方はぜひF4クラスもご検討ください。F2.8クラスに比べ約約6割のコストで重量も約6割、持ち出す気合いもきっと6割で済みます。浮いたお金で撮影旅行に出るもよし、85mmや135mmの明るい単焦点レンズを加えてみるもよし、よーく考えて後悔しない選択をお願いします。このレンズはそうして熟考した方を裏切ることのない性能であることは間違いありませんので。

( 2018.07.20 )

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ISや防塵・防滴性能、防汚コートなど、最新スペックを身に纏い、F2.8とF4とは明るさの違いだけとなりました。その上でどちらを選ぶか、それを考えている間は実に楽しいもの。答えを急ぐ必要はありません。結局はどちらかを買うしかないのですから。

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風景撮影などで三脚を多用される方は、こちらもお忘れなく。カメラ側のみで十分に支えられるレンズ重量ではありますが、よりバランスよく据えることができます。

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「防汚コートされていれば大丈夫!」と言ってしまえる肝の据わった方以外は保護フィルターもお忘れなく。こちらのフィルターがあれば大事な前玉をしっかりと保護してくれます。

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風景撮影をされる方には必須アイテムですね。一緒に揃えてしまいましょう。

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