SIGMA 56mm F1.4 DC DN | Contemporary

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「SIGMA 56mm F1.4 DC DN | Contemporary」のレビューをお届けします。これまで、ソニーEマウント用、およびマイクロフォーサーズ用がラインナップされていましたが、こちらは新たに加わったキヤノンEF-Mマウント用。EF-Mマウント用として、AF駆動、通信速度などを最適化するアルゴリズムが新たに開発され、カメラボディのレンズ光学補正やサーボAFにも対応しています。シグマのArtラインにも匹敵する高い画質とコンパクト化を両立したContemporaryラインは、周辺光量、歪曲収差に関してカメラ内の補正機能を活用することを前提としたレンズ設計となっており、SLDガラスも採用して小型化と軸上収差の補正を行っています。シグマならではの描写力を280gという軽さで使えるとなれば、撮らない手はありません。さっそくキヤノンEOS M5にマウントし撮影して参りましたので、その実力のほど、ご堪能ください。

( Photography : TAK / Text : Rica )

豊かなボケに切れ味鋭いピント面。高性能大口径中望遠ならではの画作りを存分にお楽しみいただけます。APS-Cセンサー用だからフルサイズほどのボケ量は、、、という懸念を払拭してくれるのが50cmという最短撮影距離。フルサイズ用の85mm F1.4ですと85cm辺りが相場ですが、そこから更にググッと寄れる分、ボケの量も稼げるわけですね。

では中距離ではどうかと言うと、これもまた思いのほかボケてくれる印象です。しかもピント面も変わらずシャープで、背景にピタッと貼り付けたように見えます。26.9°という画角と適度な圧縮効果も相まって、背景を単純化しやすいのですよね。被写体が立つ世界を演出する、そういった使い方も出来るかと思います。

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日没後の弱くフラットな光が主役の色を引き立てる時間帯ですが、現場の湿度も伝わってくるような描写です。Contemporaryラインと言えども、この雰囲気はArtラインに肉薄していますよ。それをEOS Mでも味わえるなんて、素晴らしいことです。

静かな水面にふわりと浮かんだ波紋がお豆さんのようでした。開放で水面の反射をぼかしていますが、ボケ味も見事。その場で感じた浮遊感覚、静寂感が蘇ってきます。

絞り込んでアンダー目で捉えた、天気の変わり目の空模様です。雲が水滴で出来ているということを、リアルに感じることが出来る描写です。レンズというものは絞ればシャープなものですが、それにしてもシグマの切れ味は一味違います。

送電線の本数さえ数えられそうですが、ガラス越しでの撮影です。

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今回使用したEOS M5のように、「レンズ光学補正」に歪曲補正が含まれていないモデルでは糸巻き形の歪曲が見受けられます。こちらはソフトで補正してみたものですが、サクッと簡単に出来てしまいました。2019年11月現在のお話ですが、EOS M6 Mark II、EOS Kiss M、EOS M200の三機種は歪曲補正をサポートしていますので、初めから補正済みの画像が得られます。

電飾の玉ボケの中に四角い形が見えます。現場に戻って確かめたら、LEDの形そのものでした。ハイライトの中でも、光そのものと光源の形をしっかりと描き分けている証拠ですね。

周辺の落ちも実に良い塩梅。表現力が際立つ一本です。

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小型軽量・高画質の中望遠レンズ、あなたならどう振り回す？

56mmという焦点距離はキヤノンEOS Mシリーズに装着した際、89.6mm相当の画角となります。中望遠域となると私たちはセオリー通り、ポートレート以外に何を撮れば……と考えてしまいがちです。でも、本レンズはEOS Mボディにピッタリ来るサイズ感でとても取り回しが良いため、スナップ撮影にぜひ使っていただきたい一本です。実焦点距離が50mmに近いということもあり、シグマから同時にラインナップされた3本のEF-Mマウントレンズの中で最もコンパクトな最大径66.5mm×全長59.5mm（重量は30mmより10g重いのですが）。それなのに得られる世界はまさに中望遠のそれ＝オイシイ！ 望遠系はどうしても長く大きくなりがちで目立ってしまうものですが、本レンズはAPS-Cセンサーを採用したEOS Mシステムが持つコンパクトさを最大限に生かし、気軽かつ存分に中望遠スナップを楽しめるレンズだと思います。自分の視界のなかから好きな部分を切り取り集める感覚で、カジュアルに振り回してみてください。広角レンズとは違うボケ感や奥行きで、新しい感覚のスナップ撮影が楽しめますよ。

( 2019.11.27 )